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2017年7月14日 (金)

不動産業者等によるコンサルティングが弁護士法72条違反と不法行為とされた事案

大阪高裁H28.10.4      
 
<事案>
Y1会社:不動産業を営む有限会社
Y2:Y1の代表者
Y3:Y1を退社し個人で不動産業に関わる仕事をしている者 
X:2か所に住宅を所有しており、いずれも、敷地は亡妻と共有(持分各2分の1)、建物はXの単独所有。

Xと亡妻は本件住宅Aに居住し、本件住宅Bには長男がその家族と居住。
長女は結婚し別の場所に住む。
亡妻は平成22年7月に死亡。
遺言により亡妻の前記敷地共有持分はいずれもXと長女が2分の1ずつ取得。
同年12月、Xは、本件住宅Bの敷地のX共有持分の4分の1を長女に贈与し、同敷地の長女の共有持分は2分の1になった。

Xは、同年11月以降、介護老人施設で生活するようになり、同年12月、長女と共に本件住宅Bの売却をY1に相談。
Xは、同年8月ころ長男に対する資金の回収を弁護士に相談しており、長女もそのことを知っていた。
Y1は、Y2と共に、X及び長女から話を聞き、Y1とXは、住宅B売却の仲介の他に、長男に対する明渡の交渉、長男に対する貸金の回収を解決することを内容とするコンサルティング契約を締結。
Y2は、長男と交渉して、長男は住宅Aに転居し、かつ、長男が住宅Aの土地建物の所有権を取得すること、長男の前記転居に伴う費用(住宅Bの家財の搬出や廃棄の費用、長男の引越費用)はY1が負担することを合意し、亡妻の住宅Aの敷地持ち分を長男が相続したとする遺産分割協議書の作成や、Xの住宅Aの建物所有権及び敷地共有持分を長男に贈与するとの贈与契約書の作成を手配。

住宅Bは2195万円で売却され、Xは仲介手数料40万1600円とコンサルティング料203万円をY1に支払い、謝礼名目でY3に50万円を支払った。
 
<規定>
弁護士法 第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
 
<争点>
①本件コンサルティング契約の締結及び長男との交渉が弁護士法72条の要件である「業として」行われたものか否か
②控訴人らの行為が弁護士法72条に反するだけでなく、不法行為に該当するか 
 
<判断・解説>
●争点①について 
弁護士法72条の「業として」は、反復的に又は反復の意思をもって法律事務の取扱等をし、それが業務性を帯びるに至った場合を指す(判例)。

「業として」行われたものと判断

①Y2、Y3は、住宅Bの売買の仲介を依頼されたことがきっかけでXと知り合ったのであって、以前からの友人、知人といった属人的なつながりから長男との立退や貸金回収の交渉を引き受けたものではなく、当初から対価を得る目的で長男との交渉を引き受けた
②Y1は以前にも不動産仲介に伴って不動産の立退交渉を行い「お世話料」の名目で金員を得ていた
③長男との交渉の最終目的は住宅Bの明渡しを成功させてこれを売却することにあり、売却が成功すればY1は仲介手数料得ることができた。

Y1は反復の意思をもって本件コンサルティング契約を締結して、長男との交渉等の法律事務を行ったといえる
 
●争点②について 
弁護士法72条で禁止される「一般の法律事件に関して、法律事務を取り扱うこと」を内容とする契約は、民法90条の公序良俗に反する法律行為として無効⇒前記契約に基づいて支払われた報酬等については、不当利得返還請求権に基づきその返還を求めることができる

①Y1がXから受け取ったコンサルティング料が仲介手数料の約5倍に及び、Y2が受け取った謝礼も仲介手数料を上回っている上、②Yらは、Xと同道の上、Xが長男に対する貸金等を以前から相談していた弁護士に対する依頼を解消するにも関わっている

公序良俗に違反して無効であるのみならず、不法行為法上もこれを違法ということができる

判例時報2330

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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