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2017年7月 7日 (金)

仮差押え⇒土地第三者に譲渡(所有者別)⇒本執行の場合の法定地上権の成否(肯定)

最高裁H28.12.1      
 
<事案>
Xが、その所有する土地(838番6の土地)を占有するYに対し、所有権に基づき、土地明渡し及び賃料相当損害金の支払を求めるなどした事案。
838番6の土地上にはY所有の建物(本件建物)があるところ、Yはこれにつき法定地上権が成立するから、土地の占有権原を有するとして争った。

①Aは、平成14年5月23日当時、838番6の土地及び838番8の土地並びにこれらの土地上にある本件建物を所有。
②本件建物及び838番8の土地につき、平成14年5月23日、仮差押えがされた。
Aは、平成19年3月26日、838番6の土地をXに贈与
④本件建物及び838番8の土地につき、平成20年2月20日、強制競売手続の開始決定による差押え。
⑤Yは、強制競売手続における売却により、本件建物及び838番8の土地を買い受けてその所有権を取得し、それらを占有。
 
<規定>
民執法 第81条(法定地上権)
土地及びその上にある建物が債務者の所有に属する場合において、その土地又は建物の差押えがあり、その売却により所有者を異にするに至つたときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合においては、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
 
<原審>
本件建物につき法定地上権の成立を否定し、Xの土地明渡請求を認容し、賃料相当損害金の支払請求を一部認容。
 
<判断>
地上建物に仮差押えがされ、その後、当該仮差押えが本執行に移行してされた強制競売手続における売却により買受人がその所有権を取得した場合において、土地及び地上建物が当該仮差押えの時点で同一の所有者に属していたときは、その後に土地が第三者に譲渡された結果、当該強制競売手続における差押えの時点では土地及び地上建物が同一の所有者に属していなかったとしても、法定地上権が成立する。 

法定地上権の成立を肯定し、

原判決中、土地明渡請求を認容し、賃料相当損害金の支払請求を一部認容すべきものとした部分を破棄し、
法定地上権の消滅等について審理を尽くさせるため、前記部分につき原審に差し戻し、その余の上告を棄却。 
 
<解説>
●民執法81条は、同一所有者に属する土地及びその上にある建物の一方につき差押えがあり、その売却により所有権を異にするに至ったときは、法定地上権が成立。

①抵当権の実行にかかる民法388条の法定地上権と同様に、土地と建物は別個の不動産とされる一方、自己借地権は認められていないことから、前記のような事案では、特別の手当をしないと建物所有者は土地買受人に対して、また建物買受人は土地所有者に対して、土地利用権を主張できないことになり、
②建物取壊しによる社会経済上の不利益が大きい。

●民執法81条の、土地及び建物が同一所有者に属するとの要件(所有者要件)の基準時 
A:差押え時(中野他)

①民執法においては「仮差押え」と「差押え」は明確に区別され用いられているところ、同法81条には「仮差押え」の場合は規定されていない
②建物の仮差押え後に土地が譲渡された場合、建物につき土地譲受人との間で約定利用権が設定されるはずであり、建物の存続にはこの約定利用権があれば足りる

〇B:これを前提としつつ仮差押えがある場合については基準時を仮差押え時に修正する仮差押え時(民執法実務)

①執行の保全という仮差押えの目的を考えると、仮差押えには執行対象の価値の保存(交換価値の把握)という意義があるところ、基準時を差押え時とすると、建物の仮差押えをした後に土地の譲渡がされ、かつ利用権が設定されなかった場合、建物の価値はほとんど観念できないから、仮差押えで把握していたはずの価値を失うことになる
建物の仮差押え後に土地所有権が移転された場合、確固たる約定利用権が設定される保証はない

判例時報2329

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