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2017年10月 3日 (火)

千葉県青少年健全育成条例30条の規定の趣旨と保護処分可能性

東京高裁H28.6.22      
 
<事案>
少年(当時17歳)を含む5名の男子少年が、被害女性が当時18歳に満たないものであることを知りながら、同女にいわゆる野球拳を行った後、順次性的行為を行い、もって、青少年に対して、単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められない性行為をした。 
 
<原決定>
少年の行為が、千葉県青少年健全育成条例20条1項(みだらな性行為等の禁止)に当たる⇒同項違反の非行事実を認定し、少年に対し、第1種少年院に送致する旨の決定。 
 
<抗告>
①本条例の解釈を誤った法令違反
②重大な事実の誤認
③処分の著しい不当 
 
<問題>
本条例30条本文は、「この条例に違反した者が青少年(=小学校就学の始期から18歳に達するまでの者をいう、本条例6条1号)であるときは、この条例の罰則は、青少年に対しては適用しない。」と規定。 
家庭裁判所で保護処分の決定をする場合の「罪を犯した少年(少年法3条1項1号)」については、刑の減免自由、処罰阻却事由がある場合でも、犯罪が成立している以上、犯罪少年として審判に付することができると解されている。

本条例30条本文が、構成要件該当性や違法性を阻却する趣旨ではなく、単に処罰阻却の趣旨であれば、本条例20条1項違反の行為を行った少年に対し、同事実を非行事実として保護処分の決定をすることができる。
 
<判断>
本条例20条1項違反の行為を非行事実とする保護処分を認めた原決定を是認。

(性行為やわいせつんは行為が未成熟な青少年に与える影響の大きさ⇒このような行為から青少年を保護するという本条例20条の目的は、行為者が青少年か否かで異なるものではなく、同条が「何人も」と規定しているのはその表れ
本条例30条本文は、青少年の行為については、処罰を免除するということを規定したものであり、少年の保護、教育を目的とする保護処分に付することは可能。) 

判例時報2337

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