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2017年4月25日 (火)

東日本大震災の地震発生による避難に際しての小学校校長の義務違反⇒国賠請求(一部肯定)

仙台地裁H28.3.24      
 
<事案>
Y市に対し、Y市が設置、運営し災害時の避難場所に指定していた本件小学校に避難したA及びBを校舎の2階以上に避難誘導しなかったという本件校長の過失によってA及びBが本件小学校の体育館において津波に襲われて死亡し、また、本件小学校に避難した同校在籍の児童であるCを災害時児童引取責任者として登録されていなかったD(Cの同級生の親)に引渡し後の安全を確認せずに引き渡したという本件校長の過失によってCが本件小学校よりも海側の場所で津波に襲われて死亡した
⇒国賠法1条1項に基づく損害賠償請求等 
 
<判断> 
●本件校長は、教育委員会の補助機関として、本件小学校について防災対策業務を行い、災害に関する情報を迅速かつ適切に収集及び伝達し、当時の一般的な知見等に照らして避難者らの生命又は身体に対する有害な結果を予見し、その結果を回避するための適切な措置を採るべき法的義務(法的義務①)を有していた。

本件校長らが行った情報収集は明らかに不十分なものであったが、
本件校長らが入手し得た情報を前提としても、本件津波が本件体育館に到達するという結果を具体的に予見し得たとは認められない
過失を否定
 
●本件校長は、指定避難場所である本件小学校に避難した同校の児童を同校から移動させる際には、安全とされている避難場所から移動させても当該児童に危険がないかを確認し、危険を回避する適切な措置を採るべき注意義務を負っていた。

災害発生後に児童が同校に避難してきた場合には、たとえ一旦下校した児童であったとしても保護者の保護下にない状況であれば、児童の安全を確認できない限り、災害児童引取責任者以外の者に引き渡してはならない義務(法的義務②)を負っていた。 

①本件校長は、CがDに引き渡されるまでに、事前に想定されていた地震と同程度の地震が発生したことを認識し、少なくとも事前の想定と同規模の津波が到達するという結果の発生を予見することができた
②Cが自宅に戻るためには本件津波浸水予測図における津波浸水域を必ず通過しなければならないこと、わずか9歳のCが津波の危険を察知できず、不適切な行動を取る可能性も十分に考えられること

本件校長において、CをDに引き渡して自宅に帰宅させると、帰宅途中ないし帰宅後に本件津波に巻き込まれるという結果を具体的に予見できた

本件校長が、Cが本件津波に巻き込まれるおそれがあることを全く考慮しないまま、Cの担任教諭を通じてCを災害時児童引取責任者ではないDに引き渡したことにつき、前記法的義務②に違反した過失がある。

本件校長の前記過失とCの死亡との間に因果関係が認められることは明らか。

(本件事情の下)仮にCを体育館に留め置いたとしても生存し得たものと認められる⇒損害額については、Cを本件体育館に留め置いたとしてもCは死亡したとして当該事由を損害額の算定に当たって考慮することは相当ではなく、また、Cの死亡について日本スポーツ振興センターからX3に支給された特別弔慰金を損益相殺すべきではない。

X3の請求全額を認容。

判例時報2321

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