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2017年5月

2017年5月31日 (水)

厚木基地騒音訴訟(第4次)

最高裁H28.12.8      
 
<事案>
国が日米安保条約等に基づき米軍に使用させ、また、海上自衛隊が使用する厚木海軍飛行場の周辺住民である原告らが、自衛隊機及び米軍機による騒音等により受忍限度を超える被害を被っている

国に対し、
①自衛隊機及び米軍機の離着陸等の差止め及び音量規制を請求するととにに、
②国賠法2条に基づく損害賠償等を請求
 
<規定> 
国賠法 第2条〔営造物の設置管理の瑕疵と賠償責任、求償権〕
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
 
民訴法 第135条(将来の給付の訴え)
将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。
 
<判断>
・・・損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分については、その性質上、将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しないものというべきである。 
 
<解説> 
●本件で問題となるのは「あらかじめその請求をする必要がある」との要件を充たすか否かという以前に、そもそも当該請求権が将来給付の訴えの対象となり得るか否か(請求適格の有無)。
 
将来の給付の訴えの対象:
①期限未到来の債権
②停止条件付き債権
③将来発生すべき債権(保証人の求償権、代償請求権等) 
本件における将来分の損害賠償請求権は、事実審の口頭弁論終結後も引き続き将来にわたって継続させる不法行為に基づく損害賠償請求⇒③に該当。
不動産の不法占拠者に対する明渡請求に付随して、事実審口頭弁論終結の日までとその翌日以降とを区別せずに「明渡済みまでの賃料相当損害金」を求めるもの等。
 
●最高裁昭和56.12.16(大阪国際空港訴訟判決):
継続的不法行為に基づき将来発生すべき損害賠償請求権については、
たとえ同一態様の行為が将来も継続されることが予測される場合であっても
①それが現在と同様に不法行為を構成するか否か及び賠償すべき損害の範囲いかん等が流動性を持つ今後の複雑な事実関係の展開とそれらに対する法的評価に左右されるなど、損害賠償請求権の成否及びその額をあらかじめ一義的に明確に認定することができず、具体的に請求権が成立したとされる時点において初めてこれを認定することができるとともに
②その場における権利の成立要件の具備については当然に債権者においてこれを立証すべく、事情の変動を専ら債務者の立証すべき新たな権利成立阻却事由の発生と捉えてその負担を債務者に課するのは不当であると考えられるようなものについては、不動産の継続的不法占有の場合と同一に論ずることはできない。

そのような将来の損害賠償請求権については、本来例外的にのみ認められる将来の給付の訴えにおける請求権としての適格を有するものとすることはできない

航空機騒音により周辺住民らが被害を被っていることを理由とする損害賠償請求の場合に、明確な具体的基準によって賠償されるべき損害の変動状況を把握することは困難
将来の給付請求は許されない

●最高裁H19.5.29:
飛行場において離着陸する航空機の発する騒音等により周辺住民らが精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする騒音等により周辺住民らが精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は、判決言渡日までの分についても、将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しない旨を判示。 

判例時報2325

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2017年5月30日 (火)

刑の一部の執行猶予に関する規定の新設と刑訴法411条5号にいう「刑の変更」(該当せず)

最高裁H28.7.27    
 
<事案>
被告人が、2回にわたり、営利の目的で知人に覚せい剤を譲渡したという事案。 
1審、2審とも量刑が争点。

原判決後、本件が上告審係属中であった平成28年6月1日に、刑の一部の執行猶予制度を新設する2つの法律(①刑法等の一部を改正する法律、②薬物使用等の積んにを犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律)が施行
 
<弁護人>
上告趣意において、刑の一部の執行猶予制度の新設は、刑訴法411条5号が職権破棄事由と定める原判決後の「刑の変更」に当たる。 
 
<規定>
刑訴法 第411条〔著反正義事由による職権破棄〕
上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
五 判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。

刑訴法 第383条〔再審事由等〕
左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その事由があることを疎明する資料を添附しなければならない。
二 判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。

刑法 第6条(刑の変更)
犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる。
 
<解説>
●刑訴法411条5号は、控訴審に関する同法383条2号に対応する規定で、その趣旨は、原判決後に刑の変更等があった場合に、原判決にその時点では瑕疵がなかったにもかかわらず、原判決前に刑の変更があった場合との衡平の観点からみて、原判決を維持することが法的正義に反するという政策的理由でこれを破棄するもの。

最高裁昭和23.11.10:
刑法6条は特定の犯罪を処罰する刑の種類又は量が法令の改正によって犯罪時と裁判時とにおいて差異を生じた場合でなければ適用されない規定⇒刑の全部の執行猶予の条件に関する規定の変更は、同条にいう「刑の変更」には当たらない。
 
●刑の一部の執行猶予制度新設の趣旨:
改正前刑法では、刑の言渡しの選択肢として全部実刑か刑の全部の執行猶予かのいずれかしか存在しなかった。
vs.
犯罪をした者の再犯防止・改善更生のためには、施設内処遇後に十分な期間にわたり社会内処遇を実施することが有用な場合がある。

裁判所において、宣告した刑期の一部を実刑とするとともに、その残りの刑期の執行を猶予することにより、施設内処遇に引き続き、必要かつ相当な期間、刑の執行猶予の言渡しの取消しによる心理的強制の下で、社会内における再犯防止・改善更生を促すことを可能にするような刑の言渡しの選択肢を増やすべく、刑の一部の執行猶予制度が新設。 
 
刑法6条は、法定刑ないし処断刑を定めるために新旧どちらの法律を適用するかという場面で用いられる規定。
ここでいう「刑の変更」とは、法令の改正によって特定の犯罪に対して科される刑の種類又は量、すなわち、特定の犯罪に対する法定刑又は処断刑が変更された場合を意味する。

①上訴に関する刑訴法383条2号、411条5号の趣旨
②「刑の変更」と並んで破棄事由とされているのが「刑の廃止」及び「大赦」

これらの規定にいう「刑の変更」は、改正法を適用しないことによって衡平の観点から法的正義に反するほどの重大な事態が生じる場合を意味すると解される。

③同一文言解釈の統一性
刑法6条の場合と同一の意味に解するのが相当

本決定は、刑の一部の執行猶予の制度趣旨をふまえ、それが特定の犯罪に科される刑の種類や量を変更するものではない
刑の一部の執行猶予に関する刑法の各規定の新設は刑訴法411条5号にいう「刑の変更」には当たらない

判例時報2324

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2017年5月29日 (月)

従業員に対する賃金の支給に際し労働基準法違反をしたとして、業務委託契約を解除された事例(肯定)

大阪高裁H28.9.2      
 
<事案>
Y1:1000円でカットサービスをのみを提供するヘアカット専門店の経営事業を営む会社。
本件訴訟の係属後にY2に合併された。
X1は、A(X1代表者)が、Y1と締結していた業務委託契約を承継し、大阪府およびその周辺地域で店舗運営事業を営んでいた会社で、X2は、X1からその事業の一部を受託。
Y3ら:X1の取締役であり、その担当する地域の責任者(エリアディレクター)として店舗の運営を管理する役割を担っていた。

Y1が、X1につき、約定の解除事由である「本契約を継続し難い重大な事由」が生じたとして業務委託契約を解除。

X1が、Y1訴訟承継人Y2に対し、その解除は無効であると主張して、
①業務委託契約に基づき委託料の支払を求めるとともに
②同契約上の地位を有することの確認を求め、
B(Y1代表者)とY3らが、共謀の上、X1に無効な解除通知を送付し、X1の従業員を違法に引き抜いたなどと主張して、X1とX2が、Y1訴訟承継人Y2とY3らに対し、それぞれ共同不法行為又は債務不履行に基づき損害賠償を請求した事案。
 
<規定>
労基法 第24条(賃金の支払) 
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

労基法 第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 
<争点>
業務委託契約の解除の有効性
①X1は、委託業務の遂行に当たり、法令遵守義務を負っているが、従業員に対するj賃金の支給に際し、労働基準法(労基法)違反等の法令違反が認められるか
②法令違反が認められるとしても、これが、約定の解除事由である「本契約を継続し難い重大な事由」に該当するか 
 
<判断>
●雇用契約上の賃金の計算方法について 
X1と従業員との雇用関係において、賃金は、
①当該従業員のランクに②配布ポイント及び③当該従業員の計算用店舗時間を乗じた金額として計算されており、
その金額が最低賃金とこれに対する法定の割増賃金との合計額を下回らない限り、当該金額が賃金として支払われていた。

①のランク:従業員の評価ポイント、カットポイント及び皆勤ポイントの合計値であり、カット利用客1人当たりのX1の収入金額520円未満の値
②の配布ポイント:当該月の全従業員のカット利用客の総数を全従業員の就業時間数で除した数値である「カット平均値」から経費に相当するカット人数を控除した値
③の計算用店舗時間:当該月の当該従業員の就業時間数(労働時間と休憩時間の合計額)

配布ポイントがカット平均値から毎月変動する経費分を控除して算定される数値であることは、X1設立前の説明や入社式説明資料等によって、各従業員にも周知されていた。
⇒賃金の計算方法は、X1と従業員との間の雇用契約の内容になっていた。

 
●労基法24条1項違反について 
②の配布ポイントの算定過程で控除される経費の範囲及び額については、雇用契約上は明確に定められていない。

控除される経費の範囲及び額が合理的かつ相当なものにとどまっている限り、雇用契約の定めに反するとはいえないが、そうでないときは、雇用契約の定めに反するというべき。
配布ポイントの算定過程で控除される経費は、社会保険料の会社負担分とエリアディレクターの報酬不足分であって、その額は30万円程度が通例であったが、
平成24年1月支給分はX2及びAの納税資金を確保するために通例よりも70万円程度増額した金額を、
3月支給分は表彰式の開催費用や社内イントラネット整備費用等の経費を捻出するために通例よりも470万円程度増額した金額を、それぞれ基礎として配布ポイントを計算。

その範囲及び額が合理的かつ相当なものにとどまっているとはいえず、これを控除して算定した配布ポイントを用いて計算された賃金の支払をすることは雇用契約の定めに反する。
⇒X1には労基法24条1項違反があった。

 
●労基法37条1項違反について
③の計算用店舗時間は従業員の労働時間と休憩事件とを単に合計しただけの時間であって、その労働時間が法定時間内のものであったか時間外のものであったかという観点からの配慮が全くされていない。

X1の従業員に対する雇用契約上の賃金の支払によって労基法37条1項所定の割増賃金が支払われたとすることはできない。

X1の従業員の多くが恒常的に相当程度の法定時間外労働を実際にしていた

X1には、本来支払われるべき法定の割増賃金の支払をしていないという労基法37条1項違反があった。
 
●契約解除事由該当性について 
①X1の労基法24条1項及び37条1項違反は、法令遵守義務に違反した場合に該当
②前記法令違反の行為は罰則の適用がある犯罪行為である上、その法令違反の態様は悪質なものであった。
③X1の従業員は、X1設立後の賃金に不満を募らせていたところ、Aは、平成24年1月支給分に引き続いて同年3月支給分でも相当数の従業員の賃金の減額を指示し、これを実行させたことにより、従業員の処遇の悪化に危機感を募らせたY3らと従業員の離反を招き、Y3らによるY1への説明、これを理由とするY3らの取締役解任、多数の従業員の退職届の提出という事態に至ったもので、Y1が運営する多数の店舗の運営を危機に晒した
④このような事態は、X1が運営している店舗に係る経済的な損失の発生ばかりではなく、Y1に対する信頼を損ない、Y1が質の高い従業員を確保することを困難にさせ、多数のてん補を展開するY1の社会的・経済的な信用失墜にもつながるおそれがある。
このような事態を招いたことについてY1とY3らに非は認められない

X1が犯した法令違反やこの法令違反も含めた従業員の処遇の悪化に起因するY3らや従業員の離反は、業務委託契約の委託者であるY1の信頼を裏切るものといえる約定の解除事由である「本契約を継続し難い重大な事由」に該当する。
 
<解説>
労基法24条j1項及び37条1項違反につき、これが約定の解除事由である「本契約を継続し難い重大な事由」に該当するものとして業務委託契約の解除を認めたもの。 

判例時報2324

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2017年5月26日 (金)

