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2017年4月17日 (月)

バスケットボール部顧問教諭からの体罰等⇒自殺⇒国賠請求

東京地裁H28.2.24      
 
<事案>
本件生徒の父、母及び兄であるXらが、本件教諭の暴行や威迫的言動等が不法行為に該当し、これらの不法行為と本件生徒の死亡(自殺)との間には相当因果関係が認められる⇒Y(市)に対し、国賠法1条1項に基づき、本件生徒の死亡によりXらが被った損害合計1億7468万1427円の賠償等を求めた。 
 
<争点>
①本件教諭の本件生徒に対する有形力の行使や言動等の不法行為該当性
②本件教諭の有形力の行使や言動等の行為と本件生徒の自殺との間の相当因果関係の有無
③寄与度による減額の可否及びその割合 
 
<判断>
本件暴行等を認定。 
本件教諭の本件生徒に対する本件暴行等は、その態様が極めて強度であり、本件生徒の自尊心を著しく傷つけ、著しい精神的苦痛をもたらす内容や態様のもの
⇒本件暴行等は、その有形力の行使のみならず言動等を含めて、教育上の指導として法的に許容される範囲を逸脱した一連一体の不法行為を構成。

①本件生徒が本件教諭から最も強度の暴行等を受けた日の夜に自殺を決意していた兆候とみられる行動をとった上で遺書を作成して自殺
②本件生徒が本件教諭による暴行等につき不安や恐怖及び苦悩や混乱を示す言動をしていた
本件暴行等と本件生徒の自殺には条件関係が優に認められる

本件暴行等がされた当時、いわゆる「指導死」の問題が広く社会問題化し、文部科学省によるリーフレットや生徒指導提要の配布等によって全国の高校等の教員に対しても注意喚起がされていたこと等⇒本件教諭には本件生徒が自殺することについて予見可能性があったと認められ、本件生徒の自殺と本件教諭の前記行為との間には相当因果関係が認められる。 
・・・・強度の身体的、精神的負荷に対して脆弱な面があったとみられることは否定し難く、本件生徒の自殺と言う結果の発生に本件生徒のそのような心因的要因が一定程度寄与したことは否定しがたい。
⇒本件生徒の自殺における本件教諭の前記行為の寄与度は7割と認められるとして、民法722条2項を類推適用し、本件生徒の死亡によりXらに生じた損害の認定額の7割についてXらの請求を認容
 
<規定>
学校教育法 第11条〔児童・生徒・学生の懲戒〕
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない
 
<解説>
体罰は一切の留保及び例外なくこれを禁止する学校教育法11条に違反するものであり(同条ただし書は児童、生徒及び学生に体罰を加えることはできないと定めており、文科省の生徒指導提要にも体罰の禁止が明記。)、それが運動部の活動における指導の際に行われたものであっても異なるものではなく、仮にいわゆる強豪校と称される学校の運動部において指導の過程で体罰が一定程度行われているという実情が事実上あったとしても、そのことによって体罰が法的に許容され得るものではないことを判示。

有形力の行為を伴わないものであっても、一定の事情の下では、教育上の指導として法的に許容される範囲を逸脱した威迫的、侮辱的な言動が体罰と相まって生徒の人格的利益等を侵害する違法な行為と評価されることも判示。

判例時報2320

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