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2017年5月 8日 (月)

ライブハウスの経営者が演奏主体(=著作権侵害者)に当たるとされた事例

東京地裁H28.3.25      
 
<事案>
著作権等管理事業者であるXが、Y1及びY2に対し、Yらが共同経営しているライブバーにおいて、Xとの間で利用許諾契約を締結しないままライブを開催し、Xが管理する著作物を演奏(歌唱を含む)させていることが、Xの有する著作権(演奏権)侵害に当たる

①管理著作物の演奏・歌唱による使用の差止めを求め
②著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求として、連帯して使用料相当額及び弁護士費用の支払を求め
③不法行為にも届く損害賠償請求又は不当利得に基づく返還請求として、平成27年11月1日から管理著作物の使用終了に至るまで、連帯して使用料相当額の支払を求めた。
 
<判断>
①Yらが共同して、ミュージシャンが自由に演奏する機会を提供するために本件店舗を設置、開店したという経緯、②ライブハウスの管理状況、③ライブの客から飲食代として最低1000円を徴収していること等の諸事情を総合
⇒Yらが、管理者作物の演奏主体(侵害主体)に当たる。 

Xに著作権管理を委託している著作者は、Xとの間で、全ての著作権及び将来取得する全ての著作権を信託財産としてXに移転する内容の契約を締結⇒著作者自身が演奏する場合であっても、Xに無許諾で演奏することは著作権侵害に当たる

著作権侵害の故意の有無の判断に当たっては他人の権利を有する楽曲を利用する認識があれば足りる⇒Yらには故意があった。

本件調停の過程において管理著作物の利用に係る許諾契約が成立しているとは認められない。
Xによる請求は、過去の交渉経緯等に照らしても権利濫用に当たらない。

Xの差止請求を認めるとともに、過去の本件店舗における演奏に係る損害賠償請求又は不当利得返還請求については、証拠により認められる限度で一部認容。
将来の給付請求については、あらかじめその請求をする必要がある場合に当たらないとして棄却。
 
<解説>
クラブ・キャッツアイ事件(最高裁昭和63.3.15)、ロクラクⅡ事件(最高裁H23.1.20):
最高裁は、
演奏主体に関し、クラブキャッツアイ事件で、
スナックにおける客のカラオケ歌唱について、
①店の経営者の管理の下に歌唱していると解されていること
②店の経営者が、客の歌唱を利用して営業上の利益を増大させることを意図していること
店の経営者が演奏主体であると判断。

複製主体に関し、ラクロスⅡ事件で、
サービス提供者が、その管理、支配下において、放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力するという複製の実現における枢要な行為をしている
サービス提供者が複製主体に当たる。 

本判決:
Yらが、①演奏を管理・支配し、②演奏の実現における枢要な行為を行い、③それによって利益を得ている⇒Yらが侵害主体に当たる

本件ライブバーは、ライブ客から徴収したミュージックチャージの全額を出演者が得ているなど通常のライブハウスとは多少異なる営業実態。

判例時報2322

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

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