関東財務局長による有価証券報告書の虚偽記載に係る訂正報告書の提出命令及び金融庁長官による課徴金納付命令(いずれも適法とされた事例)

東京地裁H28.2.26      
 
<事案>
関東財務局長による有価証券報告書の虚偽記載に係る訂正報告書の提出命令(「本件提出命令」)及び金融庁長官による課徴金納付命令(本件提出命令と併せて「本件各処分」という。)を受けたXが、
①本件各処分の取消しを求めるとともに、
②違法な本件提出命令により損害を受けたとして、Y(国)に対し、国賠法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案。 

<事実>
Xは、風力発電を含むエネルギー開発その他のエネルギー事業全般に係る施設の開発等を目的とする株式会社であり、金融商品取引所に上場されている有価証券の発行者。
風力発電機メーカーとの間で締結した風力発電機メーカーとの間で締結した風力発電機の販売斡旋契約に基づき、風力発電機メーカーが建設会社に対して販売した風力発電機合計82基の販売斡旋手数料合計22億6600万円を有価証券報告書において売上計上

実体のない風力発電機販売斡旋取引に係る売上の計上であるとして、本件各処分を受けた。
 
<判断>
Xと風力発電機メーカーとの間の販売斡旋契約では
①具体的な自社開発案件が念頭に置かれていた
②自社開発案件においては案件ごとにXが風力発電所の建設・運用主体として発電所子会社を設立し、風力発電機のエンドユーザーとすることが予定されていた
③発電所子会社はXの完全子会社であって、従業員等は存在せず、その代表取締役はいずれもXの取締役が兼務していたこと
等を認定。

自社開発案件においては、どの業者の風力発電機をどの建設業者に購入させるかは、Xが自社開発案件を実施するためにX自身が決定し得るものであって、上記両業者間の契約はそれに随伴するものにすぎない。
本件各販売斡旋契約の上で風力発電機の提供業者のために行われるかのごとく定められているXの役務提供行為は、・・・Xが当該案件を自ら実施していくために当然に必要となる作業にすぎない

自社開発案件におけるXの役務提供は対価の支払を求め得るような斡旋といえるだけの実体を有するものではなかったし、これに対して(風力発電機メーカーが)手数料の支払を約束したのは、Xの設立完全子会社によりその原資が提供され(風力発電機メーカーにおいて)負担を負わない仕組みになっていた。
これをもって、Xの役務提供に対する対価と評価することはできない

売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」とするのが企業会計原則の考え方であるところ・・・(本件の販売斡旋契約に基づく)役務の提供及び対価のいずれも実体を有しないもの
当該手数料の支払は「役務の給付によって実現したもの」とはいえない⇒これをもって売上高とすることはできない
⇒風力発電機の販売斡旋手数料を売上げとして計上した有価証券報告書には虚偽の記載があった
 
<解説> 
金商法は、有価証券報告書等であって、重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した者等について重い罰則を定める(同法197条1項1号等)、内閣総理大臣は、有価証券報告書のうちに重要な事項について虚偽の記載があることを発見したときは、いつでも、有価証券報告書の提出者に対し、訂正報告書の提出を命ずることができる(同法24条の2第1項、10条1項)。 

前記罰則を適用し得ない場合や、罰則によって対処することが必ずしも適当でない場合もあり得るが、このような場合についても防止の実をあげるため、内閣総理大臣による課徴金の制度が設けられている(同法172条の2第1項、172条の4第1項。なお訂正報告書の提出命令や課徴金納付命令に係る内閣総理大臣の前記権限は、それぞれ財務局長及び金融庁長官に委任されている。)。

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2017年5月25日 (木)

大阪市に対する多数回にわたる面談強要等⇒損害賠償請求・差止請求(認容)

大阪地裁H28.6.15      
 
<事案>
X(大阪市)が、Xに対して多数回にわたって情報公開請求を行ったり、質問文書の送付や架電等による不当な要求行為を繰り返したYに対し、
面談強要行為等の差止めを求めるとともに、
不法行為に基づく損害賠償請求として、
主位的にYへの対応を余儀なくされたXの職員らの給与及び超過勤務手当相当額を、
予備的に、Xの職員の超過勤務手当相当額
及び弁護士費用相当額の一部の支払を求めた。 
 
<判断> 
●業務妨害行為に対する差止請求の可否 
Xが普通地方公共団体として法人に該当することを前提に、
法人の業務が、当該法人の財産権やその業務に従事する者の人格権を包含する総体としてとらえられる

法人に対して行われた当該法人の業務を妨害する行為が、当該行為を行う者による権利行使として相当と認められる限度を超えており、当該法人の資産の本来予定された利用を著しく害し、かつ、その業務に従事する者に受忍限度を超える困惑・不快を与えるなど、業務に及ぼす支障の程度が著しく、事後的な損害賠償を認めるのみでは当該法人に回復の困難な重大な損害が発生すると認められるような場合には、
当該法人は、前記妨害行為が、法人において平穏に業務を遂行する権利に対する違法な侵害に当たるものとして、
前記妨害行為を行う者に対して、
不法行為に基づく損害賠償を請求することができるのみならず、
平穏に業務を遂行する権利に基づいて、前記妨害行為の差止めを請求することができる。

Yによる業務妨害行為は、条例により認められた情報公開請求や、Xが広聴活動の一環として行っている「市民の声」制度等を利用した質問等⇒いずれもその権利行使としての側面を有する。
but
①Yが行った情報公開請求の中には、特定のXの職員の経歴等が記載された文書が対象として含まれ、Yがこれによって得た情報をもとに、当該職員を侮辱するような発言を行ったりした
②Yが、窓口で対応したXの職員に対して大声で暴言を吐いたり、脅迫的な発言を繰り返すなどして、長時間にわたる対応を余儀なくさせたこと等。

Yの行為は、その頻度や態様等に照らすと、正当な権利行使として認められる限度を超えるものであって、Xの資産の本来予定された利用を著しく害し、かつ、その業務に従事する者に受忍限度を超える困難・不快を与え、その業務に及ぼす師匠の程度が著しいもので、今後も、このような行為が繰り返される蓋然性が高いということができる。

Yに対して事後的な損害賠償責任を認めるのみでは、Xに回復の困難な重大な損害が発生するおそれがあるというべき⇒差止請求を認容
 
●損害賠償請求について:
Yの行為が権利行使に付随して行われたもの

Xの職員が行った労働行為の対価たる賃金相当額や、超過勤務手当相当額が、そのまま損害となると認めることはできない。

本件の損害は、その内容・性質に照らし、その額を立証することが極めて困難
民訴法248条に基づき、その損害の額を80万円と認め、その限度でXの請求を認容。 
 
<解説>
事業活動を阻害されたことによる経済的な損害について民訴法248条を適用した事例は多い。 

判例時報2324

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2017年5月24日 (水)

面会交流の方法

東京高裁H28.4.26      
 
<事案>
抗告人(原審相手方。監護親(母))及び相手方(原審申立人。非監護親(父))間の長女(11歳)及び二女(8歳)について、月1回6時間の面会交流をすることを定めた原審判を変更し、非監護親と未成年者らとの交流が長らく途絶えていたことをなどを考慮し、最初の数回は監護親の立会を認め、また、月1回の面会交流の時間について、最初は二時間から始め、回数を重ねながら、4時間、6時間と段階的に伸ばすことを定めた抗告審決定。 

<事実>
試行的面会交流については、抗告人が家庭裁判所児童室における実施に反対⇒抗告人甥予備当事者双方の代理人弁護士の立会のもと、レストランで1時間会食する方法で実施。
相手方と未成年者らが約5年5か月ぶり対面というこtで双方とも非常に緊張した状態となり、十分に打ち解けた状態に至らなかったものの、子の福祉に反するような事情は何ら生じていない。
 
<原審>
面会交流の頻度を月1回6時間
抗告人宅の最寄り駅にて未成年者らの受渡しを行う。 
 
<判断>
①相手方が未成年者らと面会交流を行うこと自体に子の福祉を害する事情は認められない
父子交流が長らく途絶えていたことによる相手方と未成年者らとの心理的距離は、面会交流を重ねていくことによってこそ解消し得る

面会交流の頻度を月1回とし、抗告人宅の最寄り駅にて未成年者らの受渡しを行うという原審の基本的な枠組みは維持。 

試行的面会交流が1時間という短い設定の中で双方が緊張して打ち解けないまま終わり、実施前は面会交流に積極的であった未成年者らが消極的な気持ちに転じてしまっているという未成年者らの心情等について具体的な配慮が必要。

1回当たりの面会交流時間つき、初回から3回目までは2時間、4回目から7回目までは4時間、8回目以降は6時間として段階的に時間を伸ばしていくこととし、また、初回及び2回目までは抗告人の立会を認めるのが相当であるとして、原審を変更。

<解説>
監護親が、未成年者の否定的な感情を自らの主張の根拠とする事案は多いと思われるが、この場合、未成年者の真意の所在や、未成年者が真に否定的な感情を有するに至ったとするならば、その経緯や背景事情を的確に把握することが肝要

判例時報2324

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2017年5月23日 (火)

東住吉事件再審無罪判決

大阪地裁H28.8.10    

<事案>
被告人の自白した方法では放火することは困難で、自然発火の可能性も認められる⇒再審開始。
被告人両名の自白を除けば、本件火災が自然発火によるとの合理的な疑いがあり、放火行為を認めることができない⇒被告人両名にそれぞれ無罪を言い渡した。

男性被告人A(当時29歳)とその内妻B(当時31歳)が、Bとその前夫との間の長女Cに掛けられていた1500万円の生命保険金を目当てに、平成7年7月22日、Cが入浴した際に、家族で居住した家屋に火をつけて家屋を焼損させるとともに、C(当時11歳)を焼死させて殺害し、生命保険契約を締結していた会社に保険金を請求したが、被告人らが逮捕されたために保険金を受領できなかったという要旨の公訴事実で起訴
⇒被告人両名無期懲役で確定。
 
<経緯>
平成7年7月22日、本件発生。
9月10日、被告人両名はそれぞれ別の警察署に任意同行の上取調べを受け、その日のうちに両名共に犯行を認め、通常逮捕。
その後、自白と否認を繰り返す。 
本件発生から、確定判決まで約11年、再審無罪判決まで21年以上経過。
確定第一審以来、本件が放火なのかという事件性のほか、自白の任意性、信用性が争点。
 
■本件火災の原因 
 
●確定控訴審 
ガソリン蒸気の漏出の可能性を視野に入れて、その点の実験(漏出しなかった)を行った結果を取調べ。

本件自動車から発火した可能性は抽象的な可能性に止まるとされ、本件自動車からの発火の可能性は極めて低い。
 
●再審請求審 
弁護側は、平成23年に静岡県内で行われた実験(「小山町新実験」)の結果等をもとに、
(1)Aの自白は、
多数の事項について科学的見地から不合理な内容である上、
その他の新証拠によっても、Aの自白は極めて不自然、不合理
⇒信用できない。

(2)提出した新証拠⇒確定審が自然発火の可能性を否定した論拠、根拠は崩壊し、自然発火の蓋然性が高いことが明らかになった。
と主張。

裁判所:
被告人両名と本件犯行を結びつける直接証拠は被告人両名の自白しかなく、特に多数の自白調書や自供書を残しているAの自白の信用性が揺らぐことになれば、確定判決の有罪認定も同様せざるを得ない証拠構造にあるとの認識の下、①②について検討。

確定審とは全く異なったものであり、自白の信用性を否定して、再審開始の結論
 
●再審無罪判決 
小山町新実験は、可能な限り、当時のガレージの状況を忠実に再現し、実際に燃焼実験を行った。

①ガソリンを床上に散布すると、風呂釜の種火から約64センチないしもっと離れていても、種火がガソリン蒸気に引火。
⇒風呂釜の種火による引火という、それまでほとんど問題にもされていなかった発火の原因が浮上。
ガソリンが人為的に散布されなくても、給油口から漏出することが確認

本件自動車の給油口からガソリンが漏出し、それが蒸気となり、それに風呂釜の種火が引火することにより、本件火災が発生しうることが、確かめられた。
 
■自白の任意性
●取調べの経過 
被疑者としての取り調べは、9月10日からであるが、それ以前から事情聴取を受けており、Aも、自分が疑われていることを理解し、無料法律相談を受けて弁護士にその旨相談していた。
それ以前に、焼死したCと性的交渉を持っていたことを警察官に供述。

9月10日からの本格的取調べ:
当初は否認して、相談した弁護士に連絡してほしい。
その後自白して、8通の自供書を作成。
その後、自白と否認を繰り返したが、9月14日になって、否認が自白に再度転じ、自供書11通を作成するとともに、相談していた弁護士を解任し、新たな弁護士を選任。
その後、自白を維持し、自白調書が作成。

9月10日、なぜ早々に自白したのか?
9月14日に再度自白し、弁護人を替えたのは何故か?
 
