« 尼崎連続不審死事件地裁判決 | トップページ | 債権譲渡が信託法10条の趣旨に反する行為として無効とされた事例 »

2017年10月 6日 (金)

債務者が履行を求める債務の内容と債務名義に表示された債務の内容の同一性が問題なった事案

東京高裁H28.8.10      
 
<事案>
本件建物周辺に居住するXらは、本件建物が暴力団の組事務所として使用されることで、Xらの生命、身体の安全などが害される危険がある
⇒Yらに対し、平成14年に、人格権に基づき、暴力団事務所使用差止め等の仮処分を申し立て、その旨認められた。
仮処分決定の内容は、五代目傘下のA及びその他の暴力団の事務所又は連絡場所として使用してはならないこと、Yらは本件建物内を銃砲刀剣類等の保存場所に供してはならないこと等
その後、平成28年に、本件債務名義に基づき、本件間接強制申立てがされた。
 
<争点>
債務名義には五代目傘下のAに本件建物を使用させない義務を表示しているのに対し、間接強制の申立て六代目傘下のAに本件建物を使用させない義務の履行を求めるもの⇒義務の同一性が認められるか。
 
<原決定>
仮処分決定から13年以上経過し、五代目傘下のAと六代目傘下のAとが同一であるとは直ちにいえず、五代目傘下のAは四次組織であったが、六代目傘下のAは三次組織であり、両者は異なる存在。
⇒義務の内容に同一性は認められない
⇒本件建物を使用させない義務について申立てを却下 
 
<判断>
兵庫県公安委員会は、「五代目B組」の名称で代表する物を「C」とする団体について、暴対法に規定する要件を満たす暴力団と指定して官報に告示し、その後に再指定されるに当たっての指定番号に連続性がある
② 「六代目B組」の名称で代表する者を「D」とする団体の指定番号は従前と同様で、再指定も「五代目B組」の更新時期に行われている

代表する者の交替に伴い名称を変更したに止まり、団体として同一であると認められる。

四次組織が三次組織になった点については、B組内での階層的序列の問題同一性の判断を左右するものではない
⇒義務の内容の同一性を認めた。
 
<解説> 
債務名義の表示と現状との間に不一致がある場合、執行機関が解釈によって同一性について判断しなければならない。 
債務の内容として団体の表示が異なる場合において、その団体のの同一性の判断にあたっては、単に団体の名称等の外観のみに依拠するのではなく、団体に係る客観的諸事情によって連続性が肯定できるかを検討すべき。

債務の内容に疑義⇒さらに訴えを提起することが必要となる(最高裁昭和42.11.30)。

判例時報2338

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 尼崎連続不審死事件地裁判決 | トップページ | 債権譲渡が信託法10条の趣旨に反する行為として無効とされた事例 »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/65882717

この記事へのトラックバック一覧です: 債務者が履行を求める債務の内容と債務名義に表示された債務の内容の同一性が問題なった事案:

« 尼崎連続不審死事件地裁判決 | トップページ | 債権譲渡が信託法10条の趣旨に反する行為として無効とされた事例 »