« MLC契約に基づく在日米軍基地労働者に対し、国が行った解雇が違法とされた事例 | トップページ | 道交法130条2号の「その者が書面の受領を拒んだため・・・第126条第1項・・・の規定による告知・・・をすることができなかったとき」に該当しないとされた事例 »

2018年3月 1日 (木)

会社代表者によるパワハラと、退職願の提出が会社都合退職とされた事例

長野地裁松本支部H29.5.17      
 
<事案>
Y1社は医療機器の販売を主な業務とする会社で、Y2はY1社の代表取締役。
X1ないしX4はY1社の元従業員。
①Xらが、在職中にY2からパワーハラスメントの被害を受けたとして、Yらに対し慰謝料の支払を求める。
②X1及びX2が、夏季賞与を根拠なく減額されたとして、Y1社に対し減額分を求める。
③Xらには自己都合退職の係数に基づき算定された退職金が支給されたところ、各原告には会社都合退職の係数に基づく退職金が支給されるべきであるとして、Y1社にその差額の支払を求める。
④X2が、Y1社が違法な降格処分をしたとして、Y1社に対し、同所分により支給されなかった賃金相当額の支払を求める。
 
<判断>
●請求①について 
Y2の言動について、X2がY2の言動等を書き留めていた手帳の記載当事者尋問の結果等に基づき、概ねXらが主張するとおりに認定
その上で、Y2の言動はXらに対する不法行為を構成
⇒Yらに対し慰謝料の支払いを命じた。

最も高額な慰謝料(100万円)を認めたX2については、
退職させる目的で賞与減額や降格処分を立て続けに行ったこと、
不法行為の期間が長くはないものの、侮辱する発言が繰り返されたこと
が重視されている。

次いで高額な慰謝料(20万円)を認めたX1については、
X2と同様、侮辱する発言が繰り返された点が考慮された一方、
X2に見られたような根拠のない降格処分等がX1に対してはなされていない点が斟酌された。

◎ 控訴審
⇒、X1に対する退職強要行為及びX3、X4に対する間接的な退職強要行為があったと認定の上、同人らの慰謝料を増額。 
 
●請求②について 
X2について、退職強要目的で理由のない賞与減額と降格処分をし、その直後にX2が退職願を提出
Y1社からの退職勧奨によって退職した場合と同視できる

その余の原告については、Y1社からの退職勧奨によって退職した場合と同視できる事情が見当たらない。
 
<解説> 
労働者がパワーハラスメントと主張する行為が認定された場合に、これを違法と評価すべきか否かの判断基準として、

裁判例には、
A:他人に心理的負荷を過度に蓄積させるような行為は原則として違法であるというべきであり、例外的に、その行為が合理的理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で行われた場合には、正当な職務行為として、違法性が阻却される。(福岡高裁H20.8.25)

B:企業組織もしくは職務上の指揮命令関係にある上司等が、職務を遂行する過程において、部下に対して、職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地からみて、通常人が許容し得る範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為をした場合には不法行為を構成する。(当居高裁H25.2.27)

具体的な考慮要素として、
行為の目的、態様、頻度、継続性の程度、被害者と加害者の関係性を挙げる文献。

判例時報2354

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« MLC契約に基づく在日米軍基地労働者に対し、国が行った解雇が違法とされた事例 | トップページ | 道交法130条2号の「その者が書面の受領を拒んだため・・・第126条第1項・・・の規定による告知・・・をすることができなかったとき」に該当しないとされた事例 »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/66448669

この記事へのトラックバック一覧です: 会社代表者によるパワハラと、退職願の提出が会社都合退職とされた事例:

« MLC契約に基づく在日米軍基地労働者に対し、国が行った解雇が違法とされた事例 | トップページ | 道交法130条2号の「その者が書面の受領を拒んだため・・・第126条第1項・・・の規定による告知・・・をすることができなかったとき」に該当しないとされた事例 »