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2017年7月 8日 (土)

遺産分割調停事件での相続税申告書及び添付資料を対象とする文書提出命令の申立(否定)

福岡高裁宮崎支部H28.5.26      
 
<事案>
被相続人Bの遺産につき遺産分割調停(基本事件)の申立てをした相手方Aが、抗告人国の所持する基本事件相手方CがD税務署長に対して提出した相続税申告書及び添付資料につき文書提出命令を申し立て⇒原審が「D税務署」に対して、一部の提出を命ずる決定⇒抗告人国がこれを不服として即時抗告 
 
<判断>
行政庁が現実に保管する文書の所持者は国又は地方公共団体であると解され、本件文書の所持者は抗告人国であるが、原審において実質的に抗告人国に手続保障が与えられていたといえる⇒原審の手続に違法な点はない。

相続税申告書等は、公務員が職務を遂行する上で知ることができた私人の秘密が記載されたものであって、これが公にされることにより、申告者との信頼関係が損なわれ、申告納税方式による税の徴収という公務に支障を来すことになる
民訴法220条4号ロ「公務員の職務上の秘密に関する文書」に該当する。

①基本事件に係る遺産分割調停の手続が非公開であるとしても、相続人が感情的対立等から、自己の申告内容を他の共同相続人等に開示することを拒むような場合に、相続税申告書等を当該遺産分割調停事件に提出することにより、申告者との信頼関係が損なわれることは明らかであり、
申告納税制度が納税者の自主的かつ誠実な申告を前提に組み立てられている制度であり、納税者の自主的かつ誠実な申告にとって納税者と税務当局との信頼関係の確保が不可欠

基本事件のような遺産分割調停事件における相続税申告書等の提出が、被相続人の遺産の全貌を明らかにし、調停手続を円滑かつ迅速に進める上で必要性が認められ、ひいては適正な遺産分割の実現による紛争の解決に資するところがあるなどを考慮しても、
本件文書のような相続税申告書等は、その記載内容からみて、民訴法220条4号ロ「その提出により・・・公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれ」がある。
 
<解説>
確定申告書は、その提出により公務の遂行に著しい支障が生ずる可能性があるものの具体例の1つとして紹介されているだけでなく、民訴法220条4号ロ該当性を肯定する下級審決定もある。

判例時報2329

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