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2018年1月 6日 (土)

生後4か月の幼児に対する身体機能回復指導と称する手揉み施術で死亡、副理事長の幇助者としての責任(肯定)

神戸地裁H28.12.14      
 
<事案>
NPO法人Pは、子育てひろば事業と称する事業として、「背すじ矯正」あるいは「身体機能回復指導」と称する施術を行う。
Y1(理事長)は、平成26年6月2日、関西サロンで、生後4か月のZに対し、身体機能回復指導を施術⇒施術開始から約45分後、それまで泣いていたZの泣き声がやみ、手足が脱力状態となり、呼吸もせず、顔や体が青白くなり容態が急変⇒救急搬送されて救命措置を受けたが、低酸素脳症に基づく多臓器不全で死亡。

Zの両親であるX1及びX2は、
本件事故は、Y1の本件施術に起因して発生したものであるとして、
Y1に対しては民法709条に基づき、
Y2に対しては民法719条2項に基づき、
それぞれ2601万円余の損害賠償請求。

Y1は争わず、Y2は責任を否定。
 
<争点>
Y2が本件事故に関してY1を「幇助した者」(民法719条2項)に当たるか否か。
具体的には、
Y2においてY1による本件施術の危険性を認識し得たにもかかわらず、何らこれを回避することをせず、Y1による本件施術を容易ならしめたということができるか否か。
 
<判断> 
●Y2が本件施術の危険性を認識し得たか否か

①Y2は、平成17年5月には本件法人の役員に就任し、副理事長として本件法人の経理、広報活動等、Y1と共に本件法人の事業活動を担ってきた
②Y2は、広報活動として、Y1が草稿した身体機能回復指導の内容・効用をつづった文章と身体機能回復指導の施術中の様子を撮影した写真をブログ上に掲載して紹介し、頻繁にブログを更新していただけでなく、Y1が関東サロンにおいて身体機能回復指導を施術する様子を間近で見ていた

Y2は、Y1が行う身体機能回復指導の危険性を予見することができた
 
●Y2による本件施術の幇助について 

Y2は、本件事故当時、本件法人の副理事長として、本件法人の事業活動が適正に行われるようにY1の活動を監督すべき立場にあった。

Y2は、Y1に対して乳児の生命に危険を及ぼすおそれのある身体機能回復指導の中止を真摯に検討すべく、自らあるいはY1と共に同施術の危険性について医師等の専門家の意見を聴取して施術内容を変更するなどして、前記危険が現実化することのないようにすべきであった。
but
Y2は、このような措置をとらず、新潟第二事件(平成25年2月に新潟サロンで身体機能回復指導を受けていた1歳10か月の児童が死亡した事件)後も、それ以前と変わらずにブログ等に身体機能回復指導の効用をうたって広報などしており、Y1が身体機能回復指導を行うことを心理的かつ物理的に容易にしたといえる。

Y2は少なくともその過失により、本件施術を幇助したものと認められる
 
⇒請求認容

判例時報2349

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

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