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2017年7月 7日 (金)

支払期限が到来していない養育料債権(強制執行認諾文言のある公正証書あり)を被保全債権としての仮差押命令(否定)

最高裁H29.1.31      
 
<事案>
元妻であるXが、元夫であるYとの間で作成した強制執行認諾文言のある公正証書(「本件公正証書」)で定められた長男A及び二男Bの養育料(1人当たり月額3万円)のうち、Aに係る支払期限が到来していない養育料債権(平成28年2月~平成32年3月の50か月分、合計150万円)を被保全債権として、Y所有の土地及び建物(「本件不動産」)に対して仮差押命令の申立てをした。
 
<原審>
金銭債権について債務名義が存在する場合には、債権者は、特別の事情のない限り、速やかに強制執行をすることができる。
本件申立ては、権利保護の利益を欠き不適法であるから、これを却下すべき。
 
<判断>
抗告棄却 
 
<解説>   
●最高裁H24.9.6:
(いわゆる例文の形ではあるが)債務名義がある債権を被保全債権とする仮差押命令の申立てについて、権利保護の必要性を欠くとの理由でこれを却下すべきものとした原決定を正当として是認。 

例外が認められる場合:
・債務名義に条件又は期限が付されている場合
・執行停止命令があった場合等
 
●本件の養育料債権については、債務名義(執行証書)がある
支払期限が到来したもので未払のものについては、これを請求債権として強制執行の申立てをすることができる。
but
Yが給料その他継続的給付に係る債権を有していない
養育料債権のうち支払期限が未到来のものを請求債権として強制執行の申立てをすることはできない(民執法30条、151条の2。ただし、同法167条の16による間接強制の余地はある。)。 

養育料債権を被保全債権とする仮差押命令の申立ての権利保護の必要性の有無については、各月ごとの債権を切り出して議論するのではなく、養育料債権全体実現方法の問題として議論すべきであり、既に支払期限が到来した未履行のものがあれば、基本的には、まず、それについて強制執行に着手すべきものであるという考え方が背景にあるように思われる。
 
●本件では、Xが、本件不動産の強制競売を申し立てたとしても無剰余を理由に手続が取り消される可能性が相当程度ある。 

債権者が債務名義を有している場合に債務者所有の不動産が無剰余でること(又は無剰余の見込みが高いこと)が、当該不動産に対する仮差押命令申立てについて例外的に権利保護の必要性(保全の必要性)を認める事情となり得るか?
A:必要性を肯定するもの
B:必要性を否定するもの
C:近い将来に剰余が生じる見込みが高いことが証明された場合に例外的に必要性を肯定することを明言するもの

平成24年最高裁判決:
債権者が債務者所有の不動産に対して強制執行をしたが無剰余取消しされる直前に当該不動産について仮差押命令の申立てをした事案において、権利保護の必要性を否定した原決定を正当として是認
but
この決定が、例えば、遠くない将来に剰余が生じる見込みが高いことが証明されたような場合にまで例外を否定する趣旨であるかは明らかではない。

判例時報2329

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