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2017年12月18日 (月)

マンションの駐車場の使用料増額の決議の効力等

東京地裁H28.9.15      
 
<事案>
マンションの管理組合であるXが、同マンションの区分所有者で、Xの組合員であるYらのうち
第1事件では、Y1及びY3に対し
第2事件では、Y2に対し
Xの臨時総会における同マンションに設置されている本件駐車場の専用使用料を増額する旨の本件増額決議が有効であることの確認
その増額後の使用料のうちYら各自の未払分及びこれに対するXの管理規約所定の遅延損害金の支払
を求める事案。
 
<争点>
本件増額決議の効力の有無
これを有効とした場合にYらが負う債務額 
 
<規定>
区分所有法 第31条(規約の設定、変更及び廃止)
規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない
 
<判断>
●本件増額決議の効力の有無
本件駐車場の各専有部分についてのYらの権利:
区分所有者全員の共有に属するマンション敷地を排他的に使用することができる債権的権利。

Xとその組合員であるYら専用使用権者との関係:
法の規定の下で規約及び集会決議による団体的規制に服し、
管理組合は法の定める手続要件に従い、
規約又は集会決議をもって、
専用使用権者の承諾を得ることなく使用料を増額することができる

当該区分所有関係における諸事情を総合的に考慮して、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、増額された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、
専用使用権者は使用料の増額を受忍すべき。

このような場合は使用料の増額に関する規約の設定、変更等は専用使用権者の権利に「特別の影響」(区分所有法31条1項後段)を及ぼすものではなく、同項所定の区分所有者の承諾は必要ない

本件増額決議に係る増額については、必要性及び合理性があり、かつ、
増額されたい使用料も社会通念上相当な額

同決議はYらの承諾を要することなく有効であり、平成24年1月分以降はこれに沿った専用使用料増額の効力が発生。

●Yらの供託額を控除した残額の支払義務を求めたほか、
管理規約の規定に基づく弁護士費用としてXが支出した21万6000円の支払義務を認めた。 
 
<解説>
一般に、給付請求が可能な請求権については、給付の訴えを提起すれば足り、そのほかに、同請求権の確認を求める利益はないとされている。
 
本件増額決議の確認によって、差額分が直ちに確認されるわけではない

増額決議の有効の認を求める利益のほかに、その有効を前提として発生する差額分の支払を求める利益が肯定されてよい。 

本件増額決議の有効を確認する判決は、民事訴訟一般の確認判決
⇒対世的効力が認められるわけではなく、Yら以外の組合員で本件増額決議の効力を争う者がいると場合にも、その者の本件増額決議の無効主張を封ずるために、Yらとの間で本件増額決議の確認を求める利益が肯定されるということではない。

判例時報2347

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