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2017年8月 1日 (火)

相続税の節税のための養子縁組と縁組意思(民法802条1号)

最高裁H29.1.31      
 
<事案>
亡Aの長女であるX1及びAの二女であるX2が、Aの孫であるYに対して、AとYとの間の養子縁組は縁組をする意思を欠くものでると主張⇒養子縁組の無効確認を求めた。 
 
<規定>
民法 第802条(縁組の無効) 
縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき
 
<原判決>
本件養子縁組は専ら相続税の節税のためにされたものであり、かかる場合は民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たる。
⇒Xらの請求を認容。
 
<判断>
専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない
 
<解説>
本判決は、相続税の節税のために養子縁組をすることは、節税効果を発生させることを動機として養子縁組をするものにほかならず、相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存し得るもの

専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできないと判断。

借養子縁組を無効とした最高裁昭和23.12.23:
たとえ養子縁組の届出自体については当事者間に意思の一致があったとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものに過ぎないときは、養子縁組は効力を生じない

相続税の負担軽減のための便法として、養子縁組を仮装したような場合には、養子縁組が無効となるものと思われる。

「本件養子縁組について、縁組をする意思がないことをうかがわせる事情はない」との説示で、縁組意思が存在する旨の積極的な認定、説示はされていない。

養子縁組の無効確認の訴えにおいて、縁組意思がないことについては、縁組の無効を主張する原告に証明責任があるという見解に立ったものと思われる。

相続税法上、遺産に係る基礎控除額の算定の際に、相続人の数に算入される養子の数は、実子がいれば1人、実子がいなくても2人まで(同法15条2項)。
その制限内の人数の養子であっても、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、税務署長は、その養子の数をその遺産に係る基礎控除額算定上の相続人の数に算入しないで更正又は決定できる(同法63条)。

相続税の節税のための養子縁組が直ちに無効とならないとしても、相続税の節税効果が得られるとは限らない。

判例時報2332

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