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2018年3月12日 (月)

優越的地位を濫用しての不適切な説明⇒不法行為を肯定

東京高裁H29.3.29      
 
<事案>
X: 建材等の販売を主たる目的とする会社
Y1:木材その他建築用資材の売買等を主たる目的とする会社
Y2:その営業所長
Xは、Y1から住宅用建材等を仕入れ、中小工務店等に販売する取引を50年にわたり継続。
XはY2の紹介により、Y1から住宅用家電を購入してAに転売する取引を開始⇒その取引内容は、Y2の発注指示により、目的物、数量のほかY1からの購入金額とAへの探梅金額を決定し、目的物をY1からAに直送するというもの。
その後、Aが経営破綻に陥り、未払金3億7546万7643円が回収不能。

Xは、
Y2が
Aから売掛金を回収できなくなることを認識していたか、認識することができたにもかかわらず、その説明をせずに取引を勧誘したこと
取引数量、金額を抑制すべきであるのにこれをしなかった
⇒故意又は過失があり、
未回収金額を損害として、
Y2に対して民法709条に基づき、
Y1に対して同法715条に基づき
回収できなくなった売掛債権額相当額の損害賠償請求訴訟を提起。
 
<原審>
XのYらに対する請求を全部棄却。 
 
<判断>
●Yらの不法行為責任を認め、Xの請求を一部認容。 

●説明義務違反について
①Y2においては、Xが、Y1に依存した経営を余儀なくされ、Y1から不利益な取扱いを受けると企業の存亡にかかわる事態が生じるため、Y2からの取引指示や取引勧誘を容易に断ることができない立場になることを知っていた
Aに信用不安があることを殊更に隠していた
Aとの取引において月額1000万円を優に超える取引となる可能性が極めて高いのに、虚偽の説明を行い、Aとその役員の不動産の担保余力の範囲内におさまる売掛金になると誤信させた

Y2の行った説明は、取引上の優越的地位を濫用した不適切なものであって、違法行為に当たり、これによってAとの取引開始を決断させたもの
Y2はXに生じた損害を賠償する責任がある

●取引抑制義務違反について 
①売掛金が当初説明の約10倍の1億円以上となったこと
②Aが弁済期に履行遅滞に陥ったことを知りながら、その後も巨額の発注指示を継続したこと
XがY2の発注指示を容易に断れないことに着目し、取引継続を強いたものであること

Y2には、信義則上、取引当初から売掛金の額を月額換算1000万円程度に抑制すべき義務があり、それもかかわらずY2は月額1億円を優に上回る売掛金を毎月発生させていた

取引抑制義務違反がある。

●Xは本件取引の実行を断ることもできた⇒4割の過失相殺。
損害賠償額からは、損益相殺により、A社からの弁済額が除かれている。
 
<解説>
●優越的地位を濫用して行う行為を禁止する独禁法2条9項5号の考え方。
取引上の地位が優越してるかは、
①加害者と被害者との取引依存度
②加害者の市場における地位
③被害者にとっての取引先変更の可能性等
を総合的に考慮して判断される。

本判決は、これらの点を丁寧に検討して、Y1が取引上の優越的地位にあることを認定した上、Y1の従業員Y2の説明が不適切なものであったとして違法行為を認定。


当初の説明が月額1000万円程度の売掛金⇒当初説明の約10倍となる額の売掛金の発生は、Xにとって想定外
その原因が、Y2が取引上の優越的地位を濫用して発注指示を継続していたことにある

Y2に取引金額を抑制させる義務を負わせたとしても不合理とはいえない

判例時報2355

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
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