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2017年8月25日 (金)

認知症により要介護3の認定を受けた高齢者が締結した根抵当権設定契約が、意思能力がなく無効とされた事例

広島高裁H28.12.1      
 
<事案>
A(訴訟承継前原告)とその次女X(原告)が共有して居住する本件建物につき、銀行であるYを根抵当権者とする根抵当権設定登記がされていたところ、平成24年11月に根抵当権に基づく競売開始決定
Aが根抵当権の実行禁止及び競売手続停止の仮処分を得た上、根抵当権設定登記の抹消登記手続を求めた。
 
<原審>
根抵当権設定契約証書の原告の署名押印にXが関与した可能性は否定できず、本件契約書にAの意思に基づく署名押印があったとは直ちに認め難く、本件根抵当権設定契約は不成立。
⇒請求認容。 
 
<判断>
本件契約書にAが自ら署名押印したものと認めることができ、本件根抵当権設定契約が成立したものと認めるのが相当。
but
Aの意思能力について、本件根抵当権設定契約当時、同契約の意味を理解するだけの意思能力はなく、本件根抵当権設定契約は無効
⇒請求を認容した原判決は結論において相当。
 
<解説>
高齢者の場合には、その法律行為の態様等からみて、意思能力の理論よりも、法律行為不存在の理論のほうが有用であり、立証が容易であると言われている。 
本判決では、Aの意思能力について詳細な事実認定が行われており、特に、事実認定の調査の際に作成された「介護保険認定調査票」や「介護保険主治医意見書」が有力な証拠として利用されている。

判例時報2334

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