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2017年7月 6日 (木)

国税通則法施行令の除外規定の法適合性

大阪地裁H28.8.26      
 
<事案>
Xらは、平成18年11月8日に死亡したAを相続。
Xらは、法定申告期間内である平成19年9月10日、財産評価基本通達に基づいて相続財産を評価して相続税の申告。
but
その後、平成25年5月27日付けで前記通達が改正され、改正後の通達に基づいて相続財産を評価すると前記申告により納付すべき税額が過大に

Xらは、国税通則法23条2項3号及び国税通則法施行令6条1項5号(申告などに係る課税標準又は税額等の計算の基礎となった事実に係る国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈が判決等に伴って変更され、変更後の解釈が国税庁長官により公表されたことにより、当該課税標準等又は税額等が異なることとなる取扱いを受けることとなったことを知ったこと)によりB税務署長に更正の請求。

B税務著証は、Xらの更正の請求には以下の理由から理由がないとして、原告らに通知。
①Xらの更正の請求は、法定申告期限から5年間(納付すべき税額を減少させる更正をすることができる期間)が経過した後にされたものであるところ、減額更正は法定申告期限から5年を経過した後はすることができない。
②通則法71条1項2号は、①の特例として、政令で定める理由が生じた日から3年間は更正できる旨規定しているものの、同号の委任を受けて定められた施行令30条及び24条4項は、施行令6条1項5号の理由に基づく更正を除外しているから、通則法71条1項2号の適用はない。

Xらは、通則法71条1項2号の更正の理由として施行令6条1項5号の理由を除外する施行令30条及び24条4項の規定(「本件除外規定」)は、通則法71条1項2号の委任の範囲を逸脱したものであるなどと主張して、Y(国)に対し、本件各通知処分の取消しを求めた。
 
<争点>
本件除外規定が通則法71条1項2号の委任の範囲を逸脱したものであるか否か。 
 
<判断・解説>
法律の委任に基づく行政機関の委任命令が授権規定の委任の範囲か否かが問題となった最高裁判例(最高裁H14.1.13等):
委任命令が授権規定による委任の範囲内といえるか否かについては、
①授権規定の文理
②授権規定が下位法令に委任した趣旨
③授権法の趣旨、目的及び仕組みとの整合性
などを考慮して判断すべきと解される。

●通則法71条は、租税法上の法律関係の早期安定を図るために設けられた課税処分の期間制限の原則に対する例外を定めるもの。

同条1項2号に基づく減額更正は、租税法上の法律関係の早期安定を犠牲にしてもなお減額更正を行うべき事情が存在する場合に認められるというべき。
①同号が例示的に規定する更正の理由(申告納税方式による国税について、①その課税標準の計算の基礎となった事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに起因して失われた場合、②当該事実のうちに含まれていた取消うべき行為が取り消された場合)は、いずれも法的申告期限後に発生した事実に基因して課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実が変動し前記の計算が異なることとなった場合であって、同号は、前記のような場合には申告時においてその後に変動した事実を前提に納税義務がないことを確定することが不可能であることから、租税法上の法律関係の早期安定の要請を犠牲にしてもなお減額更正を行うことを認めたもの。
②同号が、更正の期間制限の特例が認められる場合として、同号に例示的に規定された場合に「準ずる」場合を政令に定めるものとしている。

同号が政令に委任しているのは前記と同様の事情がある場合というべき。

施行令6条1項5号の理由は、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変動が生じたというものではなく、国税庁長官の法令解釈の変更を契機にして課税標準等又は税額等の計算が異なるものであったことが確認される場合であり、
納税者は、自ら正しいと考える申告をし、課税庁から増額の更正を受けた場合にはこれに対する取消訴訟を提起して自らの権利保護を求めることができる

租税法上の法律関係の早期安定の要請を犠牲にしてもなお減額更正を行うべき事情があるとはいえない。

通則法71条が通則法70条の期間制限の例外であってその範囲を緩やかに解すべきでない。

施行令6条1項5号の理由が通則法71条1項2号のいう「その他これらに準ずる」理由に当たるとういことはできず、本件除外規定が同号の委任の範囲を逸脱するものということはできない

判例時報2329

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