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2017年11月23日 (木)

民法30条2項の失踪宣告の「死亡の原因となるべき危難に遭遇」への該当性

東京高裁H28.10.12      
 
<事案>
不在者である二男が民法30条2項の規定する危難に遭遇⇒Xが失踪宣告を求めた。 
不在者が会社員として勤務していたいが、平成27年1月、スキー場のリフト終点から登山を開始したが、その後帰宅せず、捜索でも見つからない
 
<規定>
民法 第30条(失踪の宣告)
不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。d.
 
<原審>
危難に遭遇したとは認められない⇒申立てを却下 
 
<判断>
民法30条2項が規定する「その他死亡の原因となるべき危難に遭難した」とは、人が死亡する蓋然性が高い事象に遭遇することをいうと解される。
 
①不在者は、夏山登山の経験は多かったものの、冬山登山の経験がほとんどなく、その経験も初心者向けの山であった
②今回単独で登山
③登山計画書によれば、非常時に要する備品を携行せず、登山ルートも夏山登山のルートと時間であり、冬山ではルートも時間も異なった
④登山ルートは、天候が急変しやすく、吹雪になるとホワイトアウト状態となって迷いやすく、毎年遭難も発生
⑤登山ルートには樹木が雪で覆われたモンスターが多数あり、その根元部分には大きな穴があり、積雪のため穴の見分けが困難
⑥当時、登山ルートの山頂付近は、最低気温がマイナス22度程度、最高気温がマイナス10度程度であり、気圧配置によると、登山時には山頂付近の天候が悪化していた可能性がある
⑦リフト終点の積雪も3メートル以上あって、新雪もあり、登山ルートはそれ以上の積雪があった
⑧捜索隊も、隊員が交代しながらラッセルをして進み、スノーシューを履いても30センチメートル程度沈む程度

①登山ルートは、道に迷ったり、転落したりして身動きができなくなり、凍死するおそれがあったところ、
②不在者は、冬山登山の経験が少なく、登山ルートや所要時間を調査しないまま、体温を維持したり方向を確認したりする装備を携行せずに登山を開始し、
視界が悪化して道に迷ったか、所々にある穴に転落した蓋然性が高く
その場合には凍死する危険性も高い

人が死亡する蓋然性が高い事象に遭遇したと認めることが相当
 
<解説>
民法30条2項が規定する「その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者」とは、一般的な事象であると、個人的な遭難であるとを問わず、 ことごとくこれを含む広い規定(我妻)。
その例として、
地震、火災、洪水、津波、山崩れ、雪崩、暴風、火山噴火のほか、登山や探検に参加して生死不明の者等が挙げられ、
個別具体的に死亡原因となるか否かにより決定すべきであり、
渡し船が転覆した場合は、水泳の能否、大人と子供とで異なるとされている。

判例時報2345

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