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2018年1月29日 (月)

タクシー会社の乗務員の雇止めの事例(有効)

札幌地裁H29.3.28      
 
<事案>
Yに雇用され、タクシー乗務員として勤務していたXが、Yが行った雇止め又は解雇が無効及び違法であると主張し、
労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め、
不法行為に基づき、本件雇止め等以降の賃金相当損害金の支払を求めた事案。 
 
<争点>
①XとYとの間の労働契約が、期間の定めのない労働契約か、期間の定めのある労働契約か
②本件労働契約が、期間の定めのある労働契約の場合、本件労働契約は、労契法19条1号又は同条2号に該当するか
③本件雇止め等は有効か
④本件雇止め等には、不法行為が成立するか 
 
<規定>
労働契約法 第19条(有期労働契約の更新等)
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。
 
<判断>
●争点①について 
Xに対し交付されたY作成の労働条件通知書(嘱託乗務員)及びXが署名押印しY代表者が記名押印した嘱託乗務員雇用契約書に、期間の定めがあること又は契約期間が明確に記載されていること

Xもこれらのことを十分に認識した上で本件労働契約を締結したものとみることができる

本件労働契約は期間の定めのある労働契約
 
●争点②について 
Xは雇用期間を6か月とする有期労働契約が2回更新されたにとどまる
⇒本件労働契約は労契法19条1号には該当しない

①嘱託乗務員雇用契約書の契約の更新の欄に「会社が特に必要と認めた場合契約の更新をすることもある。」との記載
②労働条件通知書(嘱託乗務員)の「契約の更新はしない」との記載についてのY側の認識
③YからYの労働組合に対する契約の更新についての説明等

Xにおいて、期間満了時に、本件労働契約が更新されると期待することは、その程度は強くないものの、合理的な理由がある

本件労働契約は労契法19条2号に該当
 
●争点③について 
本件雇止めが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」に該当するか?

①Xの勤務成績が極めて悪かった
②Xの勤務方法が一般的な又は勤務成績の良いY乗務員と異なっていた
③Xの勤務成績及び勤務方法について改善可能性がなかった
④Xは雇用期間を6か月とする有期労働契約が2回更新されたにとどまっていた

本件雇止めには、客観的合理性も社会通念上の相当性も認められる

本件雇止めが不当労働行為(労組法7条1号)に該当するか?

本件雇止めに先だって行われていたYとYの労働組合との間の賃金体系についての団体交渉又は事後折衝の経緯等に照らすと、Yは、本件雇止めについて、反組合的意図をも有してたとも考え得る
but
①X以外にも勤務成績等を理由に本件雇止め以前に雇止めされた嘱託社員が1人いた
②X以外にはXの所属するC労働組合の組合員で雇止めされた者は見当たらない
③Xは、勤務成績が極めて悪く、勤務方法が一般的な又は勤務成績と良いY乗務員と異なっており、勤務成績及び勤務方法について改善可能性がないといえる状況であった
④YのC労働組合及びyの労働組合に対する嫌悪の存在をうかがわせるような事情が認められない

本件雇止めの主たる理由又は動機は、Xの勤務成績及び勤務方法並びにそれらの改善可能性にあったと認めるのが相当であり、
反組合的意図が決定的な理由又は動機であったと認めることはできず
また、XのC労働組合への所属又はXの組合活動がなかったならば本件雇止めがなされなかったであろうと認めることもできない

本件雇止めは不当労働行為に該当しない

本件雇止めは有効
 
●争点④:
本件雇止めは有効⇒本件雇止めには、不法行為が成立しない。

判例時報2351

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