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2017年9月27日 (水)

定期預金債権・定期積金債権の相続による当然の分割(否定)

最高裁H29.4.6      
 
<事案>
亡Cの共同相続人の1人であるXが、亡Cが信用金庫であるYに対して有していた普通預金債権、定期預金債権及び定期積金債権(本件預金等債権)を相続分に応じて分割取得したと主張⇒Yに対し、その法定相続分相当額の支払等を求めた
亡きCのその他の相続人であるA等がYに補助参加 
 
<原審>
本件預金等債権は当然に相続分に応じて分割される⇒Xの請求を一部認容 
 
<判断>
共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。 
 
<解説> 
●共同相続された普通預金債権が相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるものでない(最高裁H28.12.19)。

平成28年大法廷決定は、ゆうちょ銀行の定期預金債権についても同様の結論となることを判示しており、この考え方はゆうちょ銀行以外の金融機関の定期預金・定期貯金にも及ぶものと考えられていた。
一部支払が可能である旨の特約は、定期預金の基本的性質を変更するものではない。


定期積金:期限を定めて一定金額の給付を行うことを約して、定期に又は一定の期間内において数回にわたり受け入れる金銭(銀行法2条3項) 

定期積金契約とは、金融機関が、あらかじめ一定の期間を定め、一定の期日に所定の金額の掛金を受け入れ、満期時に掛金総額と給付補填金を合計した一定の金額(給付金)を給付する諾成の有償片務契約であるが、その私法的性質において預金と区別する理由に乏しいとされている。

定期積金における給付補填金は、預金の元本に相当する掛金総額に加算して給付される金額⇒経済的には預金の利子と同じ実質を有する。
相続開始と同時に当然に分割されるか(共同相続人全員の同意の有無にかかわらず遺産分割の対象となるか)という点について定期積金債権と定期預金債権と区別する理由はない。


原告が相続により取得したと主張する分割単独債権について給付を求める訴訟を提起⇒原告の請求は棄却。
(給付の訴えにおいては、自らがその給付を請求する権利を有すると主張する者に原告適格がある(最高裁))
この場合の請求棄却判決の既判力は、原告と他の共同相続人との準共有債権を訴訟物とする訴訟には及ばないものと解される。
(不動産について原告が所有権を有しない旨の確定判決の既判力が原告の共有持分権を訴訟物とする訴訟に及ぶのとは異なり、前訴と後訴の訴訟物の間に内包関係がない。)

原告が他の共同相続人と準共有する債権について給付を求める訴訟を提起する場合、1個の物を共有する数名の者全員が共同原告となり、共有権(その数名が共同して有する1個の所有権)に基づきその確認を求める訴訟(最高裁昭和46.10.7)と同様に、固有必要的共同訴訟となるものと解される。

●本判決は、平成28年大法廷決定の直接の射程の外にあった定期預金及び定期積金についても同じ法理が妥当することを示したもの。 

判例時報2337

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