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2017年7月15日 (土)

産婦が分娩直後の大量出血で死亡⇒損害賠償請求(否定)

東京地裁H28.7.21      
 
<事案>
産婦が分娩直後の大量出血で死亡
⇒法定相続人であるXらが、Y病院の担当医師らには、
①輸液、②輸血、③DIC(播種性血管内凝固症候群)に対する治療、④頸管裂傷に対する処置などの点について注意義務違反ないし過失があり、これにより本件患者は死亡したと主張⇒合計8890万円の損害賠償を求めた。
 
<判断> 
●輸液についての注意義務違反
輸液の経過として、午後4時頃までの出血量約1200gから1700gの純出血量に対し、少なくとも合計約1000mlの輸液がされ、さらに午後4時以降については、本件患者の状況の変化に応じて相当量の輸液⇒本件患者に対する輸液量として明らかに不足しているとまではいえない。
 
●輸血についての注意義務違反 
交差適合試験の実施をまって輸血したため開始が遅かった。
but
本件当時、「産科危機的出血への対応ガイドライン」は存在せず、どのような場合に血液型不明で、かつ、交差適合試験を実施しないままの輸血の実施が許容されるかについては、依拠すべき一般的指針はまだ確立していない
輸血についての注意義務を否定
 
●DICに対する治療についての注意義務 
DICに対する一定の治療は行っており、注意義務違反があるとまでは認められない。
 
●頸管裂傷について
頸管裂傷が本件患者の死亡に直接影響したものとはいえない。
 

本件患者の死亡原因を羊水塞栓症を原因とするDICの進行で死亡したと判断。
羊水塞栓症とは、何らかの原因で羊水成分が母体血中に流入し、母体に呼吸不全、循環不全、ショック、DICなどを併発する極めて重篤な疾患であるところ、仮にY病院の医師がXらの主張するような措置を採っていたとしても、本件患者を究明することは極めて困難であった可能性が高い

注意義務違反を否定し、Xらの請求を棄却

判例時報2330

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

 

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