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2017年9月18日 (月)

訴状送達が無効とされた事例

仙台高裁秋田支部H29.2.1      
 
<事案>
交通事故により傷害を負わせたXが被害者であるYに対し、損害賠償債務が66万8580円を超えて存在しないことの確認を求めた事案。 
 
<原審>
Yが、原審口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しなかった⇒Yにおいて請求原因事実を争うことを明らかにしないものとして、これを自白したものとみなし、Xの請求を認容。 
 
<判断>
①Yは、本件事故当時山形県A市に居住していたが、平成27年、東京都内で稼働するようになり、これに伴い東京都に転居したが、住民登録上の住所については転出届けを出していない。
②Xは、平成28年3月22日、原審に本件訴訟を提起。
原審の裁判所書記官は、同月29日と4月11日、本件訴状副本及び第1回口頭弁論期日呼出状等を山形県A市のY住所に宛てて特別送達による交付送達を試みたが、送達は奏功せず。
担当書記官は、Xの訴訟代理人に対し、Yの就業場所及び所在の裏付け調査を行うよう指示⇒YがA市に居住していることを確認
④担当書記官は、Yに対し、民訴法107条1項1号に基づき、本件訴状副本及び第1回口頭弁論期日呼出状等をA市のY住居に宛てて書留郵便に付して送達するとともに、民訴規則44条の通知。
⑤原審は、Xの請求を認容する判決
⇒調書判決正本をA市の住居に宛てて書留郵便に付して送達するとともに、民訴規則44条の通知。

書留郵便による送達は、その発送時において、その送達場所が送達者の住居所でなければならなず、かつ、その住居所については、受送達者が現にそこに居住又は現在しているなどの実態を伴うものであることを要する
②本件訴え提起時及びそれ以降におけるA市の住居は、もはや実体を伴うものであたっとは言えない。

担当書記官がした本件訴状副本及び第1回口頭弁論期日呼出状並びに調書判決正本の書留郵便に付する送達は、発送時において、Yの住居所でない宛先を送達場所として行われたことになり、いずれもその効力を有しない

原判決を取り消し、本件第1審裁判所に差し戻した。
 
<規定>
民訴法 第107条(書留郵便等に付する送達)
前条の規定により送達をすることができない場合には、裁判所書記官は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるもの(次項及び第三項において「書留郵便等」という。)に付して発送することができる。

民訴規則 第44条(書留郵便に付する送達の通知・法第百七条)
法第百七条(書留郵便に付する送達)第一項又は第二項の規定による書留郵便に付する送達をしたときは、裁判所書記官は、その旨及び当該書類について書留郵便に付して発送した時に送達があったものとみなされることを送達を受けた者に通知しなければならない。
 
<解説>
送達は、交付送達、出会送達によるものを原則とするが、補充送達及び差置送達により送達することができない場合には、書留郵便等に付して送達することができる(民訴法107条)。
その送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所においてすべきものであり、その要件は厳格に解すべきであり、発送時における受送達者の住所、居所等に発送することが必要(伊藤等)。

受送達者の住所、居所が本来の住所、居所と異なっている⇒その効力が否定。
発送後に住所等を変更⇒送達の効力に影響がない。

判例時報2336

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