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2017年6月26日 (月)

グーグル検索結果削除請求事件許可抗告事件

最高裁H29.1.31      
 
<事案>
Xの居住する県の名称及びXの氏名を条件としてYの提供する検索サービスを利用⇒関連するウェブサイトにつき、URL及び当該ウェブサイトの表題及び抜粋(URL情報等)が提供されるが、この中に、本件事実等(児童買春で逮捕された事実)が含まれる。
Xが、Yに対し、人格権ないし人格的利益にに基づき、本件検索結果の削除を求める仮処分命令の申立てを行った
 
<原審>
Xの主張の多岐にわたる被保全権利の主張を、名誉又はプライバシーに基づく削除請求権(差止請求権)に帰着するものと解した上で、これらの被保全権利及び保全の必要性をいずれも否定。 
   
Xが抗告許可の申立て等⇒原審が抗告を許可
 
<判断>
検索事業者が、ある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、
①当該事実の性質及び内容、②当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、③その者の社会的地位や影響力、④上記記事等の目的や意義、⑤上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、⑥上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較考量して判断すべきもので、
その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当。


本件においては本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない⇒Xの抗告を棄却
 
<解説>   
●平成20年第中頃まで:
検索事業者は飽くまでも媒介者であって、媒介内容について検索事業者は原則として責任を負わず、法的責任を負うとしても二次的なもの。
~検察事業さhが法的責任を負う場合を限定的、補充的に考える判断枠組みが有力。
平成20年代中盤以降:
出版メディアの領域で集積されてきた判例理論の判断枠組みに基づいた判断をした裁判例が増えている傾向。
but
比較衡量論の枠組みを採用する裁判例の中でも2つの枠組み。

A:比較考量の結果、プライバシーに属する事実を公表されない利益が優越するとされる場合には、原則として削除請求権を肯定。

B:「石に泳ぐ魚」事件控訴審判決と同様に、比較衡量に当たり、被害の明白性、重大性や回復困難性等をも考慮要素として加えるもの。
 
●一般的の用いられるロボット型検索エンジンは、
①インターネット上のウェブサイトに掲載されている無数の情報を網羅的に収集してその複製(キャッシュ)を保存し
②この複製を元にした検索条件ごとの索引(インデックス)を作成するなどして情報を整理し、
③利用者から示された一定の検索条件に対応するURL等情報を前記検索に基づいて検索結果として提供する
という3段階の情報処理を経るという仕組み。 

検索結果の提供に関する検索事業者の方針に沿った検索結果を得ることができるように設計作成されたもの⇒検索事業者自身の表現行為という側面人格的な権利利益と検索事業者の表現行為の制約との調整が必要
②検索事業者による検索結果の提供は、現代社会におけるインターネット上の情報流通基盤として、一層大きな役割を果たすようになっている。
③被害者の明白性、重大性や回復困難性にとどまらず、検索サービスの正確や重要性等も考慮要素として取り込む判断枠組みを採ることは、人格的な権利利益の保護範囲を事実上切り下げることになることが懸念。

本判決は、印刷メディアの伝統的な法理に沿った比較衡量の判断枠組みを基本としつつ、削除の可否に関する判断が微妙な場合における安易な検索結果の削除は認められるべきではないという観点から、プライバシーに属する事実を公表されない利益の優越が「明らか」なことを実体的な要件として示したもの。
 
●本決定の列挙した考慮要素の検索に当たっては、収集元ウェブサイトの内容を吟味することを要するが、当該内容は、ロボット型検索エンジンの一般的な仕組みに照らすと、検索結果の内容から容易に推認可能なことが多いであろう。
もっとも、収集元ウェブサイトの内容について個別に主張、立証することを本決定が否定するものではないと思われる。 

判例時報2328

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
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