●確定審 
◎被告人側の主張と判断
①任意同行は違法な身柄拘束
②警察官から、Aが放火したところをBの長男が見たと言っているとの虚偽の情報を与えられて精神的に圧迫を受けた
③否認すれば、Cとの性的関係を事件として立件する、世間に公表する等の利益誘導ないし脅迫を受けた
④警察官から首を絞められる等の暴行を受けた
⑤警察官からBが全部しゃべっているとの虚偽の情報を与えられ、いわゆる切り違い尋問が行われていた。
but
被告人の供述と取調官の供述を比較⇒被告人供述に一貫性がないとか、供述内容が自然ではないなどと評価。

◎ 9月14日までの経過として
①被告人は、12日の取調べの際に、自分の父親からの手紙を見せられ、取調官から、「否認すれば、父親の病気が悪くなるかもしれない。」などと言われ
②「調書書くのは自分であり、悪く書こうと思えばいくらでも書ける。」「お前を死刑にすることも簡単にできる。」「今認めるなら、情状酌量で訴えたら、15年くらいの判決で、仮釈放をもらったら7,8年で出てこれる。」などともいわれた。
but
被告人の訴えるようなことが、その日の弁護士との接見の際には、被告人は言っていないこと等⇒被告人の供述は信用できない
被告人が弁護士の解任届を書いた経過についても、
①その後の弁護人とのなった弁護士との接見において、犯行を認める態度をとっていたこと
②前の弁護人を解任したのは自分の意思であり、前の弁護人は死刑になると脅したので信頼できないと述べていた
⇒被告人の供述は信用できない。

●再審無罪判決の判断 
①単に、取調官の供述と被告人の供述を比較するだけでなく、
A及びBの取調べに関する報告書や取調日誌、さらには供述調書の記載内容をも検討し、取調官の供述の矛盾を指摘し、あるいはその不自然さを明らかにした

取調べ状況に関する被告人の供述を信用できないものとして排斥することは困難であるとした上で、さらに、被告人の自白内容から被告人の自白の任意性を検討
従来、取調べ状況については、被告人側と取調官側の水掛け論になる場合も多く、その認定に困難をきたしていた。

①(再審では)単に供述者の供述を比較するだけでなく、その余の証拠、留置人出入簿や取調官の残した報告書やメモ、接見した弁護士のメモや供述などをも考慮して取調べ状況を認定
②確定審では、被告人の供述が信用できるか否かを検討、再審無罪判決では、取調官の供述が関係証拠との関係で虚偽でないか、合理的か、自然かといった形で判断され、それとの関係を踏まえて、被告人の供述の信用性が検討

再審無罪判決は、任意性の判断のため、自白内容も検討

記載の仕方等から誘導があったのではないかといった検討方法を超えて、記載内容自体を問題にするもので、一般的には、自白の信用性の問題として扱われている。
but
本判決は、自白の内容を他の証拠とつきあわせて、自白がある程度詳細で具体的であっても、捜査機関が把握していた情報から推測可能な内容にとどまっていることを実証し(秘密の暴露のようなものが含まれていないことの証明)、自白に自発性を裏付けるようなものがないとして、不任意を推定。
本判決は、A、 Bの自白について、信用性を問題にせず、任意性の問題として決着をつけた。

「この自白は、証明力の問題ではなく、証拠とすること自体を許してはならない」という決意。
 
■自白の信用性 
●Aの自白の中でも、放火方法の非現実性。
①ガレージという空間で、約7リットルものガソリンをまいてライターで点火したという自白を前提にすれば、ほぼ一瞬にして炎が立ち上がり、その後ガソリンがなくなるまで激しい燃焼が続くであろうことは、ほぼ常識の範囲のことであった。
②まして、近くに風呂釜の種火があって、すぐにでも引火しそうな状況であった。
③使用後に本件自動車の下に置いたとされる給油ポンプの残骸もない
④自白から想定される燃焼状況は、火災の初期を目撃した住民の供述とは全くそぐわない。

再審開始決定:
「放火方法に関するAの自白は、見過ごせないほど不自然、不合理な点を含み、客観的状況ともそぐわない。」と評価。
その他、
①当座必要な170万円のために、子ども、しかも、Bにとっては実子である11歳の娘を焼死させるのかとうい動機面での疑問。
②AとBがどのように共謀したのかという共謀の過程についての疑問。
③供述の変遷(たとえば給油ポンプの入手について)等
 

に可能性がない場合、それが本当に他の方法や態様があり得ないのか、実際はあり得ても、それが説得力のある説明がなされていないだけなのかは、細心の注意を払って検討されるべき

現在の科学をもってしても説明できないことがあるし、多くの者の供述を集めても解明できない事実関係があることを率直に認める必要。

判例時報2324

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2017年5月18日 (木)

「リソースとしての人」

日本人は、人々は同僚であり最も重要なリソースとして見られなくてはならないという私の考えを最初にかつ最も心に留めた。労働者へのかかる敬意を通してのみ、真の生産性が達成される。

人々はリソースであり単なるコストではない。最も理解のあるマネジャーは望む目標に向けて人をマネジメントすることで何が実現され得るかを理解することから始める。マネジメントは地位や特権を行使することではない。それは「取引きすること」をはるかに超える。マネジメントは、事業においてそして、さらに、多くの他の面において、人々とその生活に影響する。

ソース:The Daily Drucker 19 May.

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2017年5月17日 (水)

面会交流の間接強制金につき、債務者の資力を考慮し、毎月1回の不履行ごとに100万円とされた事案

東京家裁H28.10.4    
 
<事案>
非監護親である外国人妻が監護親である日本人夫に対し、離婚前の面会交流の申立⇒東京家裁がこれを認容し、東京高裁がこれを維持:監護親が毎月1回、第1日曜日、午前11時から午後4時まで面会交流をさせる義務を負担したにもかかわらず、履行せず⇒非監護親が間接強制の申立
 
■面会交流決定
●東京家裁
いわゆる原則的実施論に基づき、相手方による、申立人の育児放棄や連れ去りの危険の主張、あるいは未成年者の申立人との面会拒否の主張等はいずれも退け、申立人との面会交流の実施が未成年者の福祉を害するものと認められる特段の事情はない⇒母子直接面会を認めるべき。

未成年者は既に12歳であり、十分な判断能力を有し、意思を表明することができることを考慮しても、未成年者の負担や生活上の利益に対する配慮をしたうえで、面会交流の具体的な方法を定め、相手方に未成年者の引渡義務を課さなければ、面会交流を実現することはできない⇒面会交流義務の履行を命じた。

審判時12歳になっている未成年者の意思に関し、未成年者は11歳時の調査官調査によれば、現在の父の監護状態が変更されなければ申立人との面会交流を受容している
離婚訴訟において親権者が相手方に指定され、これが確定した後にという未成年者の発言は、相手方の意向を反映したものであり、これが面会交流を妨げるべき特段の事情に当たらない

●抗告審
未成年者の拒否的発言は未成年者の考えというよりも相手方監護親の主張を受け売りするものであり、同相手方が申立人に対する否定的情報を与え続けたことで、未成年者の認知が歪んでしまった結果である
 
<判断>
債務者の平成27年度の年収が給与収入合計2640万円であること等を考慮し、不履行1回につき100万円の間接強制金の支払を命じたもの。 
 
<解説> 
●間接強制金の額としては、これまでの裁判例では、毎月5万円、8万円などが多く、他の実務例でも5万円から10万円が多い。
双方医師の場合でさえ20万円と抑えられている。
実務的には、①債務者の支払能力や②養育費の額等によって定められている。
債務者の多くは女性で資力がない場合が多い⇒低額化傾向にある。
 
●面会交流の不履行に対する間接強制について、判例は積極説。 
 
●未成年者の意思表示について、家事事件手続法152条が15歳以上の子の陳述を聴かなければならないとしているほか、同法65条はそれ以下の未成年者でも年齢に応じた子の意思を考慮しなければならない旨を定めている。
but
未成年者が意思表示をしても、それは監護者の影響によるもので、子の真意ではないとする認定判断がされることがある
(米国でも、PAS・PA問題として議論されている) 

家事事件手続法 第152条(陳述の聴取)
2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。

家事事件手続法 第65条
家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。
 
●本件は東京高裁に抗告され、制裁金があまりに過大であるとして30万円に減額する決定。 

判例時報2323

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「シンジケート(企業連合)としての会社」

GMとトヨタのアプローチはどんなに違っても、なお伝統的な会社から出発する。しかし、全く会社モデルを除くアイデアがある。

1例はヨーロッパ連合の非競争的な製造者により試みられている「シンジケート」である。構成する会社は、中規模の、家族所有の、所有者経営である。それぞれは、狭い、高度に設計された製品ラインでのリーダーである。それぞれは、大きく輸出に依存する。各会社は独立であり、別個に製品を設計し続ける。その主要市場に向け自分の工場で製造し、販売し続ける。しかし、他の市場、とりわけ新興の開拓されていない国に向け、シンジケートは、メンバーのためにシンジケートが所有する工場か、現地の契約製造業者により、製造を手配する。シンジケートは、全てのメンバーの製品のデリバリーを扱い、全ての市場で製品サービスをする。各メンバーはシンジケートの持分を保有し、シンジケートは、各メンバーの資本の一部を保有する。これがなじみのものに聞こえるとすれば、それはこのモデルが19世紀の農家の協同組合だからである。

ソース:The Daily Drucker 18 May.

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2017年5月16日 (火)

面会交流審判未確定の段階での面会交流権侵害に基づく損害賠償請求の可否等(否定)

東京地裁立川支部H28.2.5      
 
<事案>
①調停離婚した元夫(原告)から、子(原告C)の親権者となった元妻に対し、子との面会交流を被告が認めないのは父子面会交流権侵害の不法行為⇒損害賠償請求。
②逆に被告及び原告Cから、原告が面会交流審判記録中プライバシー部分の写しを第三者に交付したのはプライバシーと名誉権の侵害⇒人格権に基づき損害賠償請求と交付等の差止請求。 
面会交流審判記録中の、医師意見書等数個の書面を謄写して原告Cの担任教諭や小学校等に郵送。
 
<争点>
①被告の面会不実施の不法行為の成否
②記録一部謄写部分の配布等の違法性
③同配布等の差止請求の当否 
 
<判断>
争点①について:
本件のように面会交流の審判が未確定であるうちは、面会交流権は抽象的なものに過ぎず、いまだ具体的に形成されているものではない⇒不法行為の被侵害利益とは言えない。 

争点②について:
原告の行為は、非公開の家事事件手続において被告らのプライバシー権の侵害であって名誉毀損ともなり、不法行為を構成

争点③について:
仮処分決定があるまでこれらの違法行為を継続した原告の行為は、被告らの人格権に基づき差止請求が許される
 
<解説>
家事事件手続は非公開の非訟事件であり、記録中の文書の開示の自由はない

判例時報2323

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「連合としての会社」

連合としての会社の2つの著名な例がある。80年前、GMは初めて、今日の大企業が依拠する、組織概念と組織構造を初めて生み出した。その80年のうちの75年を2つの基本原則に依拠した。我々は、製造するものをできる限り所有し、行うものを全て支配する。今日、それ(GM)は、スェーデンのサーブ、日本のスズキといすゞ等、競争会社の少数出資者となる試みを行い、フィアットの支配的少数派パートナーとなろうとしている。同時に、その製造するものの70~80パーセントを手放した。

2番目の例はまさにもう一つの道を行く。それは、過去20年間最も成功している自動車会社であるトヨタである。トヨタは自らをその中核的機能(core competency)である製造を中心に再構築する。多様な部品・付属品供給者を止め、全ての地域に1か2だけにする。同時に、その製造能力をこれらの供給者を管理するのに使う。それらは、独立した会社であり続けるが、マネジメントから見れば、基本的にトヨタの一部である。

ソース:The Daily Drucker 17 May.

