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2017年10月18日 (水)

高層ビルの建物部分の賃貸借契約交渉過程での信義則上の義務違反(肯定)

東京地裁H28.4.14      
 
<事案>
高層ビルの建物部分の賃貸借契約の締結交渉がされ、交渉が打ち切られた場合における契約締結上の過失責任(契約準備段階における信義則上の義務違反)の成否が問題になった事案。 
 
<事実関係>
商業施設等の開発、企画等を業とするX株式会社は、A信託銀行から高層ビルの29回、30階部分を賃借する予定。
平成24年夏頃以降、ウエディング関連事業を行うY株式会社が賃借(転借)することを希望⇒賃貸借の交渉。

Yは、平成24年10月31日、出店申込書を提出し、Xに賃貸借契約の申込みをし、同年11月22日、役員会において本件物件への出店が承認され、その旨がXに伝えられた。
平成24年12月22日、契約書案の内容が確定。
Yは、バンケット区画の拡張を提案し、Xに拡張ができなければ出店が中止される可能性があることを伝えた。
Xは、平成25年1月31日、Aとの間で、本件物件の賃貸借契約を締結。
Xは、平成25年2月20日、Yに区画変更に伴う工事がYの試算した予算内で可能であることを伝えた。
Yは、平成25年3月7日、経営会議において本件物件への出店を打ち切ることを決定し、同月8日、Xに申し込みを撤回。

Xは、Yに対し、契約締結上の過失責任に基づき逸失賃料、完工済工事費用、人件費等、テナント賃料収入額につき損害賠償を請求。
 
<争点>
Yの債務不履行責任又は不法行為責任の有無
Xの損害の有無・額 
 
<判断>
①XとYとの間で賃貸借契約書の内容を確定させる等し、平成25年2月末頃にはYの要望も実現可能な程度に対応を進めた
その頃までにXが本件賃貸借契約の締結に期待を抱いたことは相当の理由がある

②Yの要望への対応に関するYからの信頼を失わせる帰責性を否定

この期待は法的保護に値するとして契約準備段階におけるYの信義則上の義務違反を肯定

完工済工事費用、人件費等の損害を認め、
逸失賃料相当額、テナント賃料収入相当額の損害に関する主張を排斥

請求を一部認容。

判例時報2340

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