駐車場が地方税法の併用住宅の敷地の用に供されている土地に該当するかどうか(肯定事例)
東京地裁H28.11.30
<事案>
Xが、東京都知事の委任を受けた東京都練馬都税事務所長から、その所有する各土地のうち駐車場として使用されている各部分については地方税法349条の3の2及び702条の3に規定する固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例の適用を受ける住宅用地に該当せず、その余の部分に限り前記の住宅用地に該当するものとして、固定資産税及び都市計画税の各賦課決定を受けた
⇒
本件各駐車場も前記の住宅用地に該当する旨を主張して、前記各決定の一部の取消しを求めた。
<規定>
住宅用地とは、専ら人の居住の用に供する家屋(「専用住宅」)又はその一部を他人の居住の用に供する家屋で政令で定めるもの(「併用住宅」)の敷地の用に供されているj土地で政令で定められるものをいう(地方税法349条の3の2台1項)。
前記の併用住宅とは、その一部を人の居住の用に供する家屋のうち人の居住の用に供する部分(「居住部分」という、その余の部分を「非居住部分」という。)の床面積の当該家屋の床面積に対する割合(「居住部分の割合」)が4分の1以下である家屋をおう(地税法施行令52条の11第1項)
<問題点>
本件家屋が併用住宅に該当すること、本件各駐車場以外のX所有の前記の各土地がその敷地の用に供されている土地で政令に定めるもの(住宅用地)に該当することに争いはない。
本件各駐車場も併用住宅の敷地の用に供されている土地に該当し、ひいては住宅用地に該当するのかが争われた。
<主張>
X:
本件各駐車場はX所有の各土地の他の部分と共に、併用住宅である本件家屋を維持し又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地⇒住宅用地に該当する。
Y(東京都):
駐車場が本来的に家屋を維持し又はその効用を果たすために使用されている土地ではないが、附属的な家屋については本来の家屋と効用上一体として利用される状態にある場合には、一個の家屋に含めるものとされ、附属的な家屋には車庫も含まれると解される⇒車庫以外の駐車場についても、住宅に附属する施設として判断できる場合には、住宅用地として認定し得るとして、通達に言及。
but
本件各駐車場については、専ら当該住宅の居住者のための施設であること、ひいては居住者自らが利用する施設であるとは評価できない⇒住宅用地に該当しない。
<判断>
駐車場が併用住宅の敷地の用に供されている土地に該当するといえるためには、併用住宅の駐車場との間の関係に着目し、その形状や利用状況等を踏まえ、社会通念に従い、居住部分と非居住部分とから成る併用住宅を維持し又はその効用を果たすために使用されている駐車場であるか否かで判断されるべき。
併用住宅と全く関わりのない者が利用している駐車場については、社会通念上、これを併用住宅を維持し又はその効用を果たすために使用されている駐車場と評価する余地はない。
but
併用住宅の非居住部分の利用者が利用している駐車場であるからといって、直ちに併用住宅の敷地の用に供されている土地に該当しないものではない。
Yが主張するにように、もっぱら当該住宅の居住者のための施設であることや専ら居住者自らが利用する施設であることまでは要しない。
本件各駐車場は併用住宅である本件家屋の敷地の用に供されている土地に該当し、ひいては住宅用地に該当する
⇒Xの請求を認容。
判例時報2342
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