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2017年10月13日 (金)

不正競争防止法2条1項3号の「他人の商品」該当性等

知財高裁H28.11.30      
 
<事案>
控訴人(一審原告)らは、試験管用の加湿器を共同で開発したプロダクトデザイナー。控訴人加湿器1を平成23年11月に国際展示会へ、控訴人加湿器2を平成24年6月に国際見本市へ、それぞれ出展し、平成27年1月5日頃から、控訴人加湿器3を販売。
被控訴人は、生活雑貨の輸入等を業とする株式会社であり、平成25年に試験管用の加湿器(被控訴人商品)を中国から輸入し、国内の各取引先に販売。 

控訴人らが、被控訴人に対し、
①被控訴人商品が控訴人加湿器1・2の形態を模索したもの⇒不正競争防止法違反(不正競争防止法2条1項3号)に基づいて被控訴人製品の輸入、販売等の差止め等を、
②控訴人加湿器1・2は美術の著作物(著作権法10条1項4号)に当たり、被控訴人商品はこれを複製・翻案したもの⇒著作権に基づいて被控訴人商品の輸入、販売等の差止め等を
求めた。
 
<規定>
不正競争防止法 第2条(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

不正競争防止法 第19条(適用除外等)
第三条から第十五条まで、第二十一条(第二項第七号に係る部分を除く。)及び第二十二条の規定は、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については、適用しない。

五 第二条第一項第三号に掲げる不正競争 次のいずれかに掲げる行為
イ 日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
 
<原審>
控訴人加湿器1・2は、いずれも、市場における流通の対象となる物とは認められない⇒不正競争防止法2条1項3号にいう「商品」に当たらない。 
両加湿器は、いずれも、美的鑑賞の対象となり得るような創作壊死を備えていると認めることはできない⇒著作物に当たらない 
 
<判断> 
「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)に該当するためには、「商品化」を完了していれば足り、その商品化といえるためには、商品としての本来の機能が発揮できるなど販売を可能とする段階に至っており、かつ、それが外見的に明らかになっている必要がある。
②商品展示会に出展された商品は、特段の事情がない限り、開発、商品化を完了し、販売を可能とする段階に至ったことが外見的に明らかになった物品であるとして認められる。
③保護期間(不正競争防止法19条1項5号ロ)の始期は、開発商品化を完了し、販売を可能とする段階に至ったことが外見的に明らかになった時。

被控訴人商品は控訴人加湿器1・2を模倣したものであるから、不正競争防止法所定の保護期間内にされた被控訴人商品の輸入は不正競争に当たる。
but
口頭弁論終結時点では前記保護期間は既に経過している。
控訴人加湿器1・2は美術の著作物とは認められない。
 
<解説>
●「他人の商品」について 

本判決:
商品開発者の保護という法的要請と、②取引の安全性という社会的要請の両要請に鑑みて、保護に値する投資の地度とその外部からの観察可能性という観点

「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)に該当するためには、「商品化」を完了していれば足り、その商品化といえるためには、商品としての本来の機能が発揮できるなど販売を可能とする段階に至っており、かつ、それが外見的に明らかになっている必要がある。
試作品段階のものが保護の対象とはしていない。

サンプル出荷できる段階では商品化を終えていると説示するもの(東京地裁H16.2.24)
 
●「最初に販売された日」について 

本判決:
法文の用語からは若干離れるものの、
①先行開発者の保護と後行開発者の利益とのバランスを取ろうとした保護期間の規定の趣旨や
②知的財産法の法体系との整合性

保護期間(不正競争防止法19条1項5号ロ)の始期は、開発商品化を完了し、販売を可能とする段階に至ったことが外見的に明らかになった時
 
●応用美術品の著作物性について 
「応用美術」という用語には、明確な定義がない。
主に想定されているのは、量産される実用品に用いられている美観(形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)であr、これを「美術の著作物」(著作権法10条1項4号)又は「著作物」(同法2条1項1号)として、著作権法で保護できるのかという問題。

本判決:
応用美術が著作物性を認められるためには、個性の発露があり、また、美的鑑賞の対象となり得る美的特性を備える必要があると判断。
but高度の創作性は要しない。

控訴人らのスティック型加湿器については、個性の発露が認められない著作物性を否定

判例時報2338

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