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2018年1月12日 (金)

譲渡禁止特約のある指名債権の譲渡者の破産管財人と、特約の存在を知って譲り受けた者の関係

大阪高裁H29.3.3      
 
<事案>
譲渡禁止特約のある指名債権の譲渡人の破産管財人は、かかる特約の存在を知って譲り受けた者に対し、債権譲渡の無効を主張することができるか否かが問題となった事案。 

Xは、平成26年9月29日、Aとの間で、AがXに対して同日時点で負担し、又は将来負担することのある一切の債務の弁済を担保するため、Aが同日から平成31年9月28日までの間に顧客に対して取得する商品販売契約に基づく売掛債権を譲渡する旨の本件集合債権譲渡担保契約を締結。
Xは、平成26年10月22日、本件集合債権譲渡担保契約について、動産債権譲渡法(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律)4条1項に基づき、債権譲渡登記ファイルの譲渡の登記。
Aは、平成27年12月11日到達の書面をもって、Xに対し、支払不能の状態になっており、破産手続開始の申立てをする旨通知。
Aは、顧客であるBとの間の商品販売契約に基づき、平成26年9月29日から平成27年12月11日までの間に、Bに対し、380万1763円の本件売掛債権を有していたところ、本件売掛債権には譲渡禁止特約があったが、Xはそれについて悪意であった。
Xは、平成27年12月21到達の内容証明郵便で、Bに対し、本件売掛金債権を自己に支払うよう通知。

同月25日、Aに破産開始決定が出され、Yが破産管財人に選任され、Yも、Bに対し、本件売掛債権の支払を請求。
Bは、X、Yのいずれが真の債権者か確知できないとして、本件売掛債権につき相殺後の366万2613円について供託。

X、Y双方は、自己が本件供託金の還付請求権を有することの確認を求め、Xは本訴請求を、Yは反訴請求をそれぞれ提起。
 
<Xの主張>
最高裁H21.3.27によれば、譲渡禁止特約に反して債権が譲渡された場合において、債務者以外の者は、債務者に譲渡の無効を主張する意思が明らかであるなど独自の利益を有するときに限り、その無効を主張することが許されると解されるところ、破産管財人であるYはそのような利益を有していない⇒Yは本件債権譲渡の無効を主張することができない。 
 
<Yの主張>
最高裁H9.6.5によれば、債権譲渡禁止特約のある債権について、譲受人が特約の存在を知って譲り受けた場合には、民法116条の法意に照らし、差押債権者等の第三者の権利を害することはできないと解されるところ、
本件においては、Xは譲渡禁止特約のあることを知って本件売掛債権を譲り受けたところ、Bはかかる債権譲渡について承諾を与えていない
⇒本件債権譲渡は無効。 
 
<判断>
平成21年最判
⇒本件において、譲渡禁止特約のある本件売掛債権のAからXへの債権譲渡につき債務者であるBが承諾を与えていない以上、本件債権譲渡は無効
本件売掛債権は、Aの破産手続開始決定によりAの破産財団を構成するものであり、本件還付債権はYに帰属。 

Xは、平成21年最判を援用するが、
同判決は、譲渡禁止特約に反して債権を譲渡した債権者自身が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張すること許さない旨判示したものにとどまるものであって、それ以外の者が譲渡の無効を主張することの可否についてまで判示したものではない。
 
<解説>
平成9年最判⇒譲渡禁止特約に反してされた債権譲渡は無効⇒かかる特約があることを知りながら債権を譲り受けた者は、債権を取得できないのが原則。

平成21年最判は、無効を誰もが主張できると解するのではなく、譲渡禁止特約は誰を保護するために無効とされているのかという法の趣旨を考慮して無効を主張する者の範囲を限定。 

平成21年最判の射程:
差押債権者・破産管財人について、下級審で、肯定例と否定例。

判例時報2350

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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