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2017年10月27日 (金)

滞納処分として差し押さえた土地上に、公売公告前に「不動産公売予定地」等と記載した看板を設置⇒国賠請求(肯定)

熊本地裁玉名支部H28.9.28      
 
<事案>
固定資産税及び国民健康保険税に係る滞納処分としてその所有する土地(「本件土地」)等の差押えを受けたXが、公売公告前の本件土地上に「不動産公売予定地」 等と記載された看板を設置したY(市)に対し、本件看板の設置によりXの名誉等が侵害されたなどと主張して、国賠法1条1項に基づき、慰謝料等550万円を請求
 
<判断>
日本国憲法の下では徴税の手続は全て法律に基づいて定められなければならないと解されている

地方団体が徴税の手続において法律の規定に基づかずに滞納処分の事実を公開することは、公権力の違法な行使に当たる

地方税法により固定資産税及び国民健康保険税に係る地方団体の徴収金の滞納処分についてその例によるものとされる国税徴収法は、滞納処分の手続において公売公告の前に滞納処分の事実を公開すること予定しない。
本件看板の設置は、公権力の違法な行使に当たる

本件看板設置は本件土地の所有者であるXの名誉及びプライバシーを侵害するものであった。
⇒Yに対し、Xに生じた慰謝料及び弁護士費用の合計22万円の支払を命じた。
 
<解説>
名誉毀損人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値についての客観的な社会的評価を低下させることをいう(最高裁H9.5.27)。

一義的な内容を有する権利としてのプライバシー権という概念を認めた最高裁判例はないが、
個人の私生活上の自由の1つとして、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由が憲法13条により保障されるものとされている(最高裁H20.3.6)。

本件土地の所有者であるXの滞納処分の事実が、
前記の客観的な社会評価を低下させる事実であるとともに、Xの個人に関する情報といえる
⇒これをみだりに第三者に開示することは、違法な名誉毀損行為に該当するとともに、前記の私生活上の自由を侵害
⇒国賠法上の違法性を肯定。
 

国税徴収法上、差押登記の嘱託に関するもの(同法68条3項)を除いて公売公告の前に滞納処分の事実を公開する場合における具体的な手続を定めた規定が置かれていない
②滞納処分の事実が一般的に他人に知られたくない自己の情報であるといえる
③広く買受希望者の公売参加を誘引するという公売公告の趣旨に照らしても、公売公告前の段階で前記事実を公開すべき理由を見出すことは困難

公売公告前にXの承諾なくされたものと認められる本件看板の設置について、たとえそれが公売を広報する趣旨によるものであったとしても、名誉毀損行為としての違法性ないしプライバシー侵害該当性が否定されない

判例時報2341

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