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2017年6月 6日 (火)

医師の説明ミスと胃がん患者が受けた先進治療の費用の間の相当因果関係(否定)

奈良地裁H28.2.25      
 
<事案>
AはY1の開設する本件病院で検査を受け、胃がんであることが判明。
医師であるY2の不注意によりこれを説明しなかった⇒治療が遅れて胃がんにより死亡し、Aの相続人であるXらが損害賠償を求めた。 
 
<争点>
①Aが治療のため受けた保険適用のない免疫療法、NK細胞療法、がん免疫細胞療法、遺伝子両方等を受けた治療費が、本件説明ミスと相当因果関係のある損害といえるか
②相当因果関係がないとした場合に、先進治療費について支払合意があったか否か
③Y1がAに対して支払った金員が損害賠償の内払いに当たるのか 
 
<判断>
争点①について
本件説明ミスと先進治療費との間には相当因果関係はない

Aが受けた先進治療については、その有効性が医学的証拠をもって裏付けられたものではなく、これに要した治療費も著しく高額
争点②について、合意が成立したとは認められない。 
争点③について
AがY1に対して具体的に発生していた先進治療費の負担を求め、Y1もこれを認識してこれに応じて支払っている⇒損害金の内払いとはいえない
 
<解説> 
交通事故の被害慰藉が、脳脊髄液漏出症に罹患したとして、先進医療である硬膜外自家血注入療法(ブラッドバッチ)を受け、加害者に対し、損害賠償請求
⇒いずれも脳脊髄液漏出症の立証がされていないとして、請求を棄却された事例(大阪高裁H27.7.24)。 
がん治療について、通常とは異なる治療方法を行うことが医師の債務不履行、不法行為に当たるとしたもの(東京地裁H17.6.23)。

判例時報2325

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