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2017年6月28日 (水)

遺産分割の方法についての判断等

東京高裁H28.8.12      
 
<事案>
被相続人の妻であるXが、いずれも被相続人とXとの間の子であるY1及びY2に対し、被相続人の遺産の分割を求める審判 
 
<原審>
法定相続分に従い、
Y1の自宅の敷地となっている本件土地を除く不動産及び金融資産をXに、
Y2が保管する現金の大半をY2に、
同現金の一部をY1に取得させるほか、
Y1が取得を希望したものの代償金を支払う資力がない⇒換価競売を命ずることとした本件土地の換価代金の1割をXに、その9割をY1に取得させる旨の審判。 
   
Y1:本件土地の競売による換価代金が評価額より低廉なものとなるのは必至⇒原審の分割方法によるとY1のみが著しく不利益を被ると主張して抗告。 
Xが死亡し、Xの相続人であるY1及びY2がXの地位を承継。

Y1及びY2は、本件遺産分割手続においてXが取得すべき財産をY1とY2の間で更に具体的に分割することには同意せず、また、両名とも不動産の取得を希望せず
 
<判断>
金融資産及び現金をY1とY2の具体的相続分(本件では法定相続分と同じで2分の1ずつ)の割合に従ってY1とY2に均等に取得させ
不動産の全てについて換価競売を命じた上で、競売により取得する換価代金の一部について、Y1とY2に均等に取得させた。

遺産分割申立事件において、現金等の分割とともに不動産の換価競売を命ずる場合には、競売による換価代金が当該不動産の評価額と異なるものとなることが避けられないから、当事者間の公平を図るためには、換価代金は、出来る限り、各当事者の具体的相続分の割合に応じて分配するのが相当である。

遺産分割申立事件の係属中に相続人が死亡し、不動産の換価競売に基づく換価代金の一部を死亡した当該相続人に分配すべきこととなる場合には、同部分は同人の相続人らの遺産共有状態にある⇒同人の相続人らに相続分に従って保管させるのが相当

Xに分配すべきこととなる前記換価代金の残部について、Y1及びY2に均等の割合で保管させることとして、主文において、Y1及びY2に均等の割合で交付する旨を明らかにした。
 
<解説>
●遺産の一部について換価競売を命ずる場合の遺産分割の具体的方法:
競売する遺産の価額をあらかじめ評価して他の遺産と合算し、各相続人の具体的相続分により算出した具体的相続分額から、各相続人が他の遺産から取得する財産の価額を控除して、各相続人が換価代金から取得すべき額を算出し、これを割合化して、審判の主文において換価代金を当該割合で分配する旨を定める方法
②審判の主文において、現物分割により相続人が取得した遺産の分割時における価額と将来換価によって得られる金額とを合算して、これを具体的相続分に応じて分配すべき旨を定める方法
換価競売に付す遺産とその他の遺産を区別し、競売した遺産については、その換価代金を具体的相続分率により分配する方法

①⇒換価代金額と評価額との乖離による相続人間の不公平
②⇒競売終了時まで遺産の総額が確定しないことによる難点
③⇒総合的解決という遺産分割制度の趣旨に沿わない
結論的には①か③が妥当とされる。

原審判は①の方法
遺産を構成する財産の種類や性質、評価額によっては、この方法によらざるを得ない場合もあり、原審判も、遺産取得に関する各相続人の意向や、遺産の利用、管理状況等を考慮して、この方法によった。
本決定は、原審判後にXが死亡したという事情の変更もあって、原審判とは異なる分割方法を採用し、総合的な解決を図りながら、できる限り、当事者間の衡平に適う分割方法を採用するのが相当であることを明らかにした。

共有物について、遺産分割前の遺産共有の状態にある共有持分(遺産共有持分)と他の共有持分とが併存する場合における共有物分割に関する事案について、

最高裁H25.11.29:
遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ、その価格を遺産共有持分を有する者(遺産共有持分権者)に賠償させる方法により共有物を分割する場合には、当該賠償金は遺産分割の対象となり、当該賠償金を支払を受けた遺産共有持分権者は遺産分割がされるまでこれを保管する義務を負うとした上で、
裁判所は、当該共有物分割の判決において、各遺産共有持分権者において保管すべき賠償金の額を定めた上で、遺産共有持分を取得する者に対し、各遺産共有持分権者にその保管すべき額の賠償金を支払うよう命ずることができる

判例時報2328

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