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2018年1月 2日 (火)

貸金業法の国際的適用範囲

東京高裁H28.12.12      
 
<事案>
国に対する国家賠償請求訴訟において、貸金業法の国際的適用範囲が主要争点となった事例。 

控訴人(原審原告)Xは、日本の合同会社(平成23年1月設立)であるが、同年11月6日付けで金融商品取引法上の第2種金融商品取引業の登録を受け、と匿名組合の営業者として、国内の投資家から出資を受けた資金を、韓国において貸金業を営むA社に貸し付けていた(「本件事業」)。
Xの貸付先はA社のみ。

平成25年9月、Xは証券取引等監視委員会による金商法に基づく立入検査⇒同委員会から報告を受けた関東財務局理財部金融監督第5課によるXへの業務状況の照会(平成26年6月)⇒平成27年1月8日付で関東財務局長から本件事業は貸金業法の下での貸金業に該当する旨の警告、同月9日付けで、本件事業につき、金商法56条の2第1項に基づく報告命令

Xは、本件報告命令およびそれに先立つ当局の警告は違法で、これによる本来必要のない当局への報告書の作成や対顧客への書面作成・交付を余儀なくされ、また一般投資家による信用も損なわれて損害を被った⇒被控訴人(原審被告)である国に対して国賠法1条に基づき損害賠償を求めた。
 
<争点>
専ら国外への貸付けのみを行う場合にも貸金業法の適用があるか? 
 
<判断>
日本国内において金銭の貸付けの一部を行っている限り、顧客が国外の借主のみであっても「貸金業を営」むこと(貸金業法3条1項)に該当すると解するのが相当
これは属地主義にも抵触しない。
原告は日本国内に本店を有し、金銭の貸付けの一部である送金行為を業として行っている
⇒同法にいう「貸金業を営」んでいるものというべきである。

憲法22条1項違反の主張に対しては、
ある規制がその目的のために必要かつ合理的な範囲を超え、それが著しく不合理であることが明白と認められるときに、当該規制は同規定に違反するものと解するのが相当。

結論として、国外への貸付けにつき貸金業の登録を受けることを義務づけ、行政庁の一定の監督に服せしめることは、必要かつ合理的な範囲にとどまり、著しく不合理であることが明白であるということはできない
 
<規定>
貸金業法 第1条(目的)
この法律は、貸金業が我が国の経済社会において果たす役割にかんがみ、貸金業を営む者について登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うとともに、貸金業者の組織する団体を認可する制度を設け、その適正な活動を促進するほか、指定信用情報機関の制度を設けることにより、貸金業を営む者の業務の適正な運営の確保及び資金需要者等の利益の保護を図るとともに、国民経済の適切な運営に資することを目的とする。
 
<解説> 
●貸金業法や金融商品取引法のような金融規制法令の適用対象事案が国境をまたぐ場合、法令の適用範囲がどうなるかについては、当該法令に根拠規定が置かれていることが少なく、解釈の余地が大きい。 

規制対象となる行為の少なくとも一部が国内において行われている場合に当該法令が適用されるという「属地主義」を原則とすべきであるという考え方が一般的。

この属地主義に加えて、これを修正するものとして「効果主義」ないし「効果理論」が主張されることもあるが、これは、領域外で行われた行為(例えば、インサイダー情報を利用した取引)も、それが国内の取引市場や国内投資家にも影響を与えうることを根拠に規制対象とすべきだという議論。

判示は、貸金業法の目的規定(1条)に触れ、それが貸金業法の適正な業務運営の確保をんも目的としていることを指摘。
他の金融規制法においても、直接的な目的であると思われる投資家や消費者の利益保護のみならず、取引市場の適正・公正の確保、金融の円滑をはかる等、より高次の目的も掲げられることが通常
 
●平成27年1月9日付けの本件報告命令の後、Xの基金拠出者である法人がその持分の51%を借主であるA社に譲渡したことにより、本件の貸付けは、貸金業法施行令1条の2第6号の適用除外により、貸金業の登録が不要な貸し付けとなった。 

判例時報2349

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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