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2017年3月12日 (日)

映像作品のデータを動画共有サイトのサーバーにアップロードした行為についての損害賠償請求

東京地裁H28.4.21       
 
<事案>
映像作品(本件著作物1及び2)の著作権を有するXが、Yが本件著作物1及び2のデータを動画共有サイト(本件動画サイト)のサーバーにアップロードした行為が公衆送信権の侵害に当たると主張し、民法709条及び著作権法114条1項又は3項に基づき、損害賠償金1475万4090円及び遅延損害金の支払を求めた訴訟。 
 
<争点>
Xが蒙った損害の額。 
 
<規定>
著作権法 第114条(損害の額の推定等)
著作権者、出版権者又は著作隣接権者(以下この項において「著作権者等」という。)が故意又は過失により自己の著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為によつて作成された物を譲渡し、又はその侵害の行為を組成する公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行つたときは、その譲渡した物の数量又はその公衆送信が公衆によつて受信されることにより作成された著作物若しくは実演等の複製物(以下この項において「受信複製物」という。)の数量(以下この項において「譲渡等数量」という。)に、著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物(受信複製物を含む。)の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、著作権者等の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において、著作権者等が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡等数量の全部又は一部に相当する数量を著作権者等が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。

3 著作権者又は著作隣接権者は、故意又は過失によりその著作権又は著作隣接権を侵害した者に対し、その著作権又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として、その賠償を請求することができる。
 
<判断>
著作権法114条1項に基づく損害額:
①本件著作物1及び2の本件動画サイトにおけるストリーミングによる動画の再生回数が受信複製物の数量に当たるとはできないし、②これをダウンロードの回数と同視することもできない。
⇒同項に関するXの主張は失当。

同条3項に基づく損害額について:
本件における事実関係を前提とすれば、Yにほる本件著作物1及び2の公衆送信権の損害に対してXが著作権の行使につき受けるべき金銭の額はそれぞれ50万円とするのが相当。
 
<解説>
●著作権法114条1項に基づく損害額
①侵害者による譲渡等数量に②権利者の単位数量当たりの利益額を乗じた額を、権利者の能力に応じた額を超えない限度において、権利者が受けた損害額とする旨の規定。

譲渡等数量とは、①有体物の無断譲渡を想定した「譲渡した物の数量」及び②インターネットを用いた無断送信を想定した「受信複製物の数量」をいう。

②の「受信複製物の数量」公衆によるダウンロードの数量をいうとする見解が多数。
視聴のみを目的とするストリーミング配信は一般にダウンロードをともなわないが、その過程で行われる端末パソコン内における情報の一時的蓄積(CACHE)が受信複製物に含まれるかという問題があるが、著作権法114条1項の解釈としても、受信複製物には当たらないとする見解。

①「受信複製物」とは、条文の規定上、公衆送信が公衆によって受信されることにより作成された著作物等の複製物をいう。
②ダウンロードを伴わないストリーミング配信の場合、データをダウンロードした場合と異なって視聴を終えた後に視聴者のパソコン等にデータが残ることはない。

本件において受信複製物が作成されたとは認められないとし、結論として上記多数意見に沿う判断。
 
●著作権法114条3項に基づく損害額について
著作権者等が請求し得る最低限度の損害額を法定した規定であり、個々の事案における具体的な事情を考慮して「受けるべき金銭の額に相当する額」を算定。
業界の一般相場、権利者の他の使用許諾契約、著作物使用料規定等が考慮要素。

判例時報2316

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