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2017年10月18日 (水)

賃料増額請求と管理行為・増額しない旨の特約の合意

東京高裁H28.10.19       
 
<事案>
本件建物につき持分2分の1を有するXは、Yに対し、賃料増額請求権を行使し、
適正賃料(月額898万円、税別)の確認と従前賃料(500万円、税別)との差額等の支払を求めた。
 
<規定>
借地借家法 第32条(借賃増減請求権)
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

民法 第252条(共有物の管理)
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
 
<判断>
原審請求棄却、控訴棄却。 
①本件建物の賃貸借契約について、消費税率の変動に伴って賃料が引き上げられた事実がない
②賃貸人と賃借人との間にはもともと密接な関係があり、相続による当事者の変更等はあったものの、円満な賃貸借関係を継続することが優先された

消費税率の変更にかかわらず賃料総額を変えないという黙示の合意が成立していたもので、Xは本件建物の持分を取得したことによりその賃貸人の地位を承継

Xは本件建物につき持分2分の1を有するが、合意の変更は共有物の管理行為に該当
Xが単独で賃料増額請求権を行使できるものではない
 
<解説>
●賃料増減請求権は、経済事情の変動などによって賃料が不相当となった場合に、これを是正するために認められるもの。
その意思表示が相手方に到達した時から増減の効果が生じる(最高裁昭和45.6.4)。 
増額については、請求権の行使を特約によって排除することができる(借地借家法32条1項ただし書)。

特約については、一般の契約の合理的意思解釈に従い、本判決が説示するように、当事者の関係、賃貸借契約の締結の経緯、その後の賃料増額の有無その他の事情により、判断される。

共有物の管理(民法252条本文):共有物を利用しその価値を高めるもの

賃料増額請求権はの行使は、まさに共有物たる賃貸物件の価値を高めるもの⇒持分の価格に従い、過半数で決する必要がある。

判例時報2340

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