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2017年8月 3日 (木)

宗教法人との間の根抵当権設定契約が内部手続がとられていないことを理由に無効とされた事例

高松高裁H28.11.25      
 
<事案> 
Y銀行が、Aとの間の銀行取引等に基づきAが負担すべき債務を担保するために、Aが代表者である宗教法人Xが有する不動産につき、Xとの間で根抵当権設定契約を締結し、同設定登記を経由したところ、Xが、本件設定契約は利益相反取引であるにもかかわらず宗教法人法及びXの規制に定められた手続を欠くからその効力を生じない⇒Y銀行に対し、前記不動産の所有権に基づき妨害排除請求として、根抵当権設定登記の抹消登記手続を求めた。 
 
<規定>
宗教法人法 第21条(仮代表役員及び仮責任役員)
代表役員は、宗教法人と利益が相反する事項については、代表権を有しない。この場合においては、規則で定めるところにより、仮代表役員を選ばなければならない。

宗教法人法 第23条(財産処分等の公告)
宗教法人(宗教団体を包括する宗教法人を除く。)は、左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、その行為の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。但し、第三号から第五号までに掲げる行為が緊急の必要に基くものであり、又は軽微のものである場合及び第五号に掲げる行為が一時の期間に係るものである場合は、この限りでない。
一 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること
 
<事実>
Xの規則には、これらの宗教法人法の規定と同旨の規定が置かれている。
また、Xが解散したときには、その残余財産が原則として現代表役員(A)に帰属することが定められている。 
 
<判断>
特に、包括宗教団体の代表者作成の承諾書面やX内部で公告手続がされたことを証する旨の信者作成の書面については、Y銀行の担当者が作成した原稿をAの責任役員等ではなくB社の従業員に交付して関係者の署名押印を求めるという経緯で作成されたものであった上、実際には公告手続がとられていなかったこと、Xの規則20条が定める責任役員会の同意手続がとられていなかったことを認定。
 
本件設定契約が利益相反取引に当たるにもかかわらず宗教法人法及びXの規制が定める仮代表役員選任の手続を経ていないから無効であるところ、

金融機関であるY銀行が本件設定契約の締結が利益相反取引に当たることを看過していたこと、
②Xに対するAの影響力が大きく、解散時の残余財産がAに帰属する旨がXの規則に定められているなどの事情は認められるものの、Xが宗教法人としての実態を有しており、A個人は別の法主体として固有の保護法益が認められること
③本件設定契約の締結手続に関して作成された前記各書面も前記認定の経緯で作成されたものである上、実際には公告手続がとられておらず公告がされたか否かについては外部からの確認も容易であったにもかかわらずY銀行が何らの確認もしていない等の事情

前記各書面の交付を受けたことによりY銀行の信頼を重視すべきとは認められない
⇒Xの請求を認容

判例時報2332

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