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2017年11月 9日 (木)

コンビニ店長の精神障害発病による自殺と業務起因性(肯定事例)

東京高裁H28.9.1      
 
<事案>
Xは、その子A(コンビニ店長)が過重な業務に従事したことで精神障害発病して自殺⇒処分行政庁に対し、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償一時金及び葬祭料を請求⇒処分行政庁は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に定める疾病にかかっていないとして、不支給の処分⇒XはY(国)に対し、本件処分の取消しを求めた。 
 
<争点>
自殺の業務起因性が認められるか 
 
<原審>
適応障害の発病は認めつつ、自殺の業務起因性を否定⇒Xの請求を棄却。 
 
<判断>
自殺の業務起因性を肯定⇒原判決を取り消し、本件処分を取り消し。

Aが店舗の配置転換を含む店舗の業績、人事管理、人間関係等に悩み、長時間の時間外労働に連続して従事し、自らの限界を感じて自信を喪失し、次第に追い詰められた心境になり、睡眠障や食慾不振等の症状が2週間以上の期間にわたって持続
中等症うつ病エピソードの診断基準に合致
労基則別表第1の2第9号に該当する精神障害を発病。

①発病時期から6ヶ月間の時間外労働は平均して70時間程度であるが、遡って6ヶ月こえる時期には毎月概ね120時間を超え、時期によっては160時間を超える場合もあり、発病時期前の1年間の長時間労働は相当に過酷で、心理的負荷の程度は相当に強度なものであった。
20日間にわたる連続勤務を行っていた。
ノルマによる心理的負荷の程度も決して小さくはなかった。
心理的負荷の強度の全体評価は「強」に当たる。

その他業務以外の心理的負荷及び固体側要因は認められない

本件精神障害の発病には業務起因が認められ、その影響下で自殺に至った
 
<解説>
労基則別表第1の2第9号「人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病」に該当するかは、
平成11年9月14日基発第544号「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」を基準にしてきたが、その後
平成23年12月26日基発1226第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に認定基準が改められた。 

精神障害を発病していること、
発病前おおむね6か月間に業務による強い心理的負荷が認められること、
業務以外の心理的負荷及び個体側要因により発病したとは認められないこと
を認定要件とする。

判例時報2342

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