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2017年5月15日 (月)

弁護士賠償責任保険契約における免責条項の適用が否定された事案

東京地裁H28.1.27      
 
<事案>
弁護士Xは、Bの訴訟代理人として、C有限会社に対し貸金3億円余の返還等を請求する訴訟⇒1審判決は、1億円の金銭の授受を認め、一部認容。
Cが控訴。
控訴審では、Dが本件貸金債権の譲渡を受けたと主張し、独立当事者参加をし、Bに対して前記1億円の貸金債権等を有することの確認、Cに対して前記1億円等の支払を請求。
Cは、本件貸金債権の存在を否認するとともに、予備的に、CがDに対して有するを自働債権とする相殺を主張。

控訴審:
Bの1億円の貸付、BのDに対する本件貸金の譲渡、Dの相殺を認め、Bの請求、Dの請求を棄却。
Eは、前記3億円余のうち、1億円は自ら、残額はFが出捐し、Bは形式的な貸主であり、実質的な前記訴訟の委任者はE、Fであったこと、Xが本件貸金債権の譲渡契約書等の作成に関与したこと等を主張
⇒Xに対して債務不履行、不法行為に基づき内金として2000万円の損害賠償を請求。
控訴審は5000万円の損害賠償請求を認容。
 
<争点>
①本件保険契約上Yのてん補責任の有無
②本件免責条項の適用の可否 
 
<判断>
●争点①について 
別件の損害賠償請求そしょうにおいてXの5000万円の損害賠償責任を認める判決が確定しており、同判決が不当であるとしてXのてん補責任を否定することは許されない。
 
●争点②について 
「他人に損害を与えるべきことを予見しながら行った行為」
故意免責とは別の行為を意味し、他人に損害を与えるべきことを予測し、かつ、これを回避すべき措置を講じないという消極的な意思作用に基づく行為を指す。
予測は現実に認識した場合に限らず、損害を与える蓋然性が高いことを認識していることを含む

本件では、
①Xが本件貸金債権の立証が困難であり、その存否自体が不確定であると考えていたこと、
②BのDに対する本件貸金債権の譲渡契約書等の作成は、XがBらからDの債権担保のためであると聞いていたこと
等の事情
Xが損害の発生又は損害を与える蓋然性が高いことを認識していたとはいえない
本件免責条項の適用を否定し、請求を認容。

判例時報2323

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「非伝統的従業員を管理(manage)する」

フルタイムの労働者、PEOsと派遣社員に加え、新たな会社では、非伝統的従業員からなる、密接に結びつけられるが別に管理される組織があり得る。ますます、労働者は早期に退職するが、仕事を止めない。代りに、彼らの「セカンドキャリア」はしばしば従来と違う(非伝統的な)形をとる。彼らは、フリーランス、パートタイム又は臨時雇い、または、請負業者のために、あるいは自身が請負業者として働く。このように「働き続ける早期退職」は特に知識労働者にとって普通である。

これらの多様なグループを引きつけ保有することは、新しい会社での人のマネジメントの中心的な仕事となる。これらの人々は事業と永続的な関係をもたない。彼らは管理される必要がないかも知れないが、生産的なものとされなくてはならない。彼らは、その専門知識が最大の貢献をする場所に配置されなくてはならない。マネジャーは、これらの非伝統的労働者の専門性開発、モチベーション、満足、生産性について、アウトソーシング契約組織の相手と、親密に取り組む必要がある。

ソース:The Daily Drucker 16 May.

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2017年5月14日 (日)

「PEOとBPOの利用」

会社は人事マネジメントにおいて重要な変化を経験しており、専門的雇用者組織(Professional Employer Organizations)PEOsはこれらの変化への1つの対応であった。この産業を成長させる主たる要因は人事機能を規制する法規制の複雑さの増加と、その結果として起きるこれらの新たな現実を処理するため労働力を管理し維持するプロの専門的知見の必要である。PEOsは主に中小規模の会社に特化する。PEOsを使うことで、マネジャーは解放され、雇用関係規制や事務処理ではなく、その中核能力に集中できる。20年前にはほとんど存在していなかったこの産業は、年30パーセントの割合で成長している。

PEOsとは対照的に、Business Process Outsourcing firms、BPOsは、大企業、概して2万人以上の従業員がいる会社の人事機能に責任を負う。BPO産業の革新者でありリーダーである Exult は、1998年に創業し、今日、グローバルフォーチュン500社の多くのために、賃金台帳、リクルートと配置、訓練管理、従業員データの管理、配置転換と解雇等、人事機能の全域を管理する。マッキンゼーの調査によると、これらの方法で人事マネジメントをアウトソースするマネジメントコンサルタント業は、30パーセントのコストを削減すると同時に、従業員満足を高めることができる。

ソース:The Daily Drucker 15 May.

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2017年5月13日 (土)

クーポンスワップ取引と証券会社による追加担保や解除清算金等についての説明義務違反(肯定)

東京地裁H28.4.15      
 
<事案>
原告が、証券会社である被告との間で締結したクーポンスワップ取引を行う旨の契約(クーポンスワップ契約)について
無効(①公序良俗違反又は信義則違反、②錯誤)であり、
被告担当者の原告に対する勧誘行為が不法行為(①適合性原則違反、②説明義務違反)に該当すると主張

被告に対し、不当利得返還請求権(民法703条、704条)又は不法行為による損害賠償請求権(民法709条、715条)に基づき、
利得金ないし損害金等の支払を求める事案。

原告と被告の間では2件のクーポンスワップ取引(本件第1取引と本件第2取引)が締結されたが、原告に損害が生じた取引は本件第2取引
 
<判断>   
証券会社である被告の担当者が顧客である原告に対して本件第2契約を勧誘したことについて、追加担保、解除清算金及び解約清算金(解除清算金等)に関する説明義務違反を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求を認容し(過失相殺6割)、原告のその余の主張をいずれも斥けた。
 
●適合性原則違反 
判例:
株価指数オプションの売り取引の勧誘行為の適合性原則違反に関して、顧客の適合性を判断するに当たっては、当該金融商品の具体的な商品性を踏まえて、これとの相関関係において顧客の投資経験、証券取引の知識、投資意向、財産状態等の諸要素を総合的に考慮する必要があるという判断枠組み(最高裁H17.7.14) 

①本件第2契約のうち、(i)スワップ取引に係る部分の仕組みや一般的なリスク等は、一定の経験と理解力を有する者には理解が困難なものであったとは認められない、(ii)追加担保や解除清算金等の具体的な算定方法等に係る部分については理解が困難であったがこれらが発生する可能性があること自体は理解できた
②原告は、それまでの通貨オプション取引等の取引経験から為替を組み込んだ金融商品や為替相場について、ある程度の知見を有していた
③原告は、一定程度の現金預金及び金融資産を有しており、相当期間にわたって多額の資産を投資し、複数の金融商品取引を並行して行っており、金融商品取引を積極的に行うことにより運用益を上げようとする投資意向があったといえる

被告の担当者が原告に対して本件第2取引を勧誘した行為は、取引の仕組みの一部については理解が困難であったものの、適合性の原則から著しく逸脱していたとまではいえない
 
●説明義務違反 
証券会社の担当者は、顧客に対して取引を勧誘するに当たっては、顧客の自己責任による取引を可能とするため、取引の内容や顧客の投資取引に関する知識、経験、資力等に応じて、顧客において当該取引に伴う危険性を具体的に理解できるように必要な情報を提供して説明する信義則上の義務を負う。

◎スワップ取引の説明
①被告の担当者は、原告に対し、本件第2取引の内容を詳しく説明した上、説明資料などを用いて種々のリスクがあることを説明し、リスクの確認を行っている
②原告はその説明を踏まえて、交換レートや目標相場のレートについて原告に有利になるよう交渉した上で、本件第2契約を締結

スワップ取引に係る部分の仕組みや一般的なリスク等については、原告の知識、経験、資力等に相応し、ある程度丁寧に説明をした。

◎追加担保及び解除清算金等に関する説明
追加担保及び解除清算金等に関する説明について、
契約期間が10年間と比較的長期間であり、その間、原則として解約ができないこと、
②原告は、その事業規模に比して高額の追加担保が発生することにより運転資金を拘束され、スワップ取引を継続できなくなった場合には解除清算金等の支払義務が発生

被告の担当者は、原告に対して本件第2取引を勧誘するに当たり、単に追加担保や解除清算金等が発生する可能性があるという抽象的な説明をするだけでは足りず、追加担保や解除清算金等が、為替相場の変動に応じて、具体的にどの程度必要になるか理解できるように説明する義務を負っていた。

本件第2取引においては、個別の取引は、円/米ドル為替レートが123.50円(契約時為替相場)から108.90円(条件相場)までの範囲の円安で推移すれば原告いが利益を得る取引きであるが、追加担保は、契約時為替相場から5円以上円高になる(118.50円/米ドル)と、1000万円単位で必要になる
⇒この点についてはは注意が必要で、被告の担当者は、原告に対し、その点も含めて説明する義務があった。
 
①被告担当者による説明では、約定時の担保額が購入金額により増大することは想起できるが、単に金利為替の相場変動により追加担保が発生するという記載しかなく、本件第2取引に係る追加担保が必要となる場合やその金額などを具体的に想起させるような説明となっていない
②原告に交付された説明資料中の主なリスク項目を説明する部分において、追加担保が触れられていなかった

このような説明では、ある程度の金融商品に関する知識を有すると認められる原告であっても、追加担保に伴う具体的なリスクを理解することはできなかった

解除清算金等の点について、被告の担当者による説明は、原告が解除清算金等を支払う可能性があることを想起させるものではあったが、解除清算金等の金額などを具体的に想起させるものではなかった

このような説明では、ある程度の金融商品に関する知識を有すると認められる原告であっても、解除清算金等に伴う具体的リスクや、1億円超える解除清算金等が必要になることを理解することはできなかった

追加担保及び解除清算金等に係る説明義務違反を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求を認容

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「知識労働の細分化」

知識労働は専門化され、それゆえに、ほとんどの組織で細分化する。これらの専門を有効にマネジメントすることは、知識ベースの組織にとって、大きな挑戦である。例えば、病院は、高度に専門化した知識労働者を管理し、配置し、満足させるために、PEOs(専門的雇用者組織)と人材派遣会社にアウトソーシングする。これは、マネジメントの仕事の一部をアウトソースすることになる。現代の病院は知識作業の細分化により生み出された複雑なマネジメントと、その結果としてのPEOや人材派遣会社へのアウトソーシングの例を提供する。

275から300のベッドがあるそれなりの大きさの地域病院でさえ、およそ3000人が働き、その約半分はなんらかの種類の知識労働者である。2つのグループ・・看護師と事業部門の専門家・・はかなり大きく、それぞれ数百人いる。しかし、理学療法士と臨床ラボの人々、精神科のケースワーカー、腫瘍学の技術者、手術患者の準備を整える2ダースの人々、睡眠科の人々、超音波診断技術者、心臓科の技術者、その他の約30の「医療補助専門家」がいる。全てのこれらの専門家の管理が、現代の病院を最も複雑な組織とする。

ソース:The Daily Drucker 14 May.

