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2018年1月 5日 (金)

弁護士会照会に対する報告義務についての確認の訴えの法的性質等

名古屋高裁H29.6.30      
 
<事案>
Zは、弁護士会Xに所属する弁護士Lに対し、Aに対する未公開株詐欺商法による不法行為に基づく損害賠償壊死旧訴訟の提起・追行を委任。
この訴訟は、ZとAとの間の裁判上の和解が成立。
but
Aが約定の支払をしない。
⇒Zは、弁護士Lに対し、和解調書を債務名義としてAの財産に強制執行をすることを委任。

弁護士Lは、X(所属弁護士会)に対し、
①A宛ての郵便物についての転居届の提出の有無
②転居届の届出年月日
③転居届記載の新住所(居所)
④転居届記載の新住所(居所)の電話番号
について、
Yに弁護士法23条の2第2項に基づく照会をするよう申し出た(本件申出)。
Xは、本件申出を適当と認め、Yに対し、本件照会事項について弁護士会照会をした。
but
Yは、Xに対し、本件照会に応じない旨の回答

XとZは、本件拒絶により法律上保護される利益が侵害されたと主張し、Yに対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた。
 
<第1審>
本件拒絶は正当な理由を欠くが、Yに過失があるとまではいえない
⇒請求棄却
 
<差戻し前原審>
Xは、
損害賠償請求を主位的請求としたうえ請求を拡張
予備的請求として、Yにおいて本件照会に対する報告義務あることの確認請求を追加

Zの控訴を棄却
Xに関する第1審判決を変更し、主位的請求の一部を認容し、その余の請求を棄却。
本件確認請求については、主位的請求が全部棄却である場合の予備的請求であることが明らか⇒判断の必要なし。
 
<上告>
差戻し前の原審判決を法令違反であるとして破棄し、原審に差し戻す。
Xの主位的請求は理由がない
Xの予備的請求である報告義務確認請求については、更に審理を尽くさせる必要がある。
 
<争点>
①本件訴えは行訴法4条の「公法上の法律関係に関する確認の訴え」に該当するか
②損害賠償請求に本件確認請求の追加的併合が許されるか
控訴審における訴えの追加的変更が認められるか
③本件訴えには確認の利益が認められるか
④Xには当事者適格が認められるか
⑤本件拒絶に正当な理由が認められるか 
 
<規定>
行訴法 第4条(当事者訴訟)
この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。
 
<判断>
●弁護士会の照会事項に対する報告義務に係る確認の訴えの法的性質 
弁護士会照会の照会事項に対する報告義務に係る確認の訴えは、
①行政過程における紛争とはいえず、
②行政過程の特質に応じた行訴法の規定を準用する実益や必要性もない

「公法上の法律関係に関する確認の訴え」に該当するとしてこれに行政事件訴訟手続を適用するのではなく、原則に戻り、民事訴訟であると解するのが相当
 
●損害賠償請求に本件確認請求の追加的併合が許されるか 
①弁護士会照会の照会事項に対する報告義務に係る確認の訴えは民事訴訟であり、
②損害賠償請求訴訟とは同種の訴訟手続

損害賠償請求に本件確認請求を追加的に併合することは許される。
 
●控訴審における訴えの追加的変更が認められるか 
弁護士会照会の照会事項の報告拒絶に正当な理由があったか否かは、損害賠償請求が認められるか否かの判断の前提となっており、
請求の基礎に同一性が認められ
③控訴審における訴ええの追加的変更に相手方の同意は要求されていない

控訴審において本件訴えを追加的に変更したことは適法
 
●本件訴えには確認の利益が認められるか 
対象選択の適否、即時確定の利益、方法選択の適否のいずれの要素も充たしている⇒確認の利益が認められる。
 
●本件拒絶に正当な理由が認められるか 
郵政事業会社は・・・・郵便法8条2項に基づき守秘義務を負うが
弁護士法23条の2に基づく報告義務が優越し、その報告拒絶には正当な理由がない。

 
<解説>
弁護士会照会の照会事項に対する報告義務に係る確認の訴えの法的性質:
A:行政訴訟(公法上の法律関係に関する確認の訴え(行訴法4条))
確認訴訟の訴訟物が公法上の報告義務である
B:そうでない
行政処分等行政特有の諸行為にかかわるものでない
 
民事訴訟としての確認の訴えには確認の利益が必要であり、
確認の訴えによることの適否(方法選択の適否)
確認対象選択の適否
即時確定の利益(原告の地位に対する不安、危険の現実性)
により判定。

判例時報2349

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