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2017年4月13日 (木)

弁護士法23条照会への回答拒絶の弁護士会への不法行為(否定)

最高裁H28.10.18      
 
<事案> 
弁護士法23条の2第2項に基づく照会(23条照会)を郵便事業株式会社(本件会社) に対してした弁護士会であるXが、
本件会社を吸収合併したYに対し、
主位的に、本件会社が23条照会に対する報告を拒絶したことによりXの法律上保護される利益が侵害されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求め
予備的に、Yが23条照会に対する報告をする義務を負うことの確認を求めた
事案

Aの代理人弁護士は、Bに対する強制執行の準備のため、平成23年9月、所属弁護士会であるXに対し、B宛ての郵便物に係る転居届の提出の有無及び転居届記載の新住所(居所)等について本件会社に23条照会をすることを申し出⇒Xは23条照会⇒Yは、同年10月、これに対する報告を拒絶
 
<判断>
23条照会の制度は、弁護士が受任している事件を処理するために必要な事実の調査等をすることを容易にするために設けられたもの。
②23条照会を受けた公務所または公私の団体は、正当な理由がない限り、照会された事項について報告をすべきものと解される⇒23条照会をすることが上記の公務所または行使の団体の利害に重大な影響を及ぼし得る。
弁護士法23条の2は、上記制度の適正な運用を図るために、照会権限を弁護士会に付与し、個々の弁護士の申出が上記制度の趣旨に照らして適切であるか否かの判断を当該弁護士会に委ねている

弁護士会が23条照会の権限を付与されているのは飽くまで制度の適性な運用を図るためにすぎないのであって、23条照会に対する報告を受けることについて弁護士会が法律上保護される利益を有するものとは解されない。 

23条照会に対する報告を拒絶する行為が、23条照会をした弁護士会の法律上保護される利益を侵害するものとして当該弁護士会に対する不法行為を構成することはない
 
<解説>
本件については、Aも、Yに対する損害賠償を請求していたが、原審は、
①23条照会の制度は依頼者の私益を図るために設けられたものではなく、23条照会に対する報告がされることによって依頼者が受ける利益は、前k制度が適正に運用された結果もたらされる事実上の利益にすぎない
②本件拒絶が、Aの権利、利益等を害する目的でされたとは認められない。
侵害行為の態様(違法性の程度)との関係からみても、Aの管理又は法律上保護される利益が侵害されたということはできない

Aの請求を棄却。

これに対しては、上告棄却兼上告不受理決定。

判例時報2320

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