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2017年9月 2日 (土)

民法910条の価額請求についての事案

東京地裁H28.10.28      
 
<事案>
被相続人亡Aの相続開始後、
死後認知によって相続人となった原告X1、X2が、
被相続人の配偶者であって、既に被相続人の遺産分割をしていた被告Yに対し、
主位的に価額請求をし、
予備的に不当利得返還請求を求めた事案。
 
<規定>
民法 第910条(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する
 
<Yの主張>
価額請求は審判事項
民法910条に基づく価額請求は、被相続人には子Bがいて、Yの相続分に影響がない⇒本件訴えの相手方とはならない。
不当利得返還請求について法律上の原因を欠くことはない。
 
<判断>
①遺産分割後、被認知者が行う価額請求は訴訟事項
②被認知者が被相続人の子で、被認知者以外に被相続人の子がいる場合には、被相続人の配偶者に対しては、価額請求をすることができず
③否認知者が価額請求をすることはできない場合には、不当利得返還請求をすることもできない。 
 
<解説>   
●価額請求の法的性質 
A:相続回復請求権の一種であるとして訴訟事項
B:分割方法が価額請求に限定された遺産分割請求の一種
通説・裁判例:審判事項とする明文規定がない⇒訴訟事項説
本判決:
家事事件手続き法39条は別表第1及び第2において家事審判事項を列挙していると解されているところ、価額請求は掲げられていない⇒民事訴訟の手続によるべき⇒訴訟事項説。
 
●被認知者以外に被相続人の子がいる場合に、被相続人の配偶者を相手方として、価額請求できるか?
通説:被相続人の配偶者は、別系列の相続人だから、被認知者の出現によりその相続分に影響を受けない⇒価額請求の相手方にならない。 
 
●不当利得返還請求の可否
民法910条は、なされた遺産分割の効果を覆すものではなく、これを有効とした上で、価額請求を認めたもの
Yが遺産を取得したのは有効な遺産分割協議に基づくもの

法律上の原因を欠くものとはいえない

判例時報2335

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