国民年金に係る保険料の滞納処分に関し、差押調書謄本の交付を欠く⇒配当処分が違法
東京地裁H28.2.16
<判断>
差押調書謄本の交付は、差押処分の効力発生要件としては規定されず、差押処分を行うために経ることを要する手続とはされていない上、差押処分後の事情となるにとどまる⇒その瑕疵は、差押え処分の違法事由とはならない。
but
差押えのあった事実を滞納者に知らしめ、差押えに対する不服申立ての機会を与えるなどの重要な意義を有している
⇒その交付がなされないまま、後続処分である配当処分がなされた場合には、法令上求められる事前手続を欠いたまま配当処分が行われたことになる⇒配当処分の違法事由となる。
①国税通則法12条2項の推定の前提となる書類の発送の事実を証する発送記録の作成・備置は確実に行われることを要し、これを欠く場合に、他の証拠により書類の発送の事実を証明して前記推定を適用することは慎重な検討を要するものというべき
②前記推定の適用の可否を措いたとしても、法令上当然に作成されるべき発送記録が作成されておらず、又は適切に記録されていないことは、書類の発送の事実の存在を否定する事情となり得る
との理解を前提に、
(i)本件管理票は、書類の名称の記載が不正確で、宛先や発送の年月日が不分明⇒原告に対し差押調書謄本を発送した旨の発送記録と認める足る形式を備えているということはできない
(ii)本件管理票の記載内容の信用性に疑義
⇒
原告に対する差押調書謄本の交付の事実は認められず、本件配当処分は違法。
⇒同処分の取消請求を認容。
判例時報2320
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