« 肝機能が悪化した場合に専門の医療機関を紹介する診療契約締結とその不履行が認められた事例 | トップページ | 公立学校教員の懲戒免職処分及び退職手当支給制限処分が取り消された事案 »

2017年8月 8日 (火)

重症新生児仮死の状態で出生し、重度の後遺障害を負った⇒損害賠償請求(肯定)

高知地裁H28.12.9      
 
<事案>
Yの運営する病院で重症新生児仮死の状態で出生し、重度の後遺障害を負ったA並びにその両親である父B及び母Cが、Y病院の医師及び助産婦には急速遂晩の準備及び実行をすべき義務があるのにこれを怠った過失等がある
⇒Yに対し、民法715条1項に基づき、合計約2億円余の損害賠償請求。 
 
<判断>
遅発一過性徐脈がある場合には胎児が低酸素状態にあることが、基線細変動が減少している場合には胎児の状態が悪化していることが、それぞれ推測される
②上記のとおり、Aの遅発一過性徐脈は一時的なものではなく、午後3時40分頃には高度遅発一過性徐脈が発生し、午後3時50分頃から、基線細変動の減少を伴う高度遅発一過性徐脈が複数回にわたり発生

担当医Dにおいては、遅くとも午後4時40分頃に分娩室に入室したころには、Aが低酸素状態にあり、その状態が悪化していることを認識することができた。 

Aがその後直ちに娩出されるような状況にはならなかった

陣痛促進薬による経膣分娩をそのまま続行した場合には、上記の低酸素状態がさらに増悪し、ひいてはAに低酸素状態を原因とする脳性麻痺の後遺障害が生じることがあり得ることを予見することができた

急速遂娩を行わなかった担当医Dには過失がある。
Yに対し、Aに1億7411万円余、Bに330万円、Cに440万円を支払うよう命じた。

 
<解説>
本判決が依拠したのは日本産婦人科学会と日本産婦人科医会が発表している「産婦人科診療ガイドライン・・・産科編2011」

日本産婦人科学会と日本産婦人科医会でコンセンサスが得られた医学的知見が示されていると判示。

判例時報2332

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 肝機能が悪化した場合に専門の医療機関を紹介する診療契約締結とその不履行が認められた事例 | トップページ | 公立学校教員の懲戒免職処分及び退職手当支給制限処分が取り消された事案 »

判例」カテゴリの記事

医療過誤」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/65640561

この記事へのトラックバック一覧です: 重症新生児仮死の状態で出生し、重度の後遺障害を負った⇒損害賠償請求(肯定):

« 肝機能が悪化した場合に専門の医療機関を紹介する診療契約締結とその不履行が認められた事例 | トップページ | 公立学校教員の懲戒免職処分及び退職手当支給制限処分が取り消された事案 »