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2017年5月17日 (水)

面会交流の間接強制金につき、債務者の資力を考慮し、毎月1回の不履行ごとに100万円とされた事案

東京家裁H28.10.4    
 
<事案>
非監護親である外国人妻が監護親である日本人夫に対し、離婚前の面会交流の申立⇒東京家裁がこれを認容し、東京高裁がこれを維持:監護親が毎月1回、第1日曜日、午前11時から午後4時まで面会交流をさせる義務を負担したにもかかわらず、履行せず⇒非監護親が間接強制の申立
 
■面会交流決定
●東京家裁
いわゆる原則的実施論に基づき、相手方による、申立人の育児放棄や連れ去りの危険の主張、あるいは未成年者の申立人との面会拒否の主張等はいずれも退け、申立人との面会交流の実施が未成年者の福祉を害するものと認められる特段の事情はない⇒母子直接面会を認めるべき。

未成年者は既に12歳であり、十分な判断能力を有し、意思を表明することができることを考慮しても、未成年者の負担や生活上の利益に対する配慮をしたうえで、面会交流の具体的な方法を定め、相手方に未成年者の引渡義務を課さなければ、面会交流を実現することはできない⇒面会交流義務の履行を命じた。

審判時12歳になっている未成年者の意思に関し、未成年者は11歳時の調査官調査によれば、現在の父の監護状態が変更されなければ申立人との面会交流を受容している
離婚訴訟において親権者が相手方に指定され、これが確定した後にという未成年者の発言は、相手方の意向を反映したものであり、これが面会交流を妨げるべき特段の事情に当たらない

●抗告審
未成年者の拒否的発言は未成年者の考えというよりも相手方監護親の主張を受け売りするものであり、同相手方が申立人に対する否定的情報を与え続けたことで、未成年者の認知が歪んでしまった結果である
 
<判断>
債務者の平成27年度の年収が給与収入合計2640万円であること等を考慮し、不履行1回につき100万円の間接強制金の支払を命じたもの。 
 
<解説> 
●間接強制金の額としては、これまでの裁判例では、毎月5万円、8万円などが多く、他の実務例でも5万円から10万円が多い。
双方医師の場合でさえ20万円と抑えられている。
実務的には、①債務者の支払能力や②養育費の額等によって定められている。
債務者の多くは女性で資力がない場合が多い⇒低額化傾向にある。
 
●面会交流の不履行に対する間接強制について、判例は積極説。 
 
●未成年者の意思表示について、家事事件手続法152条が15歳以上の子の陳述を聴かなければならないとしているほか、同法65条はそれ以下の未成年者でも年齢に応じた子の意思を考慮しなければならない旨を定めている。
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未成年者が意思表示をしても、それは監護者の影響によるもので、子の真意ではないとする認定判断がされることがある
(米国でも、PAS・PA問題として議論されている) 

家事事件手続法 第152条(陳述の聴取)
2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。

家事事件手続法 第65条
家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。
 
●本件は東京高裁に抗告され、制裁金があまりに過大であるとして30万円に減額する決定。 

判例時報2323

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