再審請求において、捜査機関の保管する全証拠の一覧表を弁護人に交付するよう決定書をもって命じた事例
大阪地裁H27.1.14
<事案>
再審請求審において、裁判所が、書面による決定という形で、検察官に対して、弁護人への証拠の一覧表の交付を命じた事例。
<解説>
●本決定は、弁護人が、検察官に対し、本件捜査の開始から再審請求後の補充捜査までに収集された全証拠の開示を求めたのに対してなされたもの。
証拠自体の開示は、具体的に特定していないことを理由に認めなかったが、
全証拠の一覧表の交付を認めた。
一覧表の交付についての必要性、相当性
←「弁護人が開示を求める証拠と具体的に特定するすることは、相当な困難が伴い、ひいては、本件再審請求事件の迅速な判断が阻害されるおそれがある」
●刑訴法は、再審の審理の仕方についてはほとんど手続規定をおいておらず、再審請求審が職権主義的審理構造
⇒審理の進め方は裁判所の合理的な裁量による
⇒証拠開示をどのように考えるかは、裁判所によって相当取り扱いが異なる。
裁判所が新証拠の発見に資するべく、訴訟指揮権に基づき証拠開示を命じることは現行法上許容されないという考えも根強い。
←
証拠開示を命じた昭和44年決定や、刑訴法の証拠開示の規定は、通常第一審の手続に関するもので、再審請求手続には適用がなく、
請求人において再審理由を基礎付ける証拠とを提出することが必要とされている。
判例時報2347
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