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2017年12月 5日 (火)

介護施設利用者の転倒による頭部負傷事故と事業者の損害賠償責任(肯定)

大阪地裁H29.2.2      
 
<事案>
Aは、Y施設で、介護事業を利用⇒深夜にトイレに行こうとして転倒して頭部を負傷し、急性硬膜下血腫を発症、その後、それを原因として呼吸不全により死亡。 
Aの相続人であるXらは、前記事故は、Aが以前に転倒したことがったにもかかわらず、Y施設の職員が転倒防止措置を実施せず、Aに対する安全配慮義務を怠った過失により発生⇒Yに対し、債務不履行又は使用者責任に基づき損害賠償を請求。
 
<争点>
①Y施設の職員は、Aが再三の注意を守らずに1人でトイレに行こうとすることを予見することができたか
②Yは、Aの転倒を防止する措置として離床センサーを設置することを義務付けられていたか 
 
<判断>   
Yは、Y施設の利用契約に基づき、Aに対し、その生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(安全配慮義務)がある
 
●予見可能性について 
①Aは、パーキンソン症候群等の影響で、歩行の際はふらつきによる転倒の危険が高い状態にあった
②Aは、本件事故のわずか19日前にも本件施設において1人でトイレに行こうとして転倒する事故を起こしていた
③Aは本件施設の利用当初から1人でトイレに行こうとしており、Y施設の職員からはナースコールで職員を呼ぶように注意をされていたにもかかわらず、それを聞き入れることなく、1人でトイレに行っていた

Yの施設の職員は、Aに対して注意をしていたとしても、Aがそれに従うことなく1人でトイレに行こうとすること、その際に転倒する危険が高いことを予見することができた
 
●結果回避義務について 
①Yが高齢者向けの介護事業を営む事業者
②既にY施設で離床センサーを導入済みであった
③転倒防止の予防のために離床センサーを設置することについての当時の知見

Yは、本件事故の当時、自らナースコールを押そうとしない利用者に対して離床センサーを設置することが転倒予防に効果があることについて知見を有することを期待することが相当。

①Aは自らナースコールを押そうとしない利用者であり、離床センサーの設置が転倒予防のために望ましい者
②Y施設で離床センサーは利用されていない状態であってその設置に特段のコストは必要なく、Y施設の職員は離床センサーを設置すればAが1人でトイレに行こうとすることを察知し、転倒しないように見守り等を行うことができた

離床センサーを設置することが義務付けられていた。

●介護施設には人的物的体制に限界があるとしても、Aには転倒歴がある等の転倒の危険が高い者であったのに、特段の再発防止策を講じることなく、聞き入れてもらえないことが分かっている注意を繰り返していただけで、安全配慮義務を尽くしていたと評価することはできない

判例時報2346

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