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2017年5月12日 (金)

銀行の送金契約の債務不履行と通常損害・特別損害、損害算定

東京高裁H28.9.14      
 
<規定>
民訴法 第248条(損害額の認定)
損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
 
<判断>
一審判決の損害額812万円余から162万円に変更する判決 

銀行の債務不履行により証券会社との間で株式の信用取引を行っていた者が指定銀行預金口座に追加保証金を入金することができず証券会社に強制決済され建玉を喪失

建玉喪失は送金契約における当事者とは別の当事者である証券会社との間の信用取引の約定に基づいて生じたもの⇒送金契約における債務不履行による通常損害ということはできない。

銀行からの送金が追加保証金として証券会社の指定銀行預金口座に入金することを目的とし、同日中に入金されない場合に証券会社に強制決済されるという事情は、建玉喪失を生じさせることにつき民法416条2項にいう特別事情に当たり、送金契約ないし本件債務不履行時に、銀行において前記事情を予見し、又は少なくとも予見することができたときには、債務不履行と建玉の喪失との間には、相当因果関係が認められる

銀行の債務不履行により証券会社との間で株式信用取引を行っていた者が指定銀行預金口座に追加保証金を入金することができず証券会社に強制決済され建玉を喪失した場合においける損害算定:
株式の信用取引における投資家の保有建玉決済は、変化する投資銘柄の株価を前提として、自らのポートフォリオや資産状況等を踏まえた一定の不確実性をもってする判断⇒強制決済がされなかった場合を仮定し、特定の投資家が決済したであろう時期を個別に立証することは、その性質上著しく困難
⇒民訴法248条にいう「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるとき」に該当⇒裁判所において、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき相当な損害額を認定すべきもの。

①Xが投機目的であった、②本件強制決済後に再開された信用取引において短期の売買がされている、③本件建玉の買玉の中には1年以上保有しているものもあった、④Xが追証を入金してまで本件建玉を維持しようとした目的は、本件建玉に生じた損失の回復にあった、⑤今後の市場の動向についてのX自身の判断に係っており、仮定の事実につき一定の法則的な認定をすることは困難、⑥各銘柄の株動向、市場全体の動向など、諸事情を勘案した上で、民訴法248条に基づき、本件強制決済に起因する逸失利益の額を認定

Xが、本件強制決済を回避して本件建玉を維持していた場合に回復し得たと認定できるのは、前記損失額812万円余の約2割である162万円と認めるのが相当。

<解説>
Y銀行:
本件振込依頼時にXから本件事情の説明を受けていたとしても、それだけでは、本件建玉が強制決済されることを抽象的に予見できたといえるにすぎず、本件建玉の内容など信用取引の具体的内容、その後の株式相場の動向、Xの投資行動の態様などその他の事情の予見可能性が認められるわけではなく、これらが予見できなければ、民法416条2項の損害賠償義務は認められるべきでないと反論。
but
本判決:
少なくとも、本件債務不履行が本件信用取引における建玉の強制決済という事態を招くことを知り、又は知ることができれば、これによる損害を銀行に負担させることを基礎付ける事情としては十分であり、これが衡平を欠くということはできず、Yが主張するような具体的事情まで民法416条2項にいう特別の事情に含めることは相当ではない。

一審も本判決も、民訴法248条によるべきとする点は同じ。
一審:
Xは本件建玉につき弁論終結時までに全体の損益をプラスマイナスゼロにする程度にまで持ち直すことは、現実に可能⇒本件強制決済による本件建玉の喪失に係る損害の額は、本件強制決済によって確定した損失812万円余と同額と認定するのが相当。
本判決:
Xが本件強制決済を回避して本件建玉を維持していた場合に回復し得たと認定できるのは、前記損失額の約2割である162万円と認めるのが相当。

損失を回復することができた確度(蓋然性・可能性)についての評価の違い

判例時報2323

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「保護主義」

富と仕事の創造者としての製造の衰退は、必然的に新たな保護主義をもたらす。激動の時期への最初の反応は外の冷たい風から自分の庭を守る壁を作ろうとすることである。しかし、そのような壁は、世界基準に達しない組織(とりわけ事業)を守らず、それらをより脆弱にする。

好例が、1929年からの50年間、国内経済を外界から独立させる計画的政策をとったメキシコである。外国との競争を排除するために保護主義の高い壁を構築しただけでなく、20世紀の世界においてメキシコ独自のものであるが、国内企業に事実上輸出を禁じた。近代の純粋なメキシコ経済を作ろうとしたこの試みは、みじめに失敗した。メキシコは、実際には、食物と製造製品の双方において、より一層外国からの輸入に依存した。もはや必要な輸入品への支払が出来なくなったことから、ついには、外国に開かざるを得なかった。そして、メキシコの産業の多くは生き残ることができなかった。

ソース:The Daily Drucker 13 May.

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2017年5月11日 (木)

情報公開法での不開示情報と一部開示

大阪高裁H28.2.24      
 
<事案> 
平成24事件(①事件)、平成25年事件(②事件)ともに、一審原告が、内閣官房内閣総務官に対し、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(「情報公開法」)に基づき、内閣官房報償費(「報償費」)の支出に関する行政文書である、
①政策推進費受払簿、②支払決定書、③出納管理簿、④報償費支出明細書並びに⑤領収書、請求書及び受領書(「領収書等」)の各文書の開示を請求
⇒内閣官房内閣総務官が不開示決定
⇒それぞれ特定の期間に係る不開示決定の取消しを求めた事案 

両事件は、原審では、それぞれ別の裁判体で審理がされたが、控訴審では、事件の併合はされていないものの、同一の裁判体で審理がされ、同日に判決。
 
<規定>
情報公開法 第5条(行政文書の開示義務)
行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。

三 公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報

六 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
イ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
ロ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
ハ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
ニ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
ホ 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

情報公開法  第6条(部分開示)
行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。
2 開示請求に係る行政文書に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。
 
<解説>
【争点】
本件対象文書に記録された情報が、不開示情報、すなわち、
情報公開法5条6号(国の機関・・が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、・・当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの)及び同条3号(公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報)に該当するかどうか。

さらに部分開示義務が認められるかどうか。
 
【原審①】
①政策推進費受払簿及び④報償費支払明細書に関する不開示決定を取り消し
③出納管理簿のうち、調査情報対策費及び活動関係費の各支出決定に対応する記載を除いた部分の不開示決定を取り消し、
その余の請求を棄却。
 
【原審②】
不開示決定の取り消しの範囲を平成24年事件の原判決よりも拡大させ、
前記に加えて、
利用者の記録されていない公共交通機関の利用に係る交通費の支払については、
②支払決定書、③出納管理簿の調査対象費及び活動関係の各支払決定に対応する記載並びに⑤領収書等に関する不開示決定も取り消した。
 
<判断・解説>
●判決の概要 
事件①について、当事者双方の控訴を棄却。
事件②については、一審被告(国)主張の公共交通機関の利用に係る交通費の支払に関する文書の不存在を認め、その限度で一審被告(国)の控訴に基づき原判決を変更したが、その余の双方の控訴を棄却し、本件対象文書の不開示決定の取消しについては、事件①と同範囲とする判断。

事件①の控訴審では、公共交通機関の利用に係る交通費の支払に関する文書であっても、具体的な弊害が生じ得るものとして、その区別なく不開示情報と認定した原判決を是認する判断。
 
●不開示情報該当性 
◎不開示情報該当性の主張立証責任の所在及びその内容 
情報公開法5条6号については、情報公開法の趣旨(=情報開示を原則とし、不開示情報を特に法定していること等。)⇒一審被告(国)において、当該文書に同号の情報が記載されており、かつ、これが開示されることにより当該事務又は事業の性質上、その適正な遂行に実質的な支障を及ぼす蓋然性について、主張立証責任がある。

同法5条3号について、①同号の文言(=おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報)や②その性質上、高度の政治的判断を要すること等⇒行政機関の長の裁量権を認め、その逸脱濫用につき、一審原告に主張立証責任がある。

◎ 本件のような情報公開訴訟の特殊性として、
①文書の所持者は、不開示自由該当性の立証に際し、当該文書自体を証拠方法として用いることはできないし、
②請求者はもちろん、裁判所も、その当該文書の内容を確認することはできない
審理の出発点としては、文書の所持者が、当該文書の書式やサンプルを示すなどして、記載されている情報の類型を明らかにしていく。

最高裁H21.1.15:
情報公開法に基づく行政文書の開示請求請求に対する不開示決定の取消訴訟において、不開示事由該当性を判断するために、当該文書を目的物とする検証の申出及び検証物提出命令申立てを行うことは、申立人が検証への立会権を放棄したとしても、民事訴訟の基本原則に反し、許されない
情報公開訴訟において、いわゆるインカメラ審理を行うことを許容していない
 
◎不開示情報該当性の具体的な判断 
①政策推進費受払簿については、特定の政策推進費の支払日、支払額、支払相手方及び支払目的等が特定ないし推認されるとはいえない⇒不開示情報を含まない。
政策推進費受払簿が開示されることで、国民の間に種々の憶測を呼ぶことがあり得ることは認めつつも、その程度では不開示情報には該当しない。

②支払決定書については、支払相手方及び具体的使途等が記載⇒不開示情報を含む。

③出納管理簿については、
政策推進費受払簿の転記部分には不開示情報を含まず、
支払決定書の転記部分には不開示情報を含み、
その余の累計額の記載等には不開示情報を含まない。

④報償費支払明細書については、支払相手方や具体的使途等が明らかになるものではない⇒不開示情報を含まない。

⑤領収書等については、支払日、支払相手方、金額、具体的使途等が明らかになる⇒不開示情報を含む。

支払相手方が情報提供者や協力依頼者ではなく、会合業者や交通事業者等の役務提供者である場合(間接支払類型と定義され、本件では、書籍代、交通費、金融機関の振込手数料、会合費等が問題となった。)についても、第三者が当該事業者に買収、監視、盗聴及び脅迫等の様々な不正行為を行うことにより、役務利用者の氏名等が明らかになる可能性があることを具体的に認定⇒不開示情報を含む。
 
●部分開示の可否 
各原審が、
①最高裁H13.3.27を引用しつつ、情報公開法が、「情報」と「記述等」を区別し、「記述等」の一定のまとまりをもって「情報」としている
部分開示の可否は、このように独立した一体的な「情報」ごとに判断され、これをさらに細分化して「記述等」についての部分開示を予定していない(情報公開法6条2項が不開示事由に該当する個人識別部分のみを除いて開示することを認めるのは、同条項の場合に限り、このような細分化した部分開示を許容することを是認した創設規定であるとする。)ものとした判断、
②このような「情報の」把握については、社会通念に照らして合理的に解釈されるべきであると、その具体的な適用について、一つの政策推進費の繰入れ、一つの支払決定、一つの金銭授受などの社会的に有意な辞意jつに関する情報(誰が、誰に、いつ、いくら等)をもって、社会通念上独立した一体的な情報を構成するものとする判断
をいずれも是認。

領収書等(⑤)については、一通の領収書等に記載された一つの金銭授受の情報は、それ全体が一つの情報とされ、これをさらに細分化する部分開示(例えば、受領者の氏名のみをマスキングして開示すること。)を否定

支払決定書(②)についても、同様の判断。

出納管理費(③)は、政策推進費受払簿と支払決定書の性質を併せ持ち、報償費の出納状況を一覧表にしてまとめたもの⇒各出納ごと、すなわち、各政策推進費の繰入れや各支払決定ごとに一つの情報を形成するものとし、不開示情報とされた支払決定書からの転記部分である調査情報対象費及び活動関係費の記載を除いた部分の開示を命じている。

不開示情報(調査情報対策費及び活動関係費の支払決定に関する記載)と
開示情報(政策推進費繰入れの記載等)
を峻別して、各情報につき、それぞれ情報単位論を適用し、前者につき、その情報を限度として不開示とし、後者の情報について部分開示を是認

解説  最高裁H19.4.17は、1つの文書に不開示情報と開示情報とがあり、両情報を構成する記載部分の一部が共通する。

判例時報2323

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「製造パラドックス」

2020年に向けた最も信用できる予想は、先進国において、製造での雇用は労働人口の10~12パーセントに縮小するが、生産高は少なくとも2倍になるというものである。製造を変え、生産性を跳ね上げたのは、「リーン生産方式」といった新たな概念である。80年前の大量生産の到来に匹敵する進歩である製造の新たな理論は、情報とオートメーションより重要である。

富と仕事の創造者としての製造の減少は、必然的に、新たな保護主義をもたらし、かつて農業で起こったことを、繰り返す。農家の有権者が少なくなれば、「農家の票」はより重要になった。人数が減るに従い、農家は全ての豊かな国で不釣り合いな影響力をもつ単一の特別利益集団となった。

ソース:The Daily Drucker 12 May.

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2017年5月10日 (水)

「外国為替リスクを管理する」

古く十分にテストされた知見によれば、会社の事業が主に通貨や商品の取引でなければ、会社は必ず負けるし、いずれかに投機すれば深刻に負ける。外国為替リスクは、最も保守的なマネジメントを投機家にする。

経営者は、外貨での売買の損失、国内外の市場での販売と市場地位の喪失といった、様々な種類の外国為替リスクから企業を守ることを学ばなくてはならない。これらのリスクは除去することはできないが、最小にし、少なくとも抑えることはできる。とりわけ、それらは、ヘッジとオプションの利用により、他の保険プレミアムとさほど変わらない、既知の、予測可能な、制御された事業コストに転換できる。会社の金融の「国際化」はまた、純粋の国内企業が為替レートに基づく海外競争に対してある程度自分を守る、最高の、おそらく唯一の、方法である。

ソース:The Daily Drucker 11 May.

