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2017年4月15日 (土)

「私生活についての重大な秘密」にあたるとして、訴訟記録の閲覧等制限申立が認められた事例

東京高裁H27.4.6      
 
<争点>
Xが閲覧等の制限を求めて本件秘密記録部分(母の死体についての解剖結果報告書、母の死体の実況見分調書及びXの身体の状況についての写真撮影報告書)が民訴法92条1項1号にいう「私生活についての重大な秘密」にあたるか? 
 
<規定>
民訴法 第92条(秘密保護のための閲覧等の制限)
次に掲げる事由につき疎明があった場合には、裁判所は、当該当事者の申立てにより、決定で、当該訴訟記録中当該秘密が記載され、又は記録された部分の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下「秘密記載部分の閲覧等」という。)の請求をすることができる者を当事者に限ることができる。

一 訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載され、又は記録されており、かつ、第三者が秘密記載部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること。
 
<原決定>
①本件秘密記録部分について、本件暴行事件当時の報道等によりX及びその母が事件の被害者となった事実について公開されていた
②秘密記載部分自体が刑事事件の証拠として公開されていた

私生活についての重大は秘密にあたらないとして、Xの申立てを却下。
 
<判断>
「私生活についての重大な秘密」とは、単に私生活についての秘密として保護され、差止請求権や損害賠償請求権の根拠とされるというのみでは足らず、当事者の人格にかかわるような重要性を有する秘密であり、秘密の公開によってその社会生活が破壊されるような重大な秘密でなければならない。

①母に関する記録が公開された場合には、Xの母に対する愛慕崇敬の感情が著しく害され、心情の静謐が大きく乱されるものと認められる⇒母に関する記録はXの人格にかかわる秘密に当たる
Xの身体の状況についての写真撮影報告書が公開された場合には、肖像権が侵害されるにとどまらず、Xに対する社会的評価の低下を招き、名誉感情、羞恥心を含め、Xが自己の人格に対して有する感情が著しく害される⇒Xの人格にかかわる秘密に当たる
これらが公開された場合には、Xの人格について、容易には回復しがたい打撃を受け、社会生活が破壊され、Xが社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある
 
<解説>
秘密保護のための閲覧等の制限においては、秘密記載部分を特定して申し立てなければならない(民訴法92条1項、同規則34条1項)。
秘密記載部分が公開されることで、秘密の保持を望む当事者が訴訟記録に記載されることを恐れて、十分な主張立証をすることができなくなり、敗訴の危険にさらされる⇒秘密保護のための閲覧等の制限規定。
but
閲覧等の制限は、憲法82条が保障する裁判の公開の重大な例外を構成⇒秘密の保護は必要最小限のものに限られる。

判例時報2320

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