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2017年5月31日 (水)

厚木基地騒音訴訟(第4次)

最高裁H28.12.8      
 
<事案>
国が日米安保条約等に基づき米軍に使用させ、また、海上自衛隊が使用する厚木海軍飛行場の周辺住民である原告らが、自衛隊機及び米軍機による騒音等により受忍限度を超える被害を被っている

国に対し、
①自衛隊機及び米軍機の離着陸等の差止め及び音量規制を請求するととにに、
②国賠法2条に基づく損害賠償等を請求
 
<規定> 
国賠法 第2条〔営造物の設置管理の瑕疵と賠償責任、求償権〕
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
 
民訴法 第135条(将来の給付の訴え)
将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。
 
<判断>
・・・損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分については、その性質上、将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しないものというべきである。 
 
<解説> 
●本件で問題となるのは「あらかじめその請求をする必要がある」との要件を充たすか否かという以前に、そもそも当該請求権が将来給付の訴えの対象となり得るか否か(請求適格の有無)。
 
将来の給付の訴えの対象:
①期限未到来の債権
②停止条件付き債権
③将来発生すべき債権(保証人の求償権、代償請求権等) 
本件における将来分の損害賠償請求権は、事実審の口頭弁論終結後も引き続き将来にわたって継続させる不法行為に基づく損害賠償請求⇒③に該当。
不動産の不法占拠者に対する明渡請求に付随して、事実審口頭弁論終結の日までとその翌日以降とを区別せずに「明渡済みまでの賃料相当損害金」を求めるもの等。
 
●最高裁昭和56.12.16(大阪国際空港訴訟判決):
継続的不法行為に基づき将来発生すべき損害賠償請求権については、
たとえ同一態様の行為が将来も継続されることが予測される場合であっても
①それが現在と同様に不法行為を構成するか否か及び賠償すべき損害の範囲いかん等が流動性を持つ今後の複雑な事実関係の展開とそれらに対する法的評価に左右されるなど、損害賠償請求権の成否及びその額をあらかじめ一義的に明確に認定することができず、具体的に請求権が成立したとされる時点において初めてこれを認定することができるとともに
②その場における権利の成立要件の具備については当然に債権者においてこれを立証すべく、事情の変動を専ら債務者の立証すべき新たな権利成立阻却事由の発生と捉えてその負担を債務者に課するのは不当であると考えられるようなものについては、不動産の継続的不法占有の場合と同一に論ずることはできない。

そのような将来の損害賠償請求権については、本来例外的にのみ認められる将来の給付の訴えにおける請求権としての適格を有するものとすることはできない

航空機騒音により周辺住民らが被害を被っていることを理由とする損害賠償請求の場合に、明確な具体的基準によって賠償されるべき損害の変動状況を把握することは困難
将来の給付請求は許されない

●最高裁H19.5.29:
飛行場において離着陸する航空機の発する騒音等により周辺住民らが精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする騒音等により周辺住民らが精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は、判決言渡日までの分についても、将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しない旨を判示。 

判例時報2325

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