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2018年1月 3日 (水)

約3年余り前に女子高生に対する盗撮の罪で逮捕された記事等の検索結果からの削除請求(仮処分)(否定)

名古屋高裁H29.3.31      
 
<事案>
Xが、Yに対し、人格権に基づき、本件検索結果の削除を求める仮処分命令の申立てをした事案。 
 
<原決定>
Xは公務員であるが、もっぱら技術的な知識をもって公務に携わるにすぎず、また、本件事件もその職務と何ら関連性のもないものではあるが、
国民・住民の正当な関心の対象となるものであって、本件事件当時、その事件自体を公表することには社会的意義があった
⇒申立てを却下。 
   
Xは即時抗告
 
<判断>
検索事業者に対し、自己のプライバシーに属する事実を含む記事等が刑刺されたウェブサイトのURL等情報を検索結果から削除することを求めるための要件に関して、最高裁H29.1.31において示された判断枠組みに従い、本件抗告を棄却。

本件事実に即した諸事情の考慮要素として
①本件事件が、公共の安全・平穏に関わる社会的に正当な関心の対象であると認められること、
②本件事件のような犯罪が公務員によって惹起された場合には、相当する職務の内容や本件事件との関連性にかかわらず、その資質や清廉性について、広く国民・住民の正当な関心の対象になるというべきであるし、本件事件のような破廉恥行為の存在やこれに対する国民・住民の関心に関する状況が、本件事件後に変化したと認めるに足りる証拠はない。
③Xの名の漢字表記が一般的であるとまではいえない⇒Xの氏名および「盗撮」という検索ワードで検索するインターネット利用者は、そもそも本件事件に関する知識を有している者が多いとも推認され、Xのプライバシーに属する事実が伝達される範囲が広範に及ぶとまでは認め難い

④Xが再犯に及ぶことなく日常生活を営み、近く婚姻の予定があるとしても、本件事件により逮捕された事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない
 
<解説>
●最高裁平成29年決定において触れらていない検索事業者の性格についての言及:
本決定は、「検索エンジンは、表現ないし情報等の送り手を受け手を結び付け、表現者ないし情報発信者の表現の自由及び情報等の受け手の知る権利のいずれにとっても大きな役割を果たし、それを実効あらしめる存在となっている」

表現者ないし情報発信者の表現の自由と情報等受け手の「知る権利」への言及。

検索事業者の情報流通手段としての重要な社会的基盤の1つであり、検索事業者の公益的な性格を有することの説明。

●検索結果の削除の可否について、しばしば「時の経過」が問題。
本件事件に対する国民・住民の正当な関心は、「時間の経過とともに薄れてゆくものであるとはいえ、本件事件の内容等に照らせば、短期間で社会的関心が正当でなくなるとはいえない」とされた。

盗撮による条例違反の事件において、社会的関心の観点から、約3年間という時の経過では「短期間」であるとされている

尚、刑法34条の2第1項を参照し、
罰金の納付を終えてから5年を経過せず刑の言渡しの効力が失われていないことを理由の1つにして非公知性の判断材料とした事例もある。
 
●性的自由に関する最高裁平成29年決定の事案に比べれば法益侵害の程度が小さい。
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精神的苦痛を被る被害者も多いと推認されることから、
単なる法定刑の軽重のみによって、「当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らか」であるとの根拠にはなり得ない」 
 
●「忘れるられる権利」について、本決定では、
「我が国における法律上の明文根拠を欠き、その要件及び効果は明らかでないプライバシー権とは別個独立した権利として、その存否及び効果を判断すべき必要性を認めることはできない」と判断。

判例時報2349

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