« 債務者が履行を求める債務の内容と債務名義に表示された債務の内容の同一性が問題なった事案 | トップページ | 県立高校男子生徒がいじめにより自殺した事案 »

2017年10月 7日 (土)

債権譲渡が信託法10条の趣旨に反する行為として無効とされた事例

広島高裁H29.3.9      
 
<事案>
訴外Aの妻の弟であり、Aと同居しているXが、Aから、AのYに対する不法行為に基づく損害賠償又は不当利得返還請求ほか多種の債権を譲り受けたとして、Yに対し、同請求権に基づく支払を求めた。
 
<規定>
信託法 第10条(訴訟信託の禁止)
信託は、訴訟行為をさせることを主たる目的としてすることができない
 
<原審>
本件債権に基づく請求権が成立したとは認められない
⇒Xの請求を棄却。 
 
<判断>
Yは、控訴審において、Xの主張する債権譲渡は、AがXに訴訟行為をさせることを主たる目的としたものであり、信託法10条の趣旨に反すると主張。

債権譲渡であっても、信託法10条の趣旨に反するものは違法であって、無効というべきである。

仮に、AからXに対する本件債権の譲渡が存在するとしても、
①AからXに対する本件債権の譲渡は別件訴訟において、Aの訴訟代理人が辞任したため、別件訴訟についてXに訴訟行為をさせる目的で始まった
②その後にされた本件債権の譲渡を見ると、債権譲渡の提訴ないし訴えの追加という訴訟行為とが時間的に接近している
③Xが債権譲渡を受ける前に、Aとの間で、反対債権の回収方法について協議をしていた事実も認め難い

AからXに対する本件債権の譲渡は、XのAに対する債権回収を目的とするものではなく、Xに訴訟行為をさせることを主たる目的としたものであると認めるのが相当

Aが弁護士でないXに対する本件債権の譲渡は、XのAに対する債権回収を目的とするものではなく、Xに訴訟行為をさせることを主たる目的としたものであると認めるのが相当であり、Aが弁護士でないXに本件訴訟の訴訟行為をさせることは、合理的必要性があるとは認められない。
信託法10条に反する行為と言うべきである。
 
<解説>
信託法10条は、訴訟行為をすることを主たる目的とする信託を禁止。

このような信託を認めると、濫訴のおそれ、弁護士代理の原則を潜脱するおそれがある 
同条が禁止するのは、訴訟行為を主たる目的とする信託であって、たまたま受託者として訴訟行為をさせることがあっても、それが信託の主目的でない場合は無効とはならない。

訴訟を主たる目的とするか否かは、①受託者の職業、②委託者と受託者の関係、③受託者が訴訟を提起するまでの時間的隔たり等、諸般の事情を参酌して実質的に決すべく、また行為の当時を標準として判断すべき

判例時報2338

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 債務者が履行を求める債務の内容と債務名義に表示された債務の内容の同一性が問題なった事案 | トップページ | 県立高校男子生徒がいじめにより自殺した事案 »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/65886439

この記事へのトラックバック一覧です: 債権譲渡が信託法10条の趣旨に反する行為として無効とされた事例:

« 債務者が履行を求める債務の内容と債務名義に表示された債務の内容の同一性が問題なった事案 | トップページ | 県立高校男子生徒がいじめにより自殺した事案 »