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2017年7月13日 (木)

養育費の減額事例

東京高裁H28.7.8      
 
<事案> 
相手方(元夫)xが、抗告人(元妻)Yに対し、離婚の際に公正証書により合意した養育費の減額を求めた事案。 
 
X(元夫)とY(元妻)は、離婚の際、公正証書により、両名の間の3人の子の養育費について、XがYに対し子1人につき月額2万5000円(合計月額7万5000円)を支払うとの合意。
離婚後Yは再婚し、再婚相手と子ら(この子らは再婚相手と養子縁組していない)と共に生活。

Xは、Yの再婚や経済状況の変化などを理由に養育費の減額を求める調停の申立て。but審判移行後、申立てを却下するとの審判が確定。

事情の変更を肯定した上、公正証書による合意はいわゆる標準算定方式により算定される額を月額5万5000円上回っている⇒この合意の趣旨を反映させるべく、前件審判時の双方の収入により算定される養育費月額6万円に5萬5000円を加えた月額11万5000円とすべき
他方、Yの再婚相手がXとYとの間の子らの扶養に一定の責任を負うことは否定できない
Xが負担すべきは11万5000円の3分の2であるとし、結論としては変更の必要なし

その後、Xも再婚し、その再婚相手との間に一児をもうけた⇒再度、養育費の減額を求める審判申立て。
 
<判断>
前記審判後にXが再婚相手及びその間に生まれた子の扶養義務を負うに至ったことは、養育費の額を変更すべき事情変更に当たる。 
前件審判を前提に、
子それぞれについての養育費の額を生活費指数(親を100とした場合の子に充てられるべき生活費の割合)に応じて按分し、結論として、減額が相当
 
<解説>
●父母が養育費について合意し、あるいは審判により養育費が定められた後に、その合意等を基礎付ける事情が変更⇒養育費の増減額を求めることができる。 
事情の変更は、一般に、「法的安定性の要請から、前協議又は審判の際に予見されなかった事情であり、かつ、前協議又は審判を維持することが困難な程度に事情の変更が顕著であることを要する。」

●前に合意し、あるいは審判により定められた養育費の額がいわゆる標準算定方式により算定される額と相違する場合には、増減額の検討に当たってこの相違を考慮する必要がある。 
両者の差額を①固定額としてとらえて考慮したり、②両者の比率に着目して考慮したりするなどの方法があり得るが、最終的には、事案ごとに判断することになる。

●本件では、5万5000円の加算を、XとYの間の3人の子のみに配分すべきか、Xとその再婚相手との間の子等にも配分すべきか?
本決定「未成年者ら以外に相手方が扶養義務を負う子を未成年者らより劣後に扱うことまで求める趣旨であるとまで解すことはできない

Xが、Yとの間の3人の子に対して負う扶養義務と、再婚相手との間の子に対して負う扶養義務との間に差異はない。 

原審判は、5万5000円をXの基礎収入(養育費を捻出する基礎となる収入)に加算することで、同額をX自身にも配分してしまっている。
~合意の趣旨を超えている。

Y(元妻)の再婚相手は養親ではない以上、Xの養育費支払義務の検討においてYの再婚相手の存在を考慮すべきでないという考え方もあり得るが、考慮するという考えもあり得る

以上の検討を経て、XとYとの間の3人の子の養育費の合計額を算定した上で、これを3人の各生活費指数に応じて按分して、子ごとの養育費の額を算定。
←標準算定方式による算定の過程において、子ごとに異なる生活費指数を用いている。

判例時報2330

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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