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2017年5月 9日 (火)

著作権判例百選事件保全抗告決定

知財高裁H28.11.11    
 
<事案>
Xは、自らが編集著作物たる「著作権判例百選(第4版)」(「本件著作物」)の共同著作者の一人であることを前提に、Yが発行しようとしている雑誌「著作権判例百選(第5版)」(「本件雑誌」)は本件著作物を翻案したもの
本件著作物の翻案権並びに二次的著作物の利用に関する原著作物の著作者の権利(著作権法28条)を介して有する複製権、譲渡権及び貸与権又は著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)に基づく差止請求権を被保全権利として、Yによる本件雑誌の複製・頒布等を差し止める旨の仮処分命令を求める申立てをした。
   
東京地裁は本件仮処分申立には理由があると判断⇒Yが保全異議の申立て⇒原決定は、本件仮処分決定を認可⇒Yが原決定及び本件仮処分決定の取消し並びに本件仮処分申立ての却下を求めた。
 
<争点>
①Xが本件著作物の共同編集著作者の一人か
②翻案該当性ないし直接感得性
③本件著作物を本件原案の二次的著作物とする主張の当否
④氏名表示権の侵害の有無
⑤同一性保持権の侵害の有無
⑥黙示の許諾ないし同意の有無
⑦著作権法64条2項、65条3項に基づく主張の当否
⑧権利濫用の有無
⑨本件雑誌の出版の事前差止めの可否
⑩保全の必要性 
 
<規定>
著作権法 第12条(編集著作物)
編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
2 前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
 
著作権法 第14条(著作者の推定) 
著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。.
 
<判断>
①本件著作物の表紙にA教授、X、B教授、C教授の氏名に「編」と付して表示されている
②はしがきの記載

本件著作物には、Xの氏名を含む本件著作物の編者らの氏名が編集著作者名として通常の方法により表示されている

Xについて著作権法14条に基づく著作者の推定が及ぶ

著作者の推定の覆滅の可否:
編集著作物の著作者の認定につき、
素材について創作性のある選択及び配列を行った者は著作者にあたり、
②本件著作物のような共同編集著作物の著作者の認定が問題となる場合、編集方針を決定した者も、当該編集著作物の著作者となり得る。

他方、編集方針や素材の選択、配列を消極的に容認することは、いずれも直接創作に携わる行為とはいい難い⇒これらの行為をしたにとどまる者は当該編集著作物の著作者とはなり得ない。

共同著作物の著作者の認定につき、ある者の行為につき著作者となり得る程度の創作性を認めることができるか否かは、
①当該行為の具体的内容を踏まえるべきことは当然として、さらに、
②当該行為者の当該著作物作成過程における地位、権限、当該行為のされた時期、状況等に鑑みて理解、把握される当該行為の当該著作物作成過程における意味ないし位置付けをも考慮して判断されるべき。

Xは、本件著作物の編集過程においてその「編者」の一人とされてはいたものの、実質的にはむしろアイデアの提供や助言を期待されるにとどまるいわばアドバイザーの地位に置かれ、X自身もこれに沿った関与を行ったにとどまるものと理解するのが、本件著作物の編集過程全体の実態に適する

著作権法14条による推定にもかかわらず、Xをもって本件著作物の著作者ということはできないと判断し、著作者の覆滅を認め、本件仮処分決定及びこれを認可した原決定をいずれも取り消し、本件仮処分申立てを却下。
 
<解説>
著作権法 第17条(著作者の権利)
2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
著作権法は、創作時点で権利が発生する無方式主義(法17条2項)を採用⇒その著者を特定することが困難な場合も想定される。
⇒14条に著作者の推定規定をおき、調整を行っている。

14条の推定を受けるには
原作品への氏名等の表示
実名または周知な変名の表示がされていること
通常の方法による表示がされていること
が求められる。

自らが著作者であると主張する者は、具体的な創作について主張するまでもなく、例えば書籍であれば表紙や奥付に著作者として表示されていればそれをもって著作者と推定されることになり、
この推定を争う場合には、その事実の推定を覆す立証をその相手方がする必要がある。

編集著作物(著作権法12条1項)の著作者として認められるためには、表現の創作行為への実質的な関与が必要

最高裁H5.3.30:
「企画案ないし構想の域」を出ない程度の関与は、著作者としては認められない。

東京地裁昭和55.9.17:
配列について相談に与って意見を具申すること、又は他人の行った編集方針の決定、素材の選択、配列を消極的に容認することは、いずれも直接創作に携わる行為とはいい難い。

判例時報2323

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「政府の病」

政府と1918年から1960年にかけて成人となった世代との間以上に政治的蜜月になったことはない。この期間に誰かが行う必要があると感じたものは全て政府に委ねられ、その仕事は確実に行われるものと、全ての人が信じたように思われた。

しかし、今日、私達の態度は変化している。我々は急速に政府への疑問と不信に向かっている。我々はなお、習慣のみから、社会的な仕事を政府に委ねる。我々はなお、不成功なプログラムを何度も手直しし、進行中の手直しが治癒しないであろうことは、プログラムについて何も悪くないと断言する。しかし、私たちは、不奏功のプログラムを3度直す時には、もはやこれらの約束を信じない。我々はもはや政府からの結果を期待しない。例えば、誰が米国(又は国連)の対外援助プログラムの変更が急速な世界規模の開発を生み出すと信じるだろうか。長い間人々との政府の間の情熱的なロマンスであったものは、今日、どうやって断ち切ればいいかがわからず、長引くことで悪化した、くたびれた、中年の関係となった。

ソース:The Daily Drucker 10 May.

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2017年5月 8日 (月)

ライブハウスの経営者が演奏主体(=著作権侵害者)に当たるとされた事例

東京地裁H28.3.25      
 
<事案>
著作権等管理事業者であるXが、Y1及びY2に対し、Yらが共同経営しているライブバーにおいて、Xとの間で利用許諾契約を締結しないままライブを開催し、Xが管理する著作物を演奏(歌唱を含む)させていることが、Xの有する著作権(演奏権)侵害に当たる

①管理著作物の演奏・歌唱による使用の差止めを求め
②著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求として、連帯して使用料相当額及び弁護士費用の支払を求め
③不法行為にも届く損害賠償請求又は不当利得に基づく返還請求として、平成27年11月1日から管理著作物の使用終了に至るまで、連帯して使用料相当額の支払を求めた。
 
<判断>
①Yらが共同して、ミュージシャンが自由に演奏する機会を提供するために本件店舗を設置、開店したという経緯、②ライブハウスの管理状況、③ライブの客から飲食代として最低1000円を徴収していること等の諸事情を総合
⇒Yらが、管理者作物の演奏主体(侵害主体)に当たる。 

Xに著作権管理を委託している著作者は、Xとの間で、全ての著作権及び将来取得する全ての著作権を信託財産としてXに移転する内容の契約を締結⇒著作者自身が演奏する場合であっても、Xに無許諾で演奏することは著作権侵害に当たる

著作権侵害の故意の有無の判断に当たっては他人の権利を有する楽曲を利用する認識があれば足りる⇒Yらには故意があった。

本件調停の過程において管理著作物の利用に係る許諾契約が成立しているとは認められない。
Xによる請求は、過去の交渉経緯等に照らしても権利濫用に当たらない。

Xの差止請求を認めるとともに、過去の本件店舗における演奏に係る損害賠償請求又は不当利得返還請求については、証拠により認められる限度で一部認容。
将来の給付請求については、あらかじめその請求をする必要がある場合に当たらないとして棄却。
 
<解説>
クラブ・キャッツアイ事件(最高裁昭和63.3.15)、ロクラクⅡ事件(最高裁H23.1.20):
最高裁は、
演奏主体に関し、クラブキャッツアイ事件で、
スナックにおける客のカラオケ歌唱について、
①店の経営者の管理の下に歌唱していると解されていること
②店の経営者が、客の歌唱を利用して営業上の利益を増大させることを意図していること
店の経営者が演奏主体であると判断。

複製主体に関し、ラクロスⅡ事件で、
サービス提供者が、その管理、支配下において、放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力するという複製の実現における枢要な行為をしている
サービス提供者が複製主体に当たる。 

本判決:
Yらが、①演奏を管理・支配し、②演奏の実現における枢要な行為を行い、③それによって利益を得ている⇒Yらが侵害主体に当たる

本件ライブバーは、ライブ客から徴収したミュージックチャージの全額を出演者が得ているなど通常のライブハウスとは多少異なる営業実態。

判例時報2322

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「知識社会の中心」

歴史を通じ、5年か7年の徒弟制度の後に仕事を学んだ熟練工は、18歳か19歳までに、生涯で使う必要がある全てを学んだ。今日、新たな仕事は、相当量の正規の教育と論理的/分析的知識を獲得し応用する能力を必要とする。仕事への異なるアプローチと異なる思考様式を必要とする。とりわけ、継続的な学びの習慣を必要とする。

全ての人にとって、いかなる知識の組み合わせが必要か?学びと教えにおける「質」は何か?それらは、必然的に、知識社会の中心的な関心となり中心的な政治課題となる。実際、私達が資本主義の時代と呼んだ2,3世紀に資産と収入の獲得が占めた場所を、知識社会の政策において正式な知識の獲得と分配が占めるであろうと予想することは、空想的に過ぎるものではない。

ソース:The Daily Drucker 9 May.

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2017年5月 7日 (日)

特許法102条1項の構造、同ただし書の「販売することができないとする事情」

知財高裁H28.6.1      
 
<事案>
①発明の名称を「破袋機とその駆動方法」とする発明に係る本件特許権を有する一審原告が、一審被告が製造販売する破袋機は、本件特許発明1ないし3の技術的範囲に属する
②一審被告が被告製品を生産、譲渡等する行為は、本件特許権を侵害する行為であり、また、一審被告から被告製品を購入した顧客が、業として被告製品を使用する行為は本件特許権を侵害する行為であるところ、一審被告が顧客の使用する被告製品を保守する行為は、顧客による被告製品の使用という本件特許権の侵害行為を幇助するもの

一審被告に対し、
①特許権100条に基づき、被告製品の生産、譲渡等の差止め並びに被告製品及びその半製品の廃棄、
②不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害賠償金の一部である2816万9021円及び遅延損害金の支払
を求めた事案。
 
<規定>
特許法 第102条(損害の額の推定等)
特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、その譲渡した物の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度において、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
 
<原審> 
①被告製品は、本件特許発明1,2の技術的範囲に属するが、本件特許発明3の技術的範囲に属さない。
②本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであるとはいえない。
③一審被告が被告製品を譲渡したことによる損害額は1758万3700円(特許法102条1項)である。
④一審被告が被告製品を保守したことによる損害賠償請求は理由がない。

一審原告の請求を、
①被告製品の清算、譲渡等の差止め並びに被告製品及びその半製品の廃棄、
②1756万3700円及びこれに対する遅延損害金の支払
を求める限度で認容。 
 
<判断>
被告製品は、本件特許発明1,2の技術的範囲に属する旨判示。
損害について増額変更。
 
<判断・説明>
●特許法102条1項の趣旨
侵害者の営業努力や代替品の存在等、権利者において侵害品の販売数量と同数の販売をすることが困難であった事情が訴訟において明らかになった場合でも、それらの事情を考慮した上で現実的な損害額が算定できるルールとして、同項が新設された。
 
●特許法102条1項の構造
「①特許権者又は専用実施権者を侵害した者・・・がその侵害の行為を組成した物を譲渡したとき・・・譲渡した物の数量」に
「②特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額」
を乗じた額を、
「③特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度」において、
特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。
同項ただし書によれば、
「④譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情に相当する数量」に応じた額を控除。

