« 会社における弁護士・依頼者秘匿特権(米国判例) | トップページ | 勤務先会社が指定するウィークリー・マンションのテレビ受信機付き居室に入居し、NHKの受診料支払⇒不当利得を返還請求(否定) »

2018年2月19日 (月)

議会運営委員会の市議会議員に対する厳重注意処分とその公表と名誉毀損による国賠請求(肯定)

名古屋高裁H29.9.14      
 
<事案>
Y(名張市)の市議会議員で教育民生委員会に属するXが、同委員会において計画された視察旅行の必要性に疑問を感じてその実施に反対意見を述べ、欠席願を提出して、同視察旅行を欠席
⇒議会運営委員会がXに対して厳重注意処分をし、議長が同処分を公表

Xは、同処分とその公表によって名誉を毀損された⇒国賠法1条1項に基づき、Yに対して、慰謝料500万円の支払を求めた、。 
 
<規定>
裁判所法  第3条(裁判所の権限)
裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。
 
<判断>
●議会の議員に対する措置が、一般市民法秩序において保障されている権利利益を侵害する場合明白な法令違反がある場合は、議会の内部規律の問題にとどまるものとはいえない
⇒当該措置に関する紛争は、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」にあたると解するのが相当。 

Xの本件請求は、
外形的な請求内容だけでなく、紛争の実態に照らしても、一般市民法秩序において保障されている移動の自由や思想信条の自由と直接の関係を有するといえ、かつ、
その手続には明白な法令違反があると主張されている

本件請求は、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」にあたり、司法審査の対象となる。

●本件処分の通知書の記載内容全体
⇒XがY市議会議員として行うべき法的義務のある公務を怠ったものと断定し、厳重注意しなければXが議員としての責務を全うしえない人物と評価・判断し、懲罰類似の処分に出されたことを示すものといえる。
⇒Xの議員としての社会的評価の低下をもたらすものとみとめられる。 

議長の多数の新聞記者に対する前記処分の公表は、Xの社会的評価を低下させる事実を伝播する可能性があり、かつ、多数の新聞報道により実際に伝播した⇒Xの社会的評価が低下した。

Xに対する名誉毀損の成立を認め、原判決を取り消し、Yに対して50万円の慰謝料の支払を求める限度で、請求認容
 
<解説>
裁判所法3条1項の「法律上jの争訟」とは、
法主体者間の具体的権利義務に関する争いであって、法令の適用により終局的に解決しうべきものをいう(最高裁昭和29.2.11)。

最高裁昭和52.3.15:
特殊な部分社会である大学における法律上の争訟のすべてが当然に裁判所の司法審査の対象になるものではなく、
一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題は、司法審査の対象から除かれるべきものである。

判例時報2354

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 会社における弁護士・依頼者秘匿特権(米国判例) | トップページ | 勤務先会社が指定するウィークリー・マンションのテレビ受信機付き居室に入居し、NHKの受診料支払⇒不当利得を返還請求(否定) »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/66412306

この記事へのトラックバック一覧です: 議会運営委員会の市議会議員に対する厳重注意処分とその公表と名誉毀損による国賠請求(肯定):

« 会社における弁護士・依頼者秘匿特権(米国判例) | トップページ | 勤務先会社が指定するウィークリー・マンションのテレビ受信機付き居室に入居し、NHKの受診料支払⇒不当利得を返還請求(否定) »