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2018年3月11日 (日)

事務所との信頼関係破壊⇒タレントからの解除を認めた事例

東京高裁H29.1.25      
 
<事案>
Yは、Aとの間で専属契約を締結して芸能活動を行っていた。
Xは、Aから専属契約上の地位を譲り受けた会社。
 
Yは、Xの実質的経営者であったBが脱税事件で逮捕⇒Xとの信頼関係が破壊された⇒専属契約を解除する旨を通告。
それ以後は、出演予定であった番組の出演を拒絶し、又はXに無断で番組に出演。

Xは、Yのこれらの行為は専属契約に違反するものと主張し、債務不履行に基づく損害賠償請求として、損害金のうち1億円の支払を求めた。 
 
<原審>
Xの請求を全部棄却。 
 
<判断> 
X・Y間の信頼関係が破壊されたとして、専属契約は終了した⇒控訴棄却。 

AとXの法人格は異なるものの、その実態にかわりはない信頼関係が破壊されたか否かについて、YがAに所属していた時から考察するとともに、Xの実質的経営者であったBの行為をXの行為と評価する。

信頼関係が破壊されたか否かについて、
①BはYの意向を無視し又はその意向に反して仕事をさせクライアントの意向であると称してYの結婚を不当に認めなかった
②過去にYの承諾なく、水着姿を裸エプロンのように加工して写真集を出版
③XがYの本名と同一の芸名を焼肉屋チェーン店の名称とした
Bが法人税法違反で逮捕され、所属タレントの移籍を装うなどして約11億円もの所得隠しを行い、約3億4500億円を脱税する極めて悪質な行為により、A及びBが有罪判決を受けた

Yが積み重ねてきたイメージを毀損しかねず、Yが芸能活動を続けていることに不安感を覚え、また、X及びBに対し不信感を抱き、仕事を続けていくことができないと考えたことも無理からぬところ

Xの行為によりX・Y間の信頼関係が破壊されたから、解除は有効
 
<解説>
芸能プロダクションとタレントとの契約は、タレントが労務を提供し、芸能プロダクションが対価を支払うものであるが、その法的性質について、裁判例では、
A:単に労働契約とするもの
B:雇用類似の契約とするもの
C:雇用と請負契約の性質が混合した無名契約とするもの
がある。 
法的性質をいずれに解するにせよ、その契約関係は当事者間の信頼関係を基礎にし、信頼関係が破壊されれば契約の解除原因となる

判例時報2355

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