損害の計算式:
「(①-④)×②」(≦③)
で、
①②③の事実は、特許権者側が主張立証
④は、被告側が主張立証。
 
●特許法102条1項の解釈 
②の「侵害行為がなければ販売することができた物」とは、侵害行為によってその販売数量に影響を受ける特許権者等の製品、すなわち、侵害品と市場において競合関係に立つ特許権者等の製品であれば足りると解すべき。
特許権者の製品が侵害品と競合可能性を有する物であれば足り、同一のものであることを要しないとするのが多数説・判例の立場。

②の「単位数量当たりの利益額」は、特許権者等の製品の販売価格から製造原価及び製品の販売数量に応じて増加する変動経費を控除した1個当たりの額(限界利益の額)とするのが裁判例。

④の「販売することができないとする事情」は、侵害者の営業努力や代替品の存在等をいうもの。

侵害行為と特許権者等の製品の販売減少との相当因果関係を阻害する事情に特に制限があるわけではなく、これらの事情の立証責任が被告側にあることがポイント。

本判決は、「販売することができないとする事情」は、侵害行為と特許権者等の製品の販売減少との相当因果関係を阻害する事情を対象とし、例えば、市場における競合品の存在、侵害者の営業努力(ブランド力、宣伝広告)、侵害品の性能(機能、デザイン等特許発明以外の特徴)、市場の非同一性(価格、販売形態)などの事情がこれに該当。
一審被告が主張した事情はこれに当たらない。

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「知識社会における成功の代償」

知識社会の上昇可動性は、ラットレース(=勝ち残り競争)の心理的プレッシャーと感情的トラウマという、高額な代償を支払う。敗者がいる場合にのみ、勝者が存在し得る。これは以前の社会とは違う。

日本の子ども達は、試験に合格するために夕方詰め込み主義の塾で過ごすため、睡眠不足に陥っている。そうでないと、彼らが選ぶ評価の高い大学に入り、いい仕事につくことにならない。米国、英国、フランス等の他の国でも、学校は激しく競争的となっている。これが、30~40年以内の短期間に起ったことは、いかに失敗の恐怖が知識社会に浸透したかを意味する。この競争的苦闘により、ますます多くの高度に成功する、事業マネジャー、大学教員、博物館の管理者、医師等の知識労働者は、40歳台で安定期に入る。仕事が彼らの全てであれば、困ったことになる。知識労働者は、そのため、真剣な外部的関心を持つ必要がある。

ソース:The Daily Drucker 8 May.

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2017年5月 6日 (土)

地方公共団体が設置・管理する博物館の外国人(反捕鯨ジャーナリスト)に対する入館拒否が違法とされた事例

和歌山地裁H28.3.25      
 
<事案>
X(オーストラリア在住の反捕鯨ジャーナリスト)は、本件入管拒否が、
①Xの表現の自由等を侵害するもので法令上の根拠を欠き、
②思想良心に基づく不利益処遇及び外国人差別に該当する
⇒憲法14条、19条及び21条等に反するなどと主張し、
Yに対し、国賠法1条1項に基づく損害賠償として、慰謝料300万円等の支払を求めた。
 
<判断> 
●争点①について
①本件入管拒否が、憲法19条及び21条から導かれる情報摂取行為に対する制約の側面を有すると認め、国賠法上の違法性の判断にあたっても憲法上の価値を考慮すべきであることを前提に、条例上本件博物館が入管を拒否できる要件について、
単に管理の支障を生じる一般的・抽象的なおそれがあるというだけでは足りず、具体的事情の下において、管理の支障を生じる相当の蓋然性がある場合に限ると解するのが相当。
②Xがテレビ局職員を伴ったり大型機材を所持したりしておらず、窓口職員が何らの質問等をすることなく即座にプラカードを提示して入館を拒否している⇒管理の支障を生じる相当の蓋然性までは認められない。 
 
●争点2について 
管理の支障を考慮したもので、思想や国籍などに基づくものではない。
 

①Xの情報摂取の目的が希薄であった
②Xの反捕鯨の考えの表明という主たる目的が達成されている
③本件入管拒否が管理の支障に着目してされたもので付随的な製薬
⇒慰謝料を10万円とし、弁護士費用と合わせて11万円の支払を命じた。
 
<解説>
本件は、主に憲法21条に関し、防御権ではなく、地自法上の住民でない者が地方公共団体の設置・管理する施設を使用するという請求権的側面が問題となった事案。 

集会の自由と公の施設の管理権との調整が問題となった事案である最高裁H7.3.7:
地自法244条2項及び3項等を参照し、憲法が集会の自由を保障する見地から、利益衡量を行い、利用を不許可とするには、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であるとした。

地自法 第244条(公の施設) 
普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。
2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

本件のXは、Yの住民ではなく、本件博物館は、表現行為を予定した場所ではない上、想定される管理権行使の態様も集会用の施設と異なる。

従前の情報摂取行為に関する判例のみならず、本件博物館の公的な役割及び展示物から得られる情報の価値等にも言及して、本件入管拒否が情報摂取行為の制約に当たることを判示。

市立図書館の司書が規則に違反して独断で図書を廃棄した事案である最高裁H17.7.14も、地方公共団体の設置した施設である図書館の役割や機能を、国賠法上の違法性の判断に反映させている。

本判決は、集会の自由と管理権が問題となった判例同様、条例上の管理権行使の要件を限定的に解釈する立場を採用し、入管拒否に管理の支障の相当の蓋然性を要求して、本件入管拒否に蓋然性は認められないとした。

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「知識社会と組織社会」

ポスト資本主義社会は、知識社会であるとともに組織社会であり、それぞれは、互いに依存するが、そのコンセプト、視点、価値において非常に異なる。専門知識はそれ自体何も生み出さない。それは、仕事に統合されて初めて生産的となり得る。これが知識社会が組織社会でもある理由である。事業も非事業も等しく、全ての組織の目的と機能は、専門知識の一般の仕事への統合である。知識労働者が有効である必要があるという基本的継続を提供できるのは組織だけである。知識労働者の専門知識をパフォーマンスに転換できるのは組織だけである。

知識人は、組織を道具と見る。それ(組織)は、その技術や専門知識の実施を可能にする。マネジャーは、知識を組織のパフォーマンスに向けた手段とみる。いずれも正しい。それらは反対であるが、否定としてではなく、対極として相互に関係する。2つが相互にバランスする時、創造と秩序、達成と使命が存在し得る。

ソース:The Daily Drucker 7 May.

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2017年5月 5日 (金)

弁護士の懲戒処分の差止め・決定の違法確認等(不適法)

東京地裁H28.4.14      
 
<事案>
労働事件の双方の当事者、その代理人である弁護士らが相互に懲戒請求。
一方の当事者、弁護士が懲戒処分の差止め、損害賠償、弁護士会の決定、日弁連の決定の違法確認等を請求。 

<事実>
弁護士X1は、平成25年8月頃まで、A学校法人の委任を受け、労使交渉等の助言を行う等。
同年9月、Aの労働組合の代理人としてAに団体交渉を申し入れる等。

Aは、平成25年11月、X1につきY1弁護士会に対して、委任契約書の不作成、報酬の説明懈怠、過大な報酬、秘密保持義務違反等を理由に懲戒請求。

X2は、Aの職員であったが、平成26年3月、解職処分⇒X1が代理人となり、Aに対して仮処分を申し立て、訴訟を提起。
X2は、、平成26年11月、X1を代理人として、Aの監事である弁護士BにつきY2弁護士会に懲戒請求。
⇒Y2の綱紀委員会(Cが部会長)がBにつき事案の審査を求めないことを相当する旨の議決をし、Y2は、Bを懲戒しない旨を決定⇒X2は、X1を代理人としてY3連合会(日弁連)に対して異議の申出⇒Y3は、同年8月、異議の申出を棄却。
⇒X2は、X1を代理人として、CにつきY2に懲戒請求の申立て⇒Y2は懲戒しない旨の決定。

Y1の綱紀委員会は、X1につき事案の審査を求めることを相当とする旨の議決。
 
<訴訟> 
X1、X2の提起した訴訟
Y1に対するもの:
①Y1の綱紀委員会の決定による懲戒処分につき独禁法24条に基づく差止め(X1のみの請求)、
②主位的に不法行為に下づk損害賠償、予備的に前記決定の違法の確認をするもの

Y2に対するもの:
Y2がB、Cに関する懲戒をしない旨の決定が違法である等と主張し、
主位的に不法行為に基づく損害賠償
予備的に前記決定の違法の確認を請求

Y3に対するもの:
異議の申出を棄却する決定につき 、
主位的に不法行為に基づく損害賠償
予備的に前記決定の違法の確認を請求
 
<争点>
①各訴えの適法性
②独禁法24条の該当性
③各不法行為の成否
④損害発生の有無等 
 
<判断>
Y1に対する請求のうち、差止請求について、

綱紀委員会の決定が出されたにすぎない段階で懲戒事由の存否、効力、適否等につき司法審査の対象とし、懲戒処分の差止めを求めることは、弁護士法の趣旨等に照らして許されない⇒不適法

懲戒処分が公の権力の行使として行われるものであり、広い意味での行政処分行政処分の効力に係る差止めの訴えは、民事訴訟として許容されるものではなく、不適法。 

損害賠償請求について:
綱紀委員会の決定の段階で懲戒対象者に生じる不利益は、通常生ずる程度の不利益の限度を超えるものではなく、法律上保護される利益の侵害が認められない不法行為の成立を否定

違法確認請求について、確認の利益を否定。
Y2、Y3に対する判断も同様。

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「知識はスキルを排除しない」

今日、「知識労働者」という言葉は、医師、弁護士、教師、会計士、化学技術者等、学理的な知識と学びを備えた人々を表すのに広く使われる。しかし、最も著しい成長は、コンピュータ技術者、ソフトウェアデザイナー、臨床研究室の分析者、製造技術者、パラリーガル等の「知識技術者」におけるものとなる。これらの人々は、知識労働者であると同時に、肉体労働者である。実際、彼らは通常その頭脳をつかう以上に手を使って仕事をする。

このように、知識はスキルを排除しない。逆に、知識は、急速にスキルの基礎となる。我々は、非常に進んだスキルを素早く獲得できるよう、ますます知識を使う。知識はスキルの基礎として用いられて初めて、生産的となる。例えば、致命的な脳出血となる前に脳動脈瘤の手術を準備をする外科医は、切る前の診断に何時間も費やし、それは高度に整理された専門知識を必要とする。しかしながら、手術それ自体は、スピード、正確さ、均一性が強調される、反復的な手作業からなる肉体労働である。そして、これらの作業は、他の肉体労働と同じく、研究され、体系化され、学ばれ、実践される。

ソース:The Daily Drucker 6 May.

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2017年5月 4日 (木)

①子の入寮(私立高校)による食費・光熱費の権利者の負担減、②義務者の再婚に伴う相手方の子との縁組⇒養育費減額

大阪高裁H28.10.13      
 
<事案>
2003年(平成15年)に公表されその後実務に定着した養育費等の標準的算出方法(簡易算定方法)に立脚しながら、①未成年者が平成28年4月に私立高校に入学したが入寮したたま権利者の負担額が減少したこと、②義務者が再婚して再婚配偶者の子と養子縁組したため義務者の負担額が増加したこと等
⇒抗告審において、義務者(父)が権利者(母)に支払うべき養育費を減額変更。 
 
<原審>
標準的算定方法⇒
平成27年においては月額8万円から10万円の枠の下域に
平成28年度では6万円から8万円の下域に。
高校の寮費等に年間85万円余円がかかる⇒算定表において考慮されている公立高校の学校教育費相当額33万円余円を超過する52万余円については、双方で基礎収入の割合に応じて按分負担すべき。
義務者の負担額を38万余円(月額3万2000円)とし、
当事者双方の生活状況等、諸般の事情から、時期を分けて、月額8万円、6万5000円、9万7000円とした。
 
<判断>
未成年者は入寮の限度で権利者は食費・光熱費の負担が軽減⇒月額2万8000円を養育費から控除
義務者の再婚者の子(縁組)の養育費を控除

義務者の負担すべき養育費の額は月額4万4000円
 
<解説>
日弁連の新簡易表が家裁実務等に広く使われる可能性。
⇒義務者の負担額はかなり増える。

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「新しい多元論」

社会の新しい多元的組織は政府や統治に関心がない。以前の多元的組織と違い、それは「全体」ではなく、その結果は、完全に外部にある。事業の成果は満足した顧客である。病院の成果は治った患者である。学校の「成果」は10年後学んだことを仕事に活かす学生である。

いくつかの点で、新しい多元論は、古い多元論より、はるかに柔軟で、不和を生じない。新たな組織は、中世の教会であれ、封建時代のバロンであれ、自由都市であれ、古い多元的組織が行ったように、政治的力を侵食しない。新しい多元論は、しかしながら、古い多元論と異なり、同じ関心を共有したり、同じ世界を見たりしない。新しい組織のそれぞれは、自らの目的を、中心で、究極の価値で、真に重要であると考える。全ての組織は、独自の言葉を話し、独自の知識をもち、独自のキャリアの階段をもち、そしてなにより、独自の価値を持つ。誰も、自分を、コミュニティ全体に責任をもつものとはみない。それは、誰か他人の仕事である。しかし、誰の?

ソース:The Daily Drucker 5 May.

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2017年5月 3日 (水)

被保険車両の盗難を理由とした保険金の支払を求めた事案で、否定された事例

東京高裁H27.8.4      
 
<事案>
Xは、Yとの間で、協定保険価格355万円の自動車保険契約を締結していたが、その使用する自動車(イモビライザー装備車)が盗難にあった⇒車両保険金355万円の支払を求めた。 
 
<原審>
本件駐車場所に本件車両が置かれていたことを認めた上で
①レッカー移動など非自走式の窃取方法やスペアキーを利用する方法で本件車両を持ち去ったとは考え難いとしつつ、イモビライザーシステムを無効化すること自体が不可能ないし著しく困難であるとはいえず、イモビライザー装備車であっても相当数の盗難事例が存在⇒本件車両の盗難は可能。
②Xの収入が乏しいこと、Xにおいて本件車両の必要性は乏しいといった事情があったとしても、本件盗難を故意に生じさせたとまではいえない
⇒Xの請求を全部認容。 
 
<判断> 
X以外の者が本件車両を本件駐車場から持ち去ったことを認めることはできない⇒原判決を取り消してXの請求を棄却。 

本件駐車場所に本件車両が置かれていたことを認めた上で、
①本件駐車場は、三方を建物に囲まれ、片側一車線の国道に面するなどの周辺立地状況等⇒非自走式による本件車両の持ち去りは現実的に考え難い
②エンジンキー、スペアキーの利用を疑わせる具体的な事情は見当たらず、単なる抽象的な可能性にとどまる
③イモビライザー装備車のエンジンキー複製について、本件車両の持ち去りが判明した午前5時頃までに、本件車両からコンピュータを取り出して運び出し、明るいところで作業をする時間的余裕は全くなく、エンジンキーを複製することができる専門業者の関与をうかがわせる証拠も一切ない⇒エンジンキーを複製する方法による持ち去りの現実的可能性は極めて乏しい
④このほか本件車両の持ち去りの可能性を示す具体的な事実を認めるに足りる証拠はない
⑤Xが警察に盗難被害を届け出ている事実があったとしても、これをもって直ちに本件車両の盗難被害の事実を推認することはできない。

「被保険者以外の者が被保険者の占有に係る被保険自動車をその所在場所から持ち去ったこと」を認めることはできない
 
<解説>
盗難を原因として保険金の支払を請求する者は、請求原因事実として、盗難の外形的事実である
「被保険者の占有に係る被保険自動車が保険金請求者の主張する所在場所に置かれていたこと」及び
「被保険者以外の者がその場所から被保険自動車を持ち去ったこと」

を合理的な疑いを超える程度にまで主張立証しなければならない(最高裁H19.4.17等)。

被保険者の意思とは切り離された外形的な事故態様。 

単に盗難の可能性を示すだけでは足りず、その可能性がどの程度まで具体的に示しうるかについて検討することが必要。

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「Next Society の特徴」

次の社会(Next Society)は知識社会である。その3つの主要な特徴は
①知識はお金より、容易に伝達するため、ボーダーレス、
②容易に得られる正規の教育を通じ、全ての人が享受できる、上方への可動性、
③成功と同じく失敗の可能性。誰もが仕事に必要な知識という「生産手段」を獲得できるが、全ての人が勝てるわけではない。

これらの3つの特徴は、知識社会を、組織と個人にとって、高度に競争的なものにする。

情報技術は、次の社会(Next Society)の多くの新たな特徴の1つにすぎないが、既に非常に重要な影響を与えている。それは知識をほとんど瞬時に広め、全ての人々にアクセスできるようにする。情報移動の容易さとスピードにより、知識社会における全ての組織(事業だけでなく、学校、大学、病院、そしてより多くの政府機関もまた)は、そのほとんどが活動と市場においてローカルであり続けるが、グローバルに競争的でなくてはならない。それは、インターネットが全ての場所の顧客に、世界のどこで、いくらで、何が利用できるかを知らせるからである。

ソース:The Daily Drucker 4 May.

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2017年5月 2日 (火)

関係会社ABと再生債務者との間の債権債務の相殺の可否(否定)

最高裁H28.7.8      
 
<事案>
再生手続開始の決定を受けた証券会社Xが、信託銀行Yとの間で基本契約(「本件基本契約」)を締結をして行っていた通貨オプション取引及び通貨スワップ取引(「本件取引」)が終了したとして、本件基本契約に基づき、Yに対し、清算金の支払等を求めた事案。

<事実>
本件基本契約におけるXの信用保証提供者であるA社が平成20年9月15日に米国連邦倒産法第11章の適用申請を行った⇒本件取引は終了し、XはYに対して本件基本契約に基づく清算金債権(「本件清算金債権」)を取得。
B社も、Xとの間で本件基本契約と同様の基本契約を締結して取引を行っていたところ、同取引は同日に終了し、B社はXに対して、同基本契約に基づき、本件清算金債権を上回る金額の清算金債権を取得。 
Yは、再生債権の届け出期間内に、B社のXに対する清算金債権を自働債権、XのYに対する本件清算金債権を受働債権として、対当額において相殺する旨の本件相殺をした。

Yの主張 Xの再生手続開始の決定後、Yと完全親会社を同じくする他の株式会社が再生債務者であるXに対して有する再生債権を自働債権、XがYに対して有する前記清算金の支払請求権を受働債権とする本件基本契約に基づく相殺をしたことにより、前記清算金の支払請求権が消滅したと主張。 
 
<争点>
再生債権者と再生債務者との間において債権債務の対立(=相互性)を欠く本件相殺が、民事再生法92条1項により認められる相殺に当たるか? 
 
<規定>
民事再生法 第92条(相殺権)
再生債権者が再生手続開始当時再生債務者に対して債務を負担する場合において、債権及び債務の双方が第九十四条第一項に規定する債権届出期間の満了前に相殺に適するようになったときは、再生債権者は、当該債権届出期間内に限り、再生計画の定めるところによらないで、相殺をすることができる。債務が期限付であるときも、同様とする。
 
<原審>
本件相殺は、2当事者が互いに債務を負担する場合における相殺ではないが、
①Xの再生手続開始の時点で再生債権者が再生債務者に対して債務を負担しているときと同様の相殺の合理的期待が存在するものであると認められ
②再生債権者間の公平、平等を害するものであるとはいえない
⇒法92条により許容される。
⇒本件清算金債権は本件相殺によりその全額が消滅したとして、Xの請求を棄却。
 
<判断>
再生債務者に対して債務を負担する者が、当該債務に係る債権を受働債権とし、自らと完全親会社を同じくする他の株式会社が有する再生債権を自働債権としてする相殺は、これをすることができる旨の合意があらかじめされていた場合であっても、法92条1項によりすることができる相殺に該当しない。
⇒本件相殺も同項によりすることができる相殺に該当しない。
 
<解説>
再生債権につき再生手続開始後は原則として再生計画の定めるところによらなければ消滅させる行為を禁止(法85条)など、再生債権者間の公平、平等な取扱いを基本原則としている。
これに対し、「互いに」同種の債権を有する当事者間において、相殺の担保的機能に対する再生債権者の期待を保護することは、通常、再生債権についての再生債権者の公平、平等な扱いを基本原則とする再生手続の趣旨に反するものではない⇒法92条は、破産法等と同様の考え方の下に、再生債権者による相殺権を保障したもの。

法の相殺の禁止に関する規定は、再生債権者間の公平、平等を図ることを目的とする強行規定⇒これに反してされた相殺は合意に基づくものであっても無効であると解することで特に異論がない。

判例時報2322

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「グローバル競争」

戦略は新たな原則を受け入れなくてはならない。事業だけでなく、いかなる組織も、世界のどこにあろうとう各産業のリーダが設定した基準に対して自らを評価しなくてはならない。情報伝達の容易さとスピードにより、ほとんどの組織はその活動と市場においてはローカルであり続けたとしても、知識社会における全ての組織はグローバルに競争的でなくてはならない。なぜなら、インターネットにより、あらゆる場所の顧客は世界のどこで何がいくらで利用できるかを知るからである。イーコマースは、通商と富の配分のための新たなグローバルなチャネルを作る。

一例がある。ある起業家がメキシコに非常に成功したエンジニアリングデザイン会社を作った。彼は、その最もタフな仕事の1つは、社員と同僚に、もはや競争がメキシコだけでないことを分からせることだと言う。競争相手の物理的拠点がなくても、インターネットにより、顧客はグローバルなオファーを知り、メキシコで同じ品質のデザインを求める。この経営者は、社員に、会社が直面する競争はグローバルであり、会社のパフォーマンスはメキシコの競争相手ではなく、グローバルな競争相手に対して比較されなくてはならないことを分からせないといけない。

ソース:The Daily Drucker 3 May.

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2017年5月 1日 (月)

地方公共団体が出資した会社の株主総会での議決権の行使は住民訴訟の対象とならないとされた事例

高知地裁H27.3.10      
 
<事案>
A社の株主総会において、株主であるB町の代表者であるYが、A社の財産を第三者に売却等する旨の議案を承認したことにつき、B町の住人であるXらが、その売却価額が不相当に安価であり、この議案を承認すべきではなかったのに、その承認をしたことにより、A社の財産的価値が減少し、B町に損害が生じたなどと主張して、地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき、B町の町長であるYに対し、2079万7343円及び遅延損害金の支払をYに求めるよう請求する住民訴訟。 
 
<規定>
地方自治法 第242条(住民監査請求) 
普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。
 
<判断>
①住民訴訟の対象となる事項は、地方自治法242条1項に定める違法な財務会計上の行為又は怠る事実に限定
②財務会計上の行為のうち「財産の管理」とは、当該財産としての財産的価値に着目し、その価値の維持、保全を図る財務的処理を直接の目的とする財産管理行為がこれに該当。
株主の有する議決権は、株主が会社経営に参与し、あるいは、取締役等の行為を監督是正する権利である共益権の一種である上、本件議案に陥ったA社において木材の乾燥業を継続することは困難である一方、A社の保有する乾燥機を利用してきた業者にとってその使用を継続する必要があるため、乾燥業の受け皿となる林産組合が設立されたことを前提として、その林産組合にA社の有する固定資産を譲渡すべきかが、A社の経営上問題となったことから、A社の株主であるB町として、その経営上の判断の是非に賛否を明らかにすべく行使されたもの⇒この議決権の行使は、株式の財産的価値の維持・保全を図る財務的管理を直接の目的とするものであるとはいえず、財務会計上の行為であるとはいえない

Xらの訴えを却下

判例時報2322

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「ネットワーク社会」

100年以上、先進国は確実に従業員組織社会に移行してきた。今日、米国を先頭に、先進国は、組織とそのために働く個人の関係、そして異なる組織間の関係に関し、急速に「ネットワーク社会」に移行している。

米国の労働者のほとんどの成人は、組織のために働く。しかし、ますます、彼らはその組織の従業員でなくなる。彼らは、契約者、パートタイマー、臨時雇いである。そして、組織間の関係は組織とそのために働く人々の関係と同じくらい急速に変わっている。最も目に見える例は、会社、病院、あるいは政府組織が、ある活動全体をその種の仕事に専門化した独立の会社に委譲する「アウトソーシング」である。より重要なのは、アライアンス(協力)へのトレンドである。個々の専門家と幹部は、自分自身の配置に責任があることを、学ばなくてはならなくなる。それは、とりわけ、彼らがその強みを知り、販売される「製品」とみなくてはならないことを意味する。

ソース:The Daily Drucker 